要点

対象:講師数人で保護者への連絡も回す学習塾

  1. 保護者の期待の1位は考える力
  2. 案内文は名前を入れずに頼める
  3. 個人情報を入れる前に2点を確認

2025年に倒産した学習塾は55件で、2006年以降で最多でした。負債1億円未満の塾が、そのうち52件です。1

この記事の目次(6節)
  1. 倒産の原因は、8割が販売不振
  2. 保護者調査では、半数近くの子が生成AIを使っている
  3. サクシードは、生徒が使うAIを全教室に導入した
  4. 生徒の名前が要らない文書なら、すぐに試せる
  5. 個人情報を入れる前に見る2点
  6. まず案内文の下書きから

一方、明光義塾の保護者調査では、勉強や宿題に生成AIを使う子が半数近くいました。2

時間をつくるためにAIを使うなら、生徒に使わせる前に、まず塾内の文書の下書きから始めるのが無理のないやり方だと思います。ただし、生徒や保護者の個人情報を入れるときは、先に見ておくことがあります。

倒産の原因は、8割が販売不振

東京商工リサーチの集計では、2025年の学習塾の倒産は55件で、2024年の53件を上回りました。1

倒産の原因で最も多いのは「販売不振」で、45件(81.8%)です。ほとんどは負債1億円未満の小さな会社で、資本金1億円以上の倒産はありませんでした。1

少子化と物価高の中で、生徒の募集や講師の確保が難しく、値上げもしにくい小規模な塾が苦戦しています。保護者は進学実績などの費用対効果を厳しく見るようになり、オンラインの無料の解説動画も広がりました。1

この集計にAIの話は出てきません。AIで倒産が防げるわけではありません。ただ、少ない人数で教室を回す塾ほど、講師や塾長の時間が足りなくなりやすいと見ています。保護者への連絡のような日々の事務を軽くする話として、続きを読んでください。

保護者調査では、半数近くの子が生成AIを使っている

明光義塾が保護者に聞いた調査が、2026年7月に報じられました。勉強や宿題に生成AIを使う子は、半数近くです。2

頻度は、ほぼ毎日が12%、週に数回が22.8%、月に数回が13.8%でした。2

学校や塾に期待することの1位は、自分で考える力・主体的に学ぶ姿勢の育成で、38.3%です。2位は思考力・判断力・表現力を育てることで33.5%、3位は学習習慣を身につけさせることで31.4%でした。2

報じられた範囲では、AIの使い方を教えてほしいという期待は、上位に入っていません。AIがあっても考える力が育つ指導を、塾ごとに考える時期だと思います。

サクシードは、生徒が使うAIを全教室に導入した

個別指導学院サクシードは、2026年6月から全教室に、生徒向けの生成AI「スクールAI」を導入しました。開発した会社の発表です。3

教室長や担当講師は、生徒がAIとどんなやり取りをしたかを、いつでも見られます。入力した生徒の発言や個人情報を、外部のAIが覚えて改良に使うことはないと、会社は説明しています。3

生徒が使うAIを教室ごとに管理する仕組みは、小さな塾が一度にまねる必要はありません。参考になるのは、次の2点です。

  • 講師が、やり取りの記録を見られること
  • 入力した内容が、AIの改良に使われないこと

サービスを選ぶとき、会社に聞いておきましょう。

生徒の名前が要らない文書なら、すぐに試せる

AIの会社の解説記事では、講習や行事の案内文、欠席・振替への返信文、指導報告書の下書き、よくある問い合わせへの回答の案が、AIに任せやすい仕事として出てきます。5

分担は、下書きと要約をAIに任せ、最後の確認と気持ちを伝える一文は人が書く、というものです。面談は、録音して文字起こしし、生徒名や学校名を仮名に置き換えてから要約させます。録音するときは、保護者に前もって伝えて同意を得ます。5

AI革命は事業者です。解説に出る費用や効果の数字を、第三者が確かめたかどうかは分かりません。仕事の例として参考にし、数字は自分の塾で小さく試して確かめてください。

まず、生徒の名前が要らない仕事から試してください。講習の案内文や行事のお知らせは、日付と料金を確かめれば使えます。名前が入る返信文や報告書は、次の節の2点を見てからにします。

個人情報を入れる前に見る2点

個人情報保護委員会は2023年6月、生成AIサービスの使い方について、事業者向けの注意点を示しました。4

1つめは、AIに入れる内容が、その情報の利用目的を達成するのに必要な範囲内かどうかです。塾なら、入塾のときの同意書や案内に書いた使い道に、AIでの下書きが収まっているかを、読み返して見ます。4

2つめは、サービスの会社が、入力したデータを機械学習に使わないかどうかです。機械学習に使うとは、入力した文をAIの改良に回すことです。

本人の同意を得ずに個人データ(名簿やデータベースにまとめた個人情報)を入力し、答えを出す以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性があります。そのため、会社が機械学習に使わないことなどを、十分に見るよう求めています。4

BEFORE YOU TYPE A NAME AIに頼む前に確かめる4つの段 01 02 03 04 個人情報が入るか 入らないなら、そのまま頼める 講習の案内文など。日付と料金は、送る前に人が見る 使う目的の範囲か 入るときの1つめ 入塾のときに伝えた使い道に、AIでの下書きが収まるか 機械学習に使われないか 入るときの2つめ サービスの会社に、契約や規約で確かめる 確かめられないときは 名前は人が入れる 名前を外して、下書きだけを頼む
下書きに生徒や保護者の個人情報が入るかどうかで、見ることが分かれます。入る場合は、使う目的と機械学習の扱いの2点を見ます。

注意喚起が対象にしているのは、個人情報を含む入力です。名前も成績も入れずに頼める文書なら、この注意に当てはまる場面はほとんどないと考えています。

個人情報が入る下書きは、2点を見てからAIに入力します。確かめられないときは、名前を外して頼み、名前はメールの送信画面で人が入れます。ただし、日付や事情から誰のことか分かる内容は、名前を外しても個人情報のままです。

不登校や家庭の事情のように、本人や家族が人に知られたくない内容は、名前を外しても入れないでおくのが安全です。

個人情報の入力で起きた事故への備えは、社員が私用のAIに個人情報を入れたときの記事にまとめています。メールの返信をAIに下書きさせる手順は、Gmailの記事で扱いました。同じく少人数で回す社労士事務所の例は、社労士事務所のAI活用の記事にあります。

まず案内文の下書きから

仕事最初に見ること
講習や行事の案内文生徒の名前を入れずに頼めるか。日付と料金を、送る前に人が見る手順があるか
欠席や振替への返信下書きは名前なしで頼み、名前はメールの送信画面で人が入れているか
指導報告書の下書き生徒の様子や成績を入れる前に、使う目的の範囲と機械学習の扱いを調べたか
よくある問い合わせへの回答の案料金表と規約の最新版を基にしているか。古くなったとき、誰が直すか
面談の記録録音するなら、保護者に前もって伝えて同意を得ているか

案内文と返信は、個人情報を入れなくても始められます。報告書と面談の記録は、サービスの会社への確認と、塾の中の決まりが先です。

今週保護者に送った連絡を1通選び、生徒の名前を外しても用件が伝わるかどうかを、見てみてください。

出典

  1. 東京商工リサーチ「TSRデータインサイト 2025年の学習塾の倒産、過去最多の55件」(2026年1月17日)(参照 2026-10-12)
  2. 熊本日日新聞(共同通信配信)「勉強でAI利用、半数近く『週に数回』2割、塾調査」(2026年7月27日)(参照 2026-10-12)
  3. みんがく「個別指導学院サクシード全教室に、教育現場向け生成AIプラットフォーム『スクールAI』を全面導入」(PR TIMES・2026年6月8日)(参照 2026-10-12)
  4. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(参照 2026-10-12)
  5. AI革命「学習塾のAI活用|個別最適化学習・採点自動化・保護者対応の効率化と導入コスト」(2026年10月4日)(参照 2026-10-12)