要点

対象:税理士事務所の業務で生成AIを使いたい税理士

  1. 要約をAIに任せ報告書は20分に
  2. 過去の相談例をAIで引き出す
  3. TKCは入力前の同意書が原則

京都の石黒健太税理士事務所では、面談内容の要約を生成AIに任せ、報告書を書く時間が1時間から20分になりました。兵庫の税理士法人山下会計事務所は、所内の資料で専用のチャットボットを作り、相談の下調べに使いました。12

この記事の目次(7節)
  1. 京都の石黒健太税理士事務所:報告書の下書きをAIに
  2. 兵庫の山下会計事務所:相談の下調べをAIに
  3. 2つの税理士事務所の比べ
  4. 会計事務所はAIを何に使っているか
  5. 顧問先の情報をAIに入力する前に
  6. 自分の税理士事務所で試すなら、面談の報告書から
  7. どの仕事からAIに任せるか、30分で相談する

2つとも、AI研修の会社デジライズが、研修を受けた税理士事務所を取材して自社サイトに載せた例です。12

京都の石黒健太税理士事務所:報告書の下書きをAIに

面談の前と後で、1社あたり約3時間

この税理士事務所の職員は20〜49人の規模です。面談の前には顧問先の数字を見て要点をまとめ、説明の台本を作っていました。面談の後には、内容を議事録や報告にまとめていました。1

前後の作業を合わせると、1社あたり約3時間かかっていました。顧問先へのチャットの返事も、担当者によって回答の質に差が出ていました。1

要約と台本のたたき台をAIで作る

デジライズが取材した時点で、この税理士事務所は次の作業にAIを使っていました。1

  • 面談内容の要約(報告書づくりの一部)
  • 面談前のデータ集めと、説明の台本のたたき台
  • チャットの返事の案(専門用語を、相手に合わせてやさしく言い換える)

兵庫の山下会計事務所:相談の下調べをAIに

担当者によっては1日2〜3時間

この税理士事務所の職員も、20〜49人の規模です。顧問先からは、税務のほかに業界の動きや経営の相談も来ます。担当者によっては、その下調べに1日2〜3時間かかっていました。2

所内の資料で専用のチャットボット

数年分のブログ記事と所内の資料を読み込ませ、専用のチャットボットを作りました。過去の似た相談や、ベテラン職員の知恵を、数秒で引き出せるようになったとあります。2

メールの返信文づくりと、所内で使うツールの開発にもAIを使い、数日かかっていた開発が数時間で済んだとしています。2

2つの税理士事務所の比べ

石黒健太税理士事務所山下会計事務所
導入前の手間面談の前後の作業に1社あたり約3時間(うち報告書は1時間)相談の下調べに1日2〜3時間の担当者も
AIに任せたこと面談内容の要約、台本のたたき台、返事の案過去の似た例を探す、メールの返信文
事例ページの数字報告書の作業が「1時間」から「20分」に過去の例を探す作業で「数時間の作業を数秒に短縮」

どちらのページにも、AIが書いたものを誰がどう確かめているかは載っていません。12

デジライズは、時間の測り方を書いておらず、第三者が確かめたとも書いていません。12

会計事務所はAIを何に使っているか

会計事務所で働く743人に聞いた調査では、回答者の81%が、勤めている会計事務所は業務の「大部分」か「一部」でAIを導入していると答えました。会計の人材の転職を支援するレックスアドバイザーズが、10月に公表しました。3

使い道で多かった答えは、次のとおりです。下調べ(リサーチ)がいちばん多く挙がりました。3

使い道答えた人の割合
リサーチ・資料作成55%
文字起こし・議事録作成49%
データ入力・仕訳42%

顧問先の情報をAIに入力する前に

税理士法の守秘義務は、職員も負う

税理士は、業務で知った秘密を、正当な理由なく漏らしたり盗用したりしてはいけません(税理士法第38条)。税理士事務所の職員にも同じ義務があり、辞めた後も続きます(第54条)。5

TKC全国会は、基本方針を定めた背景として、顧問先の秘密をAIサービスに入力すると守秘義務違反になるリスクを挙げました。4

TKC全国会は、会員の税理士事務所に同意書を求めている

TKC全国会は、税理士と公認会計士がつくる団体です。2026年6月の基本方針で、会員の税理士事務所に、顧問先の情報をAIに入力する前に原則として同意書を取るよう求めました。4

入力は、個人情報保護法の「第三者提供」(第27条)に当たる可能性があるためです。海外のAIサービスを使うと、個人情報を外国に移す規制(第28条)に触れる可能性もあります。4

同意書を取るのが難しい顧問先には、同意書の代わりに、AIを使う目的などを書いた通知書を送ります。「出力結果の正確性を必ず確認し、最終判断は税理士が行うこと」も、方針の運用原則の1つです。4

TKCの会員でない税理士事務所でも、税理士法の守秘義務は、税理士と職員の全員が負います。5

自分の税理士事務所で試すなら、面談の報告書から

架空のメモで、指示の書き方を先に決める

面談の報告書は毎回同じ形で書くので、AIに下書きを任せやすい仕事です。最初は架空の面談メモで試すと、顧問先の情報を入力せずに指示の書き方を決められます。

関わる記事は次のとおりです。

試す前に確かめること

確かめることなぜ確かめるか
報告書と下調べに、月に何時間かけているかかけている時間が短ければ、AIを使っても減る手間は小さいから
AIが書いた報告書を、誰が見直して送るか見直す人を決めないと、誤りがそのまま顧問先に届くから
過去の資料が、どこにまとまっているか資料がばらばらだと、読み込ませる準備に時間がかかるから

報告書と下調べの手間を減らす3つの方法

方法向いている税理士事務所残る手間
職員がChatGPTなどで下書きを作る面談の数が少なく、職員がAIに慣れている税理士事務所指示の書き方をそろえ、顧問先の情報を伏せる
所内の資料で専用のチャットボットを作る過去の資料が多く、似た相談がくり返し来る税理士事務所資料を集めて読み込ませ、新しい資料を足し続ける
AI導入の支援会社に頼む職員に試す時間が無い税理士事務所任せる範囲と、顧問先の情報の扱いを決める

当サイトのAI秘書でも、議事録を作ったり、規程やマニュアルを見て職員の質問に答えたりする仕事を引き受けています。範囲はAI秘書の社内・総務に載せています。

どの仕事からAIに任せるか、30分で相談する

税理士事務所のどの仕事からAIに任せられるかは、無料AI業務診断で相談できます。オンラインで30分お話しします。相談のページからお申し込みください。

出典

  1. デジライズ導入事例「石黒健太税理士事務所」(2026年2月3日)(参照 2026-10-30)
  2. デジライズ導入事例「税理士法人 山下会計事務所」(2026年1月15日)(参照 2026-10-30)
  3. HRプロ「レックスアドバイザーズが『会計事務所の生成AI活用に関する実態調査』を公開」(2026年10月12日)(参照 2026-10-30)
  4. TKCグループ「TKC全国会によるAI活用の基本方針」(2026年6月3日)(参照 2026-10-30)
  5. e-Gov法令検索「税理士法」(昭和26年法律第237号。第38条・第54条)(参照 2026-10-30)