運送会社の電話対応、集荷依頼をAI電話で受ける3社の事例
悠 Yu NiiboriAIエンジニアプロフィール
出典 6件

要点
対象:集荷の電話に追われる運送会社の事務・配車担当
- 1日20〜30件の集荷の電話がAIでほぼ済む
- 聞き取った内容はドライバーのLINEへ
- AIで済まない用件は人が受け持つ
沖縄の物流会社、琉球通運航空では、集荷の電話がAI電話でほぼ済むようになりました。集荷の電話は、1日に20〜30件ほどあります。AI電話は、かかってきた電話にAIが自動で応答し、音声で用件を聞き取るサービスです。1
この記事の目次(6節)
- 沖縄の物流会社では、集荷の電話がAIでほぼ済む
- ヤマト運輸と西濃運輸も、集荷依頼をAIで受ける
- 3社がAIに任せた電話と、人が受け持つ電話
- 数字はどこから出たか
- 自社で試すなら、集荷の電話から
- 集荷の電話をAIに任せられるか、30分で確かめる
大手のヤマト運輸と西濃運輸も、集荷依頼の電話をAIで受けています。3社とも、AIで済まない用件は人が受け持っています。45
沖縄の物流会社では、集荷の電話がAIでほぼ済む
電話が重なると、話し中になっていた
琉球通運航空は、航空貨物の代理店業務、倉庫、梱包と運送などを手がける物流会社です。空港営業所には、ふだん1日に30件以上の電話があります。以前は、それを2〜3人のスタッフで受けていました。1
電話の多くは集荷依頼でした。スタッフがその都度メモを取り、一覧表に書いて担当者に伝え、サインをもらっていました。1本の電話に出ていると、次の電話は話し中でつながりませんでした。電話が続くと、メモの取り忘れや聞き漏らしも起きていました。1
通話の要約がドライバーのLINEに届く
いまは、集荷の電話にAI電話「アイブリー」が応答します。通話の中身をAIが要約し、LINEで自動で送ります。ドライバーはその要約を直接見て、集荷に対応します。1
| AI電話を入れる前 | AI電話を入れた後 |
|---|
| 集荷の電話に出るのは | 営業所のスタッフ | AI電話 |
| 担当者への伝え方 | 一覧表に書き、担当者からサインをもらう | 要約がLINEでドライバーに届く |
| 集荷以外の電話 | スタッフが受けて取り次ぐ | 自動音声の案内で、関係する部署へ直接つなぐ |
| 同時にかかってきた電話 | 話し中になる | 応答できる |
この仕組みにしてから、伝言ミスはなくなったそうです。一覧表への記入とサインも要らなくなりました。1
ヤマト運輸と西濃運輸も、集荷依頼をAIで受ける
ヤマト運輸では、集荷依頼を「AIオペレータ」が受け付ける
ヤマト運輸は2020年11月、法人からの集荷依頼の電話にAI電話を使い始めました。同社はこれを「AIオペレータ」と呼んでいます。山梨県から始め、2021年4月には個人からの集荷依頼にも広げました。23
電話をかけた人は、自動音声の案内で集荷依頼を選び、集荷の場所と時間の希望を「AIオペレータ」に伝えます。2021年4月の時点で、「AIオペレータ」が受けていたのは集荷依頼の電話だけでした。23
以前は、オペレーターが集荷依頼を受け、その内容をシステムに打ち込んでドライバーへ送っていました。4
AIオペレータを入れてからは、受付が終わると集荷の情報がドライバーへ自動で届くようになりました(LINE WORKS が2021年10月に取材した時点)。「AIオペレータ」で対応できない要望は、有人の窓口へ自動でつながります。4
西濃運輸では、AIが聞き取り、オペレーターが折り返す
西濃運輸のカスタマーセンターは、全国161の支店・営業所(2025年8月時点)にかかる外線を受けています。電話の多くは、法人からの集荷依頼と配送状況の問い合わせです。5
同社は、応答率(かかってきた電話のうち、出られた電話の割合)を100%にすることを目標にしています。繁忙期や災害のときは電話が急に増え、限られた人数では100%を保つのが難しくなっていました。5
そこで、混み合った電話はAIが一次対応で用件を聞き取り、オペレーターが後から折り返すことにしました。2025年11月の発表の時点で、繁忙期にも応答率100%を保てています。5
グループの会社を統合した2024年は、電話の本数が統合前の約1.5倍に増える見込みでした。それでも人を増やさずに乗り切りました。5
2026年9月の発表より前の仕組みでは、電話が一定の数を超えたときだけ、AIに回していました。AIは聞き取った用件を4つの区分にしか分けられず、「その他」が選ばれることが多くありました。そのため、オペレーターが折り返す電話が出ていました。6
2026年9月の発表によると、西濃運輸はこの仕組みを新しいAIに入れ替え、区分を11に増やしました。見積もり依頼・取扱商品・配送状況の確認などに分け、AIで済む用件と、オペレーターが受ける用件を整理しています。6
3社がAIに任せた電話と、人が受け持つ電話
| 琉球通運航空 | ヤマト運輸 | 西濃運輸 |
|---|
| AIがすること | 集荷の電話に応答し、要約をLINEで送る | 集荷依頼を受け付け、ドライバーへ情報を送る | 混み合った電話の一次対応で、用件を聞き取る |
| 人がすること | ドライバーが要約を見て集荷する。集荷以外の電話は部署が受ける | AIで対応できない要望を、有人の窓口が受ける | オペレーターが折り返して対応する |
| 公表された結果 | 伝言ミスがなくなった | 実証テストのあとのアンケートで満足度80%以上 | 繁忙期にも応答率100%を保てた |
満足度80%以上は、ヤマト運輸が実証テストのあとに利用者へ聞いたアンケートの数字です。4
数字はどこから出たか
琉球通運航空の件数は、AI電話のサービス会社IVRyの導入事例のページで、社員が話した数字です。いつごろの何日分の平均かは、ページに載っていません。1
ヤマト運輸の満足度は、LINE WORKSの導入事例のページにあります。西濃運輸の数字は、カスタマーセンターの運営を請け負うアルティウスリンクの2つの発表を、IT LeadersとLNEWSが報じたものです。456
西濃運輸は、AIを入れたあとも1本の平均の通話時間が約1分で、前とほぼ同じだとしています。電話にかかる時間の数字は、ほかに出ていません。どの数字も、第三者が確かめたものではありません。5
自社で試すなら、集荷の電話から
聞くことが決まっている電話は、AIに向く
集荷の電話で聞くのは、場所・時間・荷物です。毎回同じことを聞くので、AI電話で受けやすいと考えています。
延着(荷物の遅れ)の苦情や運賃の相談は、電話ごとに聞くことが違います。こうした電話では、AIには用件を聞くところまでを任せ、人が折り返すのがよさそうです。
AI電話にどの用件を任せやすいかは、AI電話のメリットとデメリットでも取り上げました。ほかの業種の例は、サロンの電話対応の記事にあります。運送会社の事務で、電話のほかにAIを使えそうな仕事は、運送業のAI活用の記事にまとめました。
試す前に確かめること
| 確かめること | なぜ確かめるか |
|---|
| 1日にかかる電話のうち、集荷依頼が何件か | 集荷の電話が少なければ、AI電話を入れても手間はあまり減らないから |
| 集荷の電話で、毎回何を聞いているか | 聞くことが決まっていれば、AIに同じ順で聞かせられるから |
| 聞き取った内容を、誰に、何で届けるか | ドライバーが見るLINEのグループなど、送り先を決めておく必要があるから |
| AIで済まなかった電話を、誰がいつ折り返すか | 決めておかないと、折り返しが漏れるから |
集荷の電話を社内で受けずに済ませる3つの方法
| 方法 | 向いている会社 | 残る手間 |
|---|
| AI電話を入れる | 集荷依頼の電話が多く、聞くことが決まっている会社 | 聞く順番を決め、AIで済まない電話を折り返す |
| 電話代行に頼む | 集荷の電話に細かい相談が混ざり、人が話したほうがよい会社 | 伝言を受け取って折り返す |
| 集荷依頼をWebやLINEで受ける | 取引先が決まっていて、文字で頼んでもらえる会社 | 受付の画面を用意し、取引先に使い方を伝える |
当サイトのAI秘書でも、電話の一次対応(用件を伺い、内容をお知らせする)を引き受けています。範囲はAI秘書の顧客対応に載せています。
集荷の電話をAIに任せられるか、30分で確かめる
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