要点

対象:AWSでAIを社内に使わせている担当者

  1. タグと請求データの設定で部署別に追える
  2. 共有ロールを使うと、全員分が1つにまとまる
  3. 止める方法は通知・拒否・遮断の3段階

Amazon Bedrockは、ClaudeなどのAIをAWSの中で使うサービスです。何も設定しないと、Bedrockの料金は、だれが呼び出しても1つの明細にまとまります。

この記事の目次(5節)
  1. 部署別に追う3つの設定
  2. 全員が共有ロールを使うと、1つにまとまる
  3. 使いすぎを止める3段階
  4. 開発を頼む相手に確かめること
  5. この仕事を任せられるか、30分で確かめる

部署ごとの料金は、Bedrockを呼び出す人のIAMユーザーかIAMロールにタグを付け、請求データの出力の設定を足すと追えます。1 使いすぎを止める方法は別の話で、AWSの手引きは3段階に分けています。2

部署別に追う3つの設定

IAMは、AWSで「だれが何をしてよいか」を決める仕組みです。IAMユーザーは人ごと、IAMロールは役割ごとの、AWS上の利用者です。タグは、そこに付ける「部署=営業」のような印です。

AWSの管理者が、次の順に設定します。1

順画面すること
1IAMコンソールBedrockを呼び出すIAMユーザーかIAMロールのTagsタブに、department・costCenter・team・project などのキーでタグを付ける
2Billing and Cost Managementコンソールの「Cost Allocation Tags」1で付けたタグを選び、「Activate」を押す
3同じコンソールの「Data Exports」新しいCUR 2.0のエクスポートを作り、「Include caller identity (IAM principal) allocation data」を選ぶ

CUR 2.0は、AWSの利用明細を細かく書き出す請求データです。「Cost Allocation Tags」の画面にタグが出るのは、タグを付けたIAMユーザーかIAMロールが、APIを1回以上呼び出したあとです。

タグの値は、department=engineering や costCenter=CC-1234 のように、種類が限られるものにします。セッションIDや時刻のように毎回変わる値は避けます。1

設定のあとに見えるもの

見る場所見えるもの
Cost Explorer(AWSの費用をグラフで見る画面)ディメンションにTagを選び、iamPrincipal/costCenter などを選ぶと、タグの値ごとのBedrockの支出
CUR 2.0line_item_iam_principal の列に呼び出し元のARN。Tagsの列には iamPrincipal/ が付いたタグ

表示までは、タグを有効にしてから最大24時間かかることがあります。この機能そのものに追加の料金はありません。ただし、1行だった明細が呼び出し元ごとに複数行に増えるので、CURをためるS3の保管料は大きく増えることがあります。1

AWS Organizationsのメンバーアカウントは、この機能を個別に有効にできません。管理アカウントで有効にします。1

全員が共有ロールを使うと、1つにまとまる

社内にAPI Gatewayやプロキシを置いて、全員がそこ経由でBedrockを呼ぶ構成があります。このとき記録される呼び出し元は、使った人ではなく、ゲートウェイの実行ロールです。料金は、そのロール1つに集まります。1

AWSのブログは、次の3つの直し方を挙げています。1

直し方分かること
利用者のグループごとに別のIAMロールを使うゲートウェイの作りを変えずに、グループごとに追える
ゲートウェイの実行ロールにタグを付ける共有ロールのままでも、部署やアプリごとに対応づけられる
呼び出しのたびに「セッションタグ」を渡す呼び出した人の部署やプロジェクトで記録できる

利用者1人ごとに追いたいときは、セッションタグを使います。ゲートウェイが、利用者ごとにAssumeRole(別のロールを一時的に借りる操作)を行い、セッション名に利用者の名前を入れ、セッションタグに部署などを入れます。2

使いすぎを止める3段階

追うことと、止めることは別の設定です。止める方法は、止まるまでの速さで3段階に分かれます。2

3 LEVELS OF LIMITS 段階 置くもの 止まるまで 01 02 03 通知 IAMで拒否 ゲートウェイで遮断 AWS Budgets 集計の仕組みと拒否の設定 全員が通るゲートウェイ 決めた額に近づくと知らせる 記録から利用者ごとの金額を数える 全員がここを通る構成が前提 止まらない 数秒から数分後 1秒未満 問題は起きてから分かる IAMの設定が効くまでの時間 超えた瞬間にHTTP 429を返す
使いすぎを止める3段階。段が上がるほど止まるのは速くなりますが、用意するものが増えます
段階しくみ止まるまで確かめること
1 通知AWS Budgetsが、決めた額に近づくとメールなどで知らせる止まらない。問題は起きてから分かる通知を受けた人が、その日に止められるか
2 IAMで拒否呼び出しの記録から利用者ごとの金額を数え、超えた人をIAMの拒否の設定に加える数秒から数分後AWSのClaude Code向けの構成例は、利用者のツールが送る記録で数えるので、請求の額とずれることがある
3 ゲートウェイで遮断全員の呼び出しが通るゲートウェイが、超えた瞬間にエラー(HTTP 429)を返す1秒未満ゲートウェイの作り・運用・セキュリティの確認が要る

同じ料金の上限の話は、Gemini APIの料金の上限の記事でも扱っています。

3は、全員がゲートウェイ経由でBedrockを呼ぶ構成でしか使えません。ゲートウェイを通らずに直接呼ぶ人がいるなら、選べるのは1と2です。2

AWSの手引きは、まず1で使い方を見てから、段階を上げることを勧めています。ただし、すでに月に数百万ドル以上を使っている規模なら、すぐに止める仕組みを作る、としています。2

月の使用額が数百万ドルに遠く及ばない会社なら、はじめは部署別に追うところまでで足りることが多いと考えます。

AWSを通さずClaudeを直接契約している会社では、管理者がグループごとの月の予算を決められる機能が出ています。Claude Enterpriseの新機能の記事で、使える条件を書きました。

自分で仕組みを組まず、請求書の確認や集計をAIに任せたいだけなら、AI秘書の請求・経理の仕事が近いです。

開発を頼む相手に確かめること

追う設定も止める設定も、AWSを扱える人に頼みます。AIに操作を任せる仕組みの権限の絞り方は、Step FunctionsをAIのツールにする記事でも扱っています。頼む前に、次の4つを確かめます。

  • Bedrockを呼び出すのは、IAMユーザーかIAMロールか。この機能は、そのどちらかで呼び出す前提です。1
  • 全員がゲートウェイの共有ロールを使うなら、利用者ごとの記録をどう残すか
  • 新しい人に、タグを付け忘れないしくみがあるか。AWSは、タグが付いているかを定期的に確認することを勧めています。1
  • 上限に達したとき、止まる人と、止まったときの連絡先

この仕事を任せられるか、30分で確かめる

AIの料金を部署別に追うことは、AIを会社に入れたあとの仕事のひとつです。自社のどの仕事をAIに任せ、そのとき料金をだれが見るのかは、無料AI業務診断(30分のオンラインの相談)で一緒に整理できます。申し込みは相談のページからです。

出典

  1. IAM プリンシパルベースのコスト配分による Amazon Bedrock コストの追跡(AWS ブログ・2026年4月21日)(参照 2026-11-01)
  2. Managing Amazon Bedrock costs end to end: A playbook for FinOps and platform teams(AWS Machine Learning Blog・2026年10月30日)(参照 2026-11-01)