要点

対象:動画や広告の制作にAIを試したい人

  1. 70〜80%減は一部の工程で確かめた数字
  2. AIは撮影前のイメージ共有と映像の表現に
  3. 2027年10月めどに全ドラマで使える体制へ

「フジ、全ドラマに生成AIを本格導入」。11月5日に流れたこのニュースを見て、ちょっとざわっとした人も多いんじゃないでしょうか。

この記事の目次(4節)
  1. 「最大70〜80%」は何の数字?
  2. 『救命病棟24時』では、AIを何に使った?
  3. このサイトでも、写真はAIで、図はコードで作っています
  4. 動画づくりのどこをAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる

Yahoo!ニュースに載ったスポニチの記事には、11月6日の午後の時点で、コメントが1,000件を超えていました。2 ドラマが丸ごとAIで作られるようになるのか、気になりますよね。

フジテレビが出した数字は「作業工数を最大70~80%削減」です。ただ、フジテレビ自身が、これは特定の工程で確かめた結果だと断っています。作品全体の制作費がこれだけ減ったわけでも、工程全体の平均でもありません。1

AIを何に使ったかを追っていくと、動画や広告を作る会社がまねできそうなやり方もあるんです。

「最大70〜80%」は何の数字?

フジテレビは7月の組織変更で、デジタル戦略統括室の中に「AIセンター」を作りました。そのもとで、湾岸スタジオに生成AIの実験場「AI Sandbox」を置き、9月から動かしています。1

チームは、ドラマを作る第1スタジオ、技術を受け持つテックアートデザイン局、AI関連企業の株式会社ANDENTなどで組んでいます。1

ディレクターやプロデューサー、技術スタッフが、外部のAIプロデューサーやAIデザイナーと一緒に、実際の作品を作りながら使い方を確かめているそうです。

そのなかで、生成AIを使った一部の映像制作の工程で、従来の手法と比べて作業工数を最大70〜80%減らせると確かめました。1

工数は、その作業に人が延べ何時間かけたかを表す数です。つまり、ある工程の作業時間が、多いところで7〜8割減ったという意味になります。フジテレビは、どの工程で、どれだけの作業を比べたのかを、発表に書いていません。

フジテレビは、地上波のゴールデン・プライム帯の連続ドラマを年に16本作っています。2026年10月期からは、毎クール1本以上のドラマを「AI強化枠」にして、AI Sandboxで実際の作品づくりに挑むとしています。1

その先の目標は、2027年10月をめどに、フジテレビが作るすべてのドラマで、作品や場面に応じてAIを使える体制を整えることです。1

ニュースの見出しにあった「全ドラマに生成AIを本格導入」は、この計画のことなんですね。全部のドラマをAIで作るのではなく、どのドラマでもAIを使える体制にする、という話です。

『救命病棟24時』では、AIを何に使った?

いま放送中の『救命病棟24時』では、AIを撮影の前の準備と、映像の表現に使っています。

まず撮影の前です。監督が思い描く映像を生成AIで目に見える形にして、制作と技術のスタッフで共有しています。仕上がりのイメージを先にすり合わせてから、撮影方法を考えるわけです。1

頭の中のイメージを、言葉だけで伝えるのって難しいですよね。「もっとこう、ドーンと」みたいなやりとりが絵1枚で済むなら、それだけで現場はずいぶん楽になりそうです。

次に映像の表現です。AIは、医療シーンの細かな映像処理や、実際の撮影だけでは難しい事故現場の表現などに使われています。第1話の爆発事故の場面では、空から撮ったように見える風景そのものがAIで作った架空のものです。そこに煙を重ねています。1

『救命病棟24時』でのAIの使い方 撮影の前に 監督の頭の中をAIで絵に 制作と技術の スタッフで共有する 場面ごとに 手法を選ぶ 実写の撮影 VFX CG 生成AI 医療シーンの細かな映像処理 撮影だけでは難しい事故現場の表現 作品の質を第一に使い分け、 すべてをAIでは作らない 出典:フジテレビのニュースリリース(2026年11月5日)
『救命病棟24時』でのAIの使い方。撮影の前に監督の思い描く映像をAIで見える形にしてスタッフで共有し、場面ごとに実写・VFX・CG・生成AIから手法を選ぶ。AIは医療シーンの細かな映像処理や、実際の撮影だけでは難しい事故現場の表現に使う。

とはいえ、AIを全部の場面に使っているわけではないんです。発表では、実写の撮影・VFX(撮った映像にCGなどで後から手を加える技術)・CG・生成AIなどの中から、作品の質を第一に、場面ごとに手法を選ぶとしています。1

技術を統括する真崎晋哉さんも、「すべてをAIで作るのではなく、従来のVFXなどと組み合わせ」ていると話しています。効率だけでなく、表現の幅を広げることと、経験を社内にためることが大きな目的だそうです。1

テレビ朝日の時代劇『真田十勇士 SHADOWS OF THE TEN NINJA』も、似た作り方をしています。連続ドラマ全体で1,000カット以上にAIで作った素材を使う作品です。3

ただ、多くのカットはVFXと組み合わせていて、「AIに全部任せているカットはほぼない」とプロデューサーは話しています。3 局が違っても、AIを手法の1つとしてVFXと組み合わせる点は同じなんです。

このサイトでも、写真はAIで、図はコードで作っています

規模はまるで違いますが、AIと、AIを使わないやり方を使い分けている点は近いんです。

記事の先頭の写真は、画像生成AIで作ることにしています。11月6日に数えると、公開中の記事は392本でした。先頭の写真が無いのは、そのうち1本だけです。ただし、AIに頼むときは、人物や手、文字や数字を描かないよう、いつも指示を足しています。

数字や流れを伝える図は、AIが作る画像ではなく、コードで組みます。絵の中に書いた文字は、検索エンジンやAIが読み取りにくいからです。この記事の図もコードで組みました。図のある記事は197本ありました。

10月15日からの3日間は、画像生成AIの認証が切れて写真が作れませんでした。その間に出した10本の記事は、写真なしで公開しています。写真は、画像生成AIがまた使えるようになってから差し込みました。

フジテレビは作品の質を第一に、従来のVFXなどとAIを使い分けています。1

理由は違いますが、このサイトの3日間のように、AIが使えない日は来ます。このサイトは写真なしで出して、後から差し込みました。AIが使えない日の出し方を決めておけば、仕事は止まりません。

自社で動画や広告を作るなら、数字の大きさより、工程を1つ選んで試す進め方をまねしたいところです。たとえば撮影や外注の前に、仕上がりのイメージをAIの絵でそろえるところから始めれば、撮影や編集のやり方は今のままでAIを試せます。

その工程にいま何時間かかっているかが分かれば、AIを使った後と比べられます。

当サイトのAI秘書でも、SNSの投稿文やブログ・お知らせ記事の作成を、お客さまが文面を確認してから出す形で引き受けています。範囲はAI秘書の集客・発信に載せています。

動画を作るAIを自分で試すなら、Google Vidsの記事が入口になります。説明動画なら、Claude Motionの記事も参考になるはず。

仕事を1つに絞って時間を比べた例なら、ハウスメーカーが生成AIでInstagramの投稿を作った話があります。

動画づくりのどこをAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる

どの工程から試すとよいかは、会社によって違います。無料AI業務診断(オンラインで30分)では、動画や販促物づくりのどの仕事をAIに任せられるかを見ていきます。

ドラマの現場でも、AIは主役ではなく頼れる手法の1つです。まずは試す工程を1つ、相談のページで一緒に選んでみませんか。

出典

  1. フジテレビ ニュースリリース「フジテレビがAI活用の実験場『AI Sandbox』を設置」(2026年11月5日)(参照 2026-11-06)
  2. スポニチアネックス(Yahoo!ニュース)「フジ、全ドラマに生成AIを本格導入 来年10月めど 湾岸スタジオに実験場設置、作業工数削減期待」(2026年11月5日)(参照 2026-11-06)
  3. 宣伝会議 AdverTimes「岩本照主演の忍者劇で1000カット超のAI生成 テレビ朝日『真田十勇士』が切り拓く実写×AIの制作現場」(2026年10月20日)(参照 2026-11-06)