要点

対象:会議の録音から議事録を作りたい会社

  1. 録音は1時間、話者は8人まで
  2. 社内ならH100やDGX Sparkで動かす
  3. 金額は漢数字で文字起こしされた

NVIDIAのNemotron 3.5 Transcribeは、会議などの録音を、話者ごとに分けて文字起こしするAIモデルです。10月28日に公開され、日本語にも対応しています。12

この記事の目次(6節)
  1. Nemotron 3.5 Transcribeでできること
  2. 公式のデモで試した結果
  3. 録音をどこで処理するか
  4. どんな会議に向くか
  5. 試す前に確かめること
  6. 会議の録音をAIに任せられるか確かめる

当サイトで、架空の会議の台本を音声合成で読み上げさせ、公式のデモで文字起こししました。言葉は金額や日付まで台本どおりに文字起こしされ、2人の話者も正しく分かれていました。

社内のサーバーでも動かせます。ただし、H100のようなデータセンター向けのGPU(AIの計算をする部品)か、NVIDIAの小型機DGX Sparkが要ります。2

社外秘の会議に使うなら、精度を比べる前に、録音をどこで処理するかを決めておきましょう。

Nemotron 3.5 Transcribeでできること

したいこと日本語で補足
会議の録音を文字起こしするできる録音は1時間まで
話者ごとに分ける(話者分離)できる話者は8人まで
英語と日本語のあいだで訳すできる—
その場で字幕を出すできない録音済みの音声を後から処理する仕組みのため

NVIDIAの評価では、日本語の品質は本番の仕事に使える水準です。2

話者分離は、「この声は田中さん」と人を特定するものではありません。同じ録音の中で、声の違う人に番号を振って区別します。2

Nemotron 3.5 ASRとの違い

NVIDIAは6月に、名前の近いNemotron 3.5 ASRを出していました。こちらは、その場で文字起こしする使い方にも対応した、別のモデルです。4

Nemotron 3.5 TranscribeNemotron 3.5 ASR
公開2026年10月28日2026年6月4日
その場での文字起こしできないできる
話者分離できるNVIDIAの説明に記載なし
パラメータ数約340億約6億

パラメータ数は、AIの中にある数値の個数です。24

公式のデモで試した結果

10月29日に、公式のデモで、下の表の条件を1回ずつ試しました。デモには、録音と一緒に、AIへの指示文(プロンプト)を送ります。

音声は、架空の定例会議の台本を、Google翻訳の読み上げを使う無料のソフト(gTTS)で読み上げさせたものです。2人が交互に話す、1分弱の録音です。

台本には、出展料「四十二万円」、締め切り「十一月十四日」、担当「営業部の田中さん」などを入れました。2人目は、声の高さを下げて別の人に聞こえるようにしました。

試したこと結果
そのまま文字起こし言葉は台本と同じで、読点の位置だけが違った
話者分離ありで文字起こし6つの発言すべてで、区切りと話者が台本と一致した
雑音を混ぜた音声で文字起こし言葉は台本と同じだった

3回目には、数字を算用数字で書くよう指示文で求めました。それでも金額は「四十二万円」のような漢数字のままで、「42万円」の形にそろえる手間が残りました。

どの回も、送ってから約1秒で結果が出ました。

合成した声は発音がはっきりしていて、発言の重なりもありません。実際の会議の録音(発言の重なり・離れたマイク・方言)では試していません。名前や話者の切り替わりは、録音と突き合わせて確かめてください。1

録音をどこで処理するか

使い方は主に3通りあり、録音が届く先がそれぞれ違います。123

録音をどこで処理するか 01 02 03 公式のデモ 外部のAPIサービス 社内のGPUサーバー Hugging Face Baseten など vLLMなど 録音が届く先 録音が届く先 録音が届く先 NVIDIAのクラウド 各社のサーバー 社内 使う前にすること 使う前にすること 使う前にすること なし 契約と規約の確認 GPUとソフトを用意 社内で処理すれば録音は社外に出ない
社外秘の会議なら、社内のGPUサーバーで処理すれば、録音は社外に出ません
使い方録音が届く先使う前にすること
公式のデモ(Hugging Face)Hugging Faceのデモを経由して、NVIDIAのクラウドなし。ブラウザで開くだけ
外部のAPIサービス(Baseten・DeepInfra・Simplismart)各社のサーバー契約し、各社の規約を確かめる
社内のGPUサーバー社内対応表にあるGPUと、AIモデルを動かすソフト(vLLMなど)を用意する

NVIDIAがモデルの説明に載せたGPUの対応表には、データセンター向けのGPUと、DGX Sparkが並んでいます。NVIDIAの手順は、H100を1枚使う例です。2

パソコン向けのGPU(RTX 5090など)で動かす軽量版(量子化版)は、NVIDIAが近く出すとしています。10月29日の時点では、まだ誰でも入手できる形になっていませんでした。1

ライセンスは、Linux Foundationが定めたOpenMDW-1.1です。5 商用でも使えます。使う側は、モデルに同梱された他社のソフトなどのライセンスも守る必要があります。2

どんな会議に向くか

定例会議・面談・取材のように、話す人が8人までの録音を、後からまとめる使い方に向いています。字幕をその場で出したい会議には、Nemotron 3.5 ASRを使います。4

文字起こしのあと、決定事項や担当者を議事録にまとめる作業は、別に必要です。録音に質問して答えさせる機能もあります。ただ、この機能は英語だけで学習していて、日本語での答えの質は示されていません。1

当サイトのAI秘書でも、議事録の作成を引き受けています(AI秘書の社内・総務)。

試す前に確かめること

開発の委託先や情報システム部門と、次のことを確かめてください。

確かめること理由
録音を社外に送ってよい会議かデモと外部のAPIサービスでは、社外のサーバーで録音を処理します
対応表にあるGPUを社内で用意できるか社内で動かすには、データセンター向けのGPUかDGX Sparkが要ります
自社の会議の録音で試せるか合成した声と実際の会議では、聞き取りやすさが違います
1時間を超える会議をどう分けるか長い録音は、分けてから渡します

文字起こしのAIが、実際には話していない文を出すことがある理由は、AIの文字起こしの仕組みの記事にまとめました。録音がAIの学習に使われるかどうかを調べた例は、LINE WORKS AiNoteの記事にあります。

自社でAIを動かす機材を選ぶときは、社内で動かすAIの速度を測る記事が参考になります。

会議の録音をAIに任せられるか確かめる

どの会議の録音なら社外で処理してよいか、議事録までAIに任せられるかは、無料AI業務診断(30分の無料相談)で相談できます。

まずは社外秘でない会議を1つ選び、録音の長さと参加する人数を、相談のページからお知らせください。

出典

  1. NVIDIA Nemotron 3.5 Transcribe の発表(Hugging Face のブログ・2026年10月28日)(参照 2026-10-29)
  2. NVIDIA-Nemotron-3.5-Transcribe-30B-A4B のモデルの説明(Hugging Face)(参照 2026-10-29)
  3. Nemotron Transcribe の公式のデモの説明(Hugging Face Spaces)(参照 2026-10-29)
  4. nemotron-3.5-asr-streaming-0.6b のモデルの説明(Hugging Face)(参照 2026-10-29)
  5. Linux Foundation が OpenMDW-1.1 を公開、NVIDIA が Nemotron に採用(2026年5月28日)(参照 2026-10-29)