要点

対象:車検の案内をはがきで出している整備工場

  1. 割引を書くと特定電子メール法の対象
  2. 携帯電話の番号に送るSMSも同じ扱い
  3. 2か月前から受けても有効期間は短くならない

車検の案内をはがきからメールやSMS(ショートメッセージ)に切り替えるなら、先に入庫の受付票へ、案内を送ってよいかを聞く欄を設けてください。

この記事の目次(8節)
  1. 割引を書いた案内メールで守ること
  2. 前回の車検を受けたお客様は「取引関係」に当たるか
  3. 受付票に書いておく2つのこと
  4. 満了日の2か月前から受けても、車検証の有効期間は短くならない
  5. 案内メールに入れるもの
  6. はがき・メール・SMS・LINEで違うこと
  7. これからの案内はどう変わるか
  8. はがきから切り替える前に決めること

案内に早期割引やキャンペーンを書くと、特定電子メール法という法律でいう広告宣伝メール(以下、宣伝のメール)に当たり、原則としてお客様の同意が要ります。1

はがきの郵便料金は、2024年10月の値上げで85円になりました。2 毎月100台に案内を出す工場なら、はがき代だけで月8,500円です。

文面はAIで下書きできます。切り替えで手間がかかるのは、文面より、送ってよい相手の確認だと考えています。

割引を書いた案内メールで守ること

宣伝のメールは、原則として、あらかじめ同意したお客様にしか送れません。携帯電話の番号に送るSMSも同じ扱いです。1

例外は、取引関係にあるお客様や、名刺などの書面で自分のメールアドレスを知らせたお客様などです。1 お客様が受付票に自分でメールアドレスを書いた場合も、書面で知らせた例に当たると考えられます。

それでも欄を設けるのは、割引の案内まで受け取るかをお客様が選べて、そのまま同意の記録にもなるからです。

宣伝のメールには、工場の正式な名前と住所、配信停止ができること、配信停止の連絡先(メールアドレスかURL)、苦情や問い合わせを受ける連絡先を書かなければなりません。5

正式な名前は、会社名か、個人の事業なら事業主の氏名です。屋号だけでは足りません。住所と問い合わせ先は、リンク先のページに書いてもかまいません。5

同意を得た記録は、最後に送った日から1か月間、保存しなければなりません。1

車検の案内メールの中身と、特定電子メール法 車検の案内 メール・SMS 取引の通知だけ 宣伝を含まず誘いもしない 宣伝のページへ誘う 工場のサービスのページ 割引・キャンペーン 広告宣伝メールに当たる 対象にならないことも 法律の対象 法律の対象 名前・住所と 配信停止・問い合わせ先
案内に割引を書いたり、宣伝のページへ誘ったりすると、特定電子メール法の対象になります。車検の案内そのものの例は、ガイドラインにありません。

取引の条件や料金の請求を知らせるだけの事務連絡は、対象外になることもあります。宣伝を書かず、宣伝のページにも誘わない場合です。この線引きは、総務省と消費者庁のガイドラインに書かれています。5

工場のサービスを宣伝するページへ誘うメールは、対象になります。5 車検の案内そのものの例はガイドラインに無いので、予約のページへのリンクを付けるなら、宣伝のメールとして扱うほうが安全です。

前回の車検を受けたお客様は「取引関係」に当たるか

取引関係は、続けて取引をしていて、宣伝のメールが届いてもお客様が驚かない間柄を指します。ガイドラインの例は、口座を開いて取引を続けている銀行の顧客です。5

1回利用しただけでは「必ずしも継続的な関係にあるとは言えない」と、ガイドラインは書いています。その後の取引が予定されていれば、取引関係といえる場合もあります。5

毎回同じ工場で車検や点検を受けているお客様は、取引関係に近いと考えています。一方、2年前に1回だけ車検を受けたお客様が当たるかどうかは、ガイドラインからは決められません。受付票で聞いておけば、この線引きで迷いません。

受付票に書いておく2つのこと

1つ目は、聞いた連絡先の使い道です。

個人情報保護法では、使い道をできる限り具体的に決めておく必要があります。個人情報保護委員会のガイドラインは、商品の発送やアフターサービス、新商品のお知らせのように、使い道を並べた書き方を例に挙げています。6

整備工場なら「整備・車検のご連絡と、車検・点検の時期やキャンペーンのご案内に使います」のように書けます。

2つ目は、案内を送ってよいかの問いです。お客様に、たとえば次の問いの「はい」か「いいえ」に印を付けてもらいます。

次回の車検・点検の時期と、キャンペーンのご案内を、○○自動車からメールまたはSMSでお送りしてもよろしいですか。配信はいつでも停止できます。 □はい □いいえ

お客様が記入した受付票は、同意の記録として保存します。配信停止の連絡があったお客様には、それ以後、宣伝のメールを送れません。1

満了日の2か月前から受けても、車検証の有効期間は短くならない

2025年4月から、車検証の有効期間が満了する日の2か月前から車検を受けても、残っている有効期間が失われなくなりました。それまでは1か月前からでした(離島は以前から2か月前)。3

国が期間を延ばしたのは、年度末に車検が集中し、その時期の整備士が残業や休日出勤に追われているからです。2019年から2023年の5年間の平均では、車検がいちばん多いのは3月で約389万台です。月の平均は約281万台です。4

この改正で、3月に満了する車も1月から車検を受けられます。案内が12月までに届いていれば、予約を早めてもらいやすくなります。

案内メールに入れるもの

入れるもの入れる理由
工場の正式な名前と住所誰からの案内かを示すため(宣伝のメールでは義務)
車種と車検満了日お客様が自分の車の話だと分かるため
2か月前から受けられること早めに予約してもらうため
予約の受け方電話・返信・リンクのどれで受けるかを示すため
配信停止ができることと、その連絡先宣伝のメールでは義務のため
苦情や問い合わせを受ける連絡先宣伝のメールでは義務のため(リンク先でもよい)

この表と、顧客台帳の車種と満了日をAIのチャットに貼り付ければ、お客様ごとの下書きを作れます。送る前に、満了日が台帳と合っているかを確かめてください。

はがき・メール・SMS・LINEで違うこと

送り方始めるのに要るもの送る費用
はがきお客様の住所1通85円
メールお客様のメールアドレス送るサービスによる
SMSお客様の携帯電話の番号送るサービスによる
LINE公式アカウントお客様の友だち追加月200通まで無料、5,000通まで月5,000円(税別)

LINE公式アカウントの料金は、月に送れる通数で分かれます。月200通の無料プランでは、200通を超えて送れません。7

LINEの案内を自動で送るようにした例もあります。埼玉県でスズキの新車・中古車を売り、車検や点検も受けている販売店は、友だち追加のときのアンケートで車検満了日を聞いています。8

この販売店は、LINE公式アカウントに足すツール「Lステップ」を使い、満了日を基に点検と車検のお知らせを自動で送っています。Lステップを売る会社の導入事例によると、紙のDMの手間が減ったそうです。8

これからの案内はどう変わるか

はがき代は上がり、人手も足りません。満了日の2か月より前にメールやLINEで案内し、返信で予約を受ける工場が増えるとみています。

案内を送る作業は、顧客管理ソフトやLINE公式アカウントを使えば、工場で回せます。ただ、満了月ごとに送る相手を選び、文面を作って送る作業は、台数が増えるほど手間になります。

当サイトのAI秘書は、LINE公式アカウントやメルマガのメッセージ配信のうち、文面づくりと配信の予約を引き受けます。送る前に内容をご確認いただき、配信に同意したお客様にだけ届けます。詳しくはAI秘書の集客・発信をご覧ください。

ほかの任せ方と比べた記事は、AI秘書のおすすめです。予約の電話を減らす方法は、受付の電話を減らす方法を比べた記事にあります。整備工場の事務でAIをどこから試すかは、自動車整備のAI活用で取り上げています。

はがきから切り替える前に決めること

いまの作業切り替える前に決めること
案内のはがきの宛名と印刷受付票にメールアドレスか携帯電話の番号を書いてもらうか
案内の文面割引やキャンペーンを書くか
案内を出す時期満了日の何か月前に送るか
予約の受け付け返信やLINEで受けるか、電話のままにするか

まずは、顧客台帳にメールアドレスか携帯電話の番号が入っているお客様が何人いるかを数えてみてください。

出典

  1. 総務省・消費者庁「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(2018年7月)(参照 2026-10-17)
  2. Impress Watch「郵便料金が10月1日から値上げ はがき85円」(2024年9月30日)(参照 2026-10-17)
  3. 国土交通省 物流・自動車局「道路運送車両法施行規則及び自動車損害賠償保障法施行規則の一部を改正する省令について」(2024年6月)(参照 2026-10-17)
  4. 国土交通省 物流・自動車局「来年4月より、車検を受けられる期間が延びます」(2024年6月25日)(参照 2026-10-17)
  5. 総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」(2011年8月)(参照 2026-10-17)
  6. 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年6月14日施行版)(参照 2026-10-17)
  7. LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」(参照 2026-10-17)
  8. Lステップ「導入事例(埼玉県のスズキの新車・中古車販売と車検・点検の事業者)」(参照 2026-10-17)