Gemini API 料金の上限は3か所、止まる範囲が違う
悠 Yu NiiboriAIエンジニアプロフィール
出典 4件

要点
対象:Gemini APIを仕事で使い始める人
- 上限は3か所に分かれている
- spend capsは10月30日に一般提供
- 前払いは残高0で全キーが止まる
Gemini APIの料金は、使った量に応じて払う従量課金です。使いすぎを止める上限は、AI Studioの費用上限、請求先アカウントの月額上限、Google Cloudのspend capsの3か所にあります。31
この記事の目次(4節)
- 料金は、モデルごとの100万トークンあたりの単価で決まる
- 上限は3か所、ほかに前払いの残高でも止まる
- spend capsが止めるもの
- 最初に確かめること
APIは、Geminiのモデルを自分のアプリやツールから呼び出す仕組みです。料金は、モデルに渡す文章と返ってくる文章を、トークン(AIが文章を区切って数える単位)で数えて決まります。4
このうちspend capsは、2026年10月30日にGoogle Cloudが一般提供を始めました。対象にGemini APIが含まれます。2
料金は、モデルごとの100万トークンあたりの単価で決まる
モデルごとに、入力と出力の単価が、100万トークンあたり何ドルかで載っています。出力の単価には、AIが考える途中のトークン(思考トークン)も含まれます。4
| モデル | 無料枠 | 入力 | 出力 |
|---|
| Gemini 3.1 Flash-Lite | あり | 0.25ドル | 1.50ドル |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | あり | 0.30ドル | 2.50ドル |
| Gemini 3.8 Flash | あり | 0.75ドル(2027年1月1日から1.50ドル) | 3.75ドル(2027年1月1日から7.50ドル) |
| Gemini 3.1 Pro プレビュー版 | なし | 2ドル(プロンプト20万トークン以下) | 12ドル(同) |
Gemini 3.1 Pro プレビュー版の単価は、プロンプトが20万トークンを超えると上がります。4
リクエストを1万回送ったときの目安(試算)
同じリクエストを1万回送ると仮定して、上の単価で計算しました。1回のリクエストは、入力2,000トークンと出力500トークンです。この出力には、思考トークンを含めていません。含めると、その分だけ高くなります。
| モデル | 1万回の目安 |
|---|
| Gemini 3.1 Flash-Lite | 12.5ドル |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 18.5ドル |
| Gemini 3.8 Flash(2026年12月31日まで) | 33.75ドル |
| Gemini 3.8 Flash(2027年1月1日から) | 67.5ドル |
| Gemini 3.1 Pro プレビュー版 | 100ドル |
上限は3か所、ほかに前払いの残高でも止まる
上限は、設定する場所も、止まる範囲も違います。
| 上限 | 設定する場所 | 止まる範囲 |
|---|
| AI Studioの費用上限(試験運用版) | AI Studioの「費用」ページ | プロジェクトの月の費用 |
| 請求先アカウントの月額上限 | 設定不要(引き上げは申請) | その請求先アカウントにつながる全プロジェクト |
| Google Cloudのspend caps | Google Cloudの「予算とアラート」 | 1つのプロジェクトの1つのサービス |
前払いだけは上限ではなく、残高が0になると止まります。AI Studioの費用上限とspend capsは、別々の設定です。両方を同じプロジェクトに置けるかは、公式のページに説明がありません。
AI Studioの費用上限
AI Studioの「費用」ページで「月間の費用上限」を開き、「費用上限を編集」を選ぶと決められます。設定できるのは、プロジェクトの編集者、オーナー、管理者です。3
この機能は試験運用版で、範囲が限られています。バッチ処理やエージェントのような長い作業では、上限を超えることがあります。課金データの反映が最大10分ほど遅れるため、その間に超えることもあります。3
請求先アカウントの月額上限
請求先アカウントは、支払い実績に応じて段階(ティア)が上がり、段階ごとに月の上限が決まっています。3
| ティア | 条件 | 月額上限 |
|---|
| 無料 | 有効なプロジェクトか無料トライアル | なし |
| Tier 1 | 請求先アカウントをつなぐ | 250ドル |
| Tier 2 | 100ドルの支払いと、最初の支払いから3日 | 2,000ドル |
| Tier 3 | 1,000ドルの支払いと、最初の支払いから30日 | 2万ドルから10万ドル以上 |
上限に届くと、翌月1日まで、その請求先アカウントにつながる全プロジェクトのサービスが一時停止します。引き上げは「引き上げをリクエスト」のフォームから申請します。3
前払いの残高
新しい利用者は、既定で前払いになります。前払いの残高が0になると、その請求先アカウントにつながる全プロジェクトのAPIキーが、同時に使えなくなります。リクエストはHTTP 402で失敗します。3
前払いは5ドルから買えます。前払いできる最大額は5,000ドルです。買った残高は12か月で失効し、原則として払い戻しはありません。自動チャージには、月の上限を決められます。3
spend capsが止めるもの
spend capsは、Google Cloudの予算(Budgets)に付く上限です。予算の目標額に届くと、従量課金の新しいリクエストが止まります。1
対象のサービスは4つです。Gemini API、Gemini Enterprise Agent Platform(以前のVertex AI)、Cloud Run、Cloud Run functionsです。2
| 上限に届いたとき | 動き |
|---|
| 新しい従量課金のリクエスト | 予算の期間の終わりまで止まる |
| 処理中のリクエスト | 最後まで動き、その分は課金される |
| 常時動くリソース(サーバーや保存先など) | 止まらず、課金も続く |
| Provisioned Throughput(予約した処理の枠) | 止まらない1 |
| 次の予算の期間(通常は翌月の初日) | 自動で戻り、集計が0になる |
手で戻すときは、「予算の編集」で「単価の上限を解除」(画面の呼び名です)を選び、「確認」を押します。完全に戻るまで、最大1時間かかることがあります。2
spend capsが働く1か月の流れです。予算の100%に届くと新しい利用が止まり、翌月の初めに自動で戻ります。
設定の手順
設定に要る権限は、請求先アカウントの「Billing Account Administrator」です。「Billing Account Costs Manager」と、各プロジェクトの「Editor」の組み合わせでもできます。2
- Google Cloudのコンソールで「予算とアラート」を開き、「新しい予算を作成」を押します
- 「定義」で「費用上限の適用」を選び、名前を入力して「次へ」を押します
- 「Scope」でプロジェクトとサービスを1つずつ選びます(期間は月次で決まります)
- 「金額」で目標額を入力して「次へ」を押します
- 「アクション」で通知が自動で付くのを確かめ、「完了」を押します
通知は、請求先アカウントの管理者とプロジェクトのオーナーへ届きます。タイミングは、上限の50%、80%、100%です。1
遅れと対象外のもの
spend capsは、請求の確定を待たず、推定のコストで判定します。そのため、請求画面の金額より先に止まります。ただし、止まるまでに増えた分は、通常どおり請求されます。2
確定した金額が反映されるまでは、通常1日以内です。24時間を超えることもあります。2
公式の説明では、止めたい額より少し低めに置くよう勧めています。まず本番以外の環境で、低い額から試す方法も紹介されています。12
次のものは対象外です。節約とクレジットは計算に含まれません。サブスクリプション型の費用(Gemini Enterpriseの契約など)と、販売パートナー経由のアカウントも対象外です。2
最初に確かめること
Gemini APIをこれから使う人は、次の順で確かめておくと安心です。
- AI Studioの「費用」ページで、月間の費用上限が決まっているかを見る
- 前払いなら、自動チャージの月の上限と、残高が0になる時期を確かめる
- 本番で使うなら、Google Cloudで低めのspend capsを置き、止まったときの動きを試す
月の途中でAPIが止まったら、前払いの残高、請求先アカウントの月額上限、AI Studioの費用上限、spend capsの順に見てください。
無料版のGeminiの範囲はGemini無料版の記事にあります。ChatGPTのAPIクレジットはAPIクレジットの記事にまとめました。使った量を後から説明できるようにする方法は、AIのコストを見える化する記事にあります。