Bedrock 料金を部署別に追う3つの設定と、使いすぎを止める3段階の方法
悠 Yu NiiboriAIエンジニアプロフィール
出典 2件

要点
対象:AWSでAIを社内に使わせている担当者
- タグと請求データの設定で部署別に追える
- 共有ロールを使うと、全員分が1つにまとまる
- 止める方法は通知・拒否・遮断の3段階
Amazon Bedrockは、ClaudeなどのAIをAWSの中で使うサービスです。何も設定しないと、Bedrockの料金は、だれが呼び出しても1つの明細にまとまります。
この記事の目次(5節)
- 部署別に追う3つの設定
- 全員が共有ロールを使うと、1つにまとまる
- 使いすぎを止める3段階
- 開発を頼む相手に確かめること
- この仕事を任せられるか、30分で確かめる
部署ごとの料金は、Bedrockを呼び出す人のIAMユーザーかIAMロールにタグを付け、請求データの出力の設定を足すと追えます。1 使いすぎを止める方法は別の話で、AWSの手引きは3段階に分けています。2
部署別に追う3つの設定
IAMは、AWSで「だれが何をしてよいか」を決める仕組みです。IAMユーザーは人ごと、IAMロールは役割ごとの、AWS上の利用者です。タグは、そこに付ける「部署=営業」のような印です。
AWSの管理者が、次の順に設定します。1
| 順 | 画面 | すること |
|---|
| 1 | IAMコンソール | Bedrockを呼び出すIAMユーザーかIAMロールのTagsタブに、department・costCenter・team・project などのキーでタグを付ける |
| 2 | Billing and Cost Managementコンソールの「Cost Allocation Tags」 | 1で付けたタグを選び、「Activate」を押す |
| 3 | 同じコンソールの「Data Exports」 | 新しいCUR 2.0のエクスポートを作り、「Include caller identity (IAM principal) allocation data」を選ぶ |
CUR 2.0は、AWSの利用明細を細かく書き出す請求データです。「Cost Allocation Tags」の画面にタグが出るのは、タグを付けたIAMユーザーかIAMロールが、APIを1回以上呼び出したあとです。
タグの値は、department=engineering や costCenter=CC-1234 のように、種類が限られるものにします。セッションIDや時刻のように毎回変わる値は避けます。1
設定のあとに見えるもの
| 見る場所 | 見えるもの |
|---|
| Cost Explorer(AWSの費用をグラフで見る画面) | ディメンションにTagを選び、iamPrincipal/costCenter などを選ぶと、タグの値ごとのBedrockの支出 |
| CUR 2.0 | line_item_iam_principal の列に呼び出し元のARN。Tagsの列には iamPrincipal/ が付いたタグ |
表示までは、タグを有効にしてから最大24時間かかることがあります。この機能そのものに追加の料金はありません。ただし、1行だった明細が呼び出し元ごとに複数行に増えるので、CURをためるS3の保管料は大きく増えることがあります。1
AWS Organizationsのメンバーアカウントは、この機能を個別に有効にできません。管理アカウントで有効にします。1
全員が共有ロールを使うと、1つにまとまる
社内にAPI Gatewayやプロキシを置いて、全員がそこ経由でBedrockを呼ぶ構成があります。このとき記録される呼び出し元は、使った人ではなく、ゲートウェイの実行ロールです。料金は、そのロール1つに集まります。1
AWSのブログは、次の3つの直し方を挙げています。1
| 直し方 | 分かること |
|---|
| 利用者のグループごとに別のIAMロールを使う | ゲートウェイの作りを変えずに、グループごとに追える |
| ゲートウェイの実行ロールにタグを付ける | 共有ロールのままでも、部署やアプリごとに対応づけられる |
| 呼び出しのたびに「セッションタグ」を渡す | 呼び出した人の部署やプロジェクトで記録できる |
利用者1人ごとに追いたいときは、セッションタグを使います。ゲートウェイが、利用者ごとにAssumeRole(別のロールを一時的に借りる操作)を行い、セッション名に利用者の名前を入れ、セッションタグに部署などを入れます。2
使いすぎを止める3段階
追うことと、止めることは別の設定です。止める方法は、止まるまでの速さで3段階に分かれます。2
使いすぎを止める3段階。段が上がるほど止まるのは速くなりますが、用意するものが増えます
| 段階 | しくみ | 止まるまで | 確かめること |
|---|
| 1 通知 | AWS Budgetsが、決めた額に近づくとメールなどで知らせる | 止まらない。問題は起きてから分かる | 通知を受けた人が、その日に止められるか |
| 2 IAMで拒否 | 呼び出しの記録から利用者ごとの金額を数え、超えた人をIAMの拒否の設定に加える | 数秒から数分後 | AWSのClaude Code向けの構成例は、利用者のツールが送る記録で数えるので、請求の額とずれることがある |
| 3 ゲートウェイで遮断 | 全員の呼び出しが通るゲートウェイが、超えた瞬間にエラー(HTTP 429)を返す | 1秒未満 | ゲートウェイの作り・運用・セキュリティの確認が要る |
同じ料金の上限の話は、Gemini APIの料金の上限の記事でも扱っています。
3は、全員がゲートウェイ経由でBedrockを呼ぶ構成でしか使えません。ゲートウェイを通らずに直接呼ぶ人がいるなら、選べるのは1と2です。2
AWSの手引きは、まず1で使い方を見てから、段階を上げることを勧めています。ただし、すでに月に数百万ドル以上を使っている規模なら、すぐに止める仕組みを作る、としています。2
月の使用額が数百万ドルに遠く及ばない会社なら、はじめは部署別に追うところまでで足りることが多いと考えます。
AWSを通さずClaudeを直接契約している会社では、管理者がグループごとの月の予算を決められる機能が出ています。Claude Enterpriseの新機能の記事で、使える条件を書きました。
自分で仕組みを組まず、請求書の確認や集計をAIに任せたいだけなら、AI秘書の請求・経理の仕事が近いです。
開発を頼む相手に確かめること
追う設定も止める設定も、AWSを扱える人に頼みます。AIに操作を任せる仕組みの権限の絞り方は、Step FunctionsをAIのツールにする記事でも扱っています。頼む前に、次の4つを確かめます。
- Bedrockを呼び出すのは、IAMユーザーかIAMロールか。この機能は、そのどちらかで呼び出す前提です。1
- 全員がゲートウェイの共有ロールを使うなら、利用者ごとの記録をどう残すか
- 新しい人に、タグを付け忘れないしくみがあるか。AWSは、タグが付いているかを定期的に確認することを勧めています。1
- 上限に達したとき、止まる人と、止まったときの連絡先
この仕事を任せられるか、30分で確かめる
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