小売のAI活用事例、請求書の処理が半分以下になった坂善商事とコメリ
悠 Yu NiiboriAIエンジニアプロフィール
出典 5件

要点
対象:店舗の請求書を紙で受け取っている小売の経理担当
- 坂善商事は月に300件近い請求書が対象
- コメリは年間約7,000時間の業務が減った
- インボイスの確認と税区分は人が決める
小売で請求書の読み取りを機械に任せて減ったのは、店頭の仕事より先に、本部に届く請求書の事務でした。
この記事の目次(6節)
- 34店舗の坂善商事は、月に300件近い請求書を1枚ずつ手で処理していた
- 1,200店超のコメリは、紙の請求書の回覧をやめた
- 2社の数字は、どの仕事が減った数字か
- 人が残した仕事は、インボイスの確認と税区分の選択
- 試す前に、自社の請求書を数える
- 請求書の事務をAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる
紳士服・婦人服の坂善商事は、請求書の処理工数が半分以下になりました。ホームセンターのコメリは、1件あたりの工数が約3分の1です。どちらも導入元の発表によります。13
請求書の処理には、受け取る・読み取る・仕訳する・払う、の4つの仕事があります。2社とも、読み取りと仕訳の入力を機械に任せ、確かめる仕事は人に残しています。
どちらの発表にも「AI」の語はなく、紙の請求書を読み取ってデータにする仕組みとして書かれています。この記事では、そうした読み取りの仕組みも小売のAI活用に数えています。
34店舗の坂善商事は、月に300件近い請求書を1枚ずつ手で処理していた
受け取った請求書の大半が紙だった
坂善商事は、関東を中心に、紳士服・婦人服の店舗を34展開しています(2024年3月時点)。本部に届く請求書は月に300件近くあり、ほとんどが紙でした。1
請求書をデータにし、仕訳をして、支払いのデータを作り、ファイルに綴じる作業を、1枚ずつ手でしていました。請求書は、仕入れ以外の通常のもの、社内専用の手書き伝票、仕入先からのものの3種類ありました。1
読み取りと仕訳の入力を、請求書の受け取りサービスに替えた
3つのサービスを比べて、LayerXの「バクラク請求書」を選んでいます。決め手は、請求書を読み取るOCR(紙やPDFの文字を機械で読み取る技術)の精度の高さと、価格でした。1
受け取りから仕訳までを丸ごと代行するサービスも候補にありましたが、利用料が1人分の人件費ほどになるため外しています。1
導入後は、請求書の処理工数が半分以下になりました。受け取る請求書の約半分は、各部門が受け取って、そのままアップロードしています。1
二重払いや支払い漏れも減った
以前は、まれに二重払いや支払漏れがありました。担当者によると、過去の請求書を探しやすくなり、支払いの状況もレポートで確かめられるため、ミスが減りました。1
1,200店超のコメリは、紙の請求書の回覧をやめた
開封・押印・回覧を、部門ごとにしていた
コメリは、ホームセンターなどを全国に1,200店以上運営しています。受け取る請求書は、1年に2万5,000件を超えます。以前は、受け取りから処理まで紙でした。3
各部門が請求書を振り分け、開封し、押印して回覧していました。仕訳の伝票も別に作って印刷していました。請求書は月末や月初に経理へ集中し、支払いが遅れるおそれがありました。3
2023年8月から、Sansanの「Bill One」で処理している
コメリは2023年8月に、Sansanの「Bill One」を入れました。Bill Oneの上で、請求書の確認、承認、仕訳をします。承認する人は、請求書ごとにオンラインで決められます。3
Sansanの発表では、年換算で約7,000時間の業務が減りました。請求書1件あたりの処理工数は、約3分の1です。月次決算の締め日も早まっています。3
2社の数字は、どの仕事が減った数字か
| 坂善商事 | コメリ |
|---|
| 規模 | 34店舗 | 1,200店超 |
| 請求書の数 | 月に300件近く | 年に2万5,000件以上 |
| 以前のやり方 | 紙の請求書を手でデータにして仕訳 | 紙を回覧し、仕訳の伝票も別に作成 |
| 減った数字 | 処理工数が半分以下 | 年間約7,000時間・1件あたり約3分の1 |
| 数字の出どころ | 導入元(LayerX)の事例ページ | 導入元(Sansan)の発表 |
どちらの数字も、導入元が出した事例です。測り方や、何と比べた「半分以下」「約3分の1」かは、発表に書かれていません。13
同じバクラクを使う寝具ブランドの例
坂善商事と同じバクラクを使う寝具ブランド「NELL」を運営するMorghtは、振込の作業が実質3日ほどから数分になったと話しています。月次決算の経理の処理時間は、10分の1以下になりました。導入前は、月次決算全体に約2か月かかっていました。2
NELLの事例ページには、「AI-OCRによる自動読み取り」を評価した、とあります。なお、この事例は2023年4月の公開です。2
人が残した仕事は、インボイスの確認と税区分の選択
坂善商事の事例では、担当者が次の点を確かめています。1
| 人がする確認 | 確かめる理由 |
|---|
| 受け取った請求書が、インボイス(適格請求書)にあたるか | 仕入れの消費税を差し引く(仕入税額控除)には、原則としてインボイスの保存が要るため4 |
| 税区分(税率の区分)の選択 | 請求書の内容に合う税区分を選ぶため |
| 処理を間違えたとき、どの取引かを特定して直す | 誤りが見つかったとき、人が取引を探して直しているため |
インボイスを出した相手が登録事業者かどうかは、国税庁の公表サイトで、登録番号を入れて調べられます。登録番号は「T」を除く13桁の数字で、一度に10件まで検索できます。5
坂善商事は、いまの運用を担当者1人で回しています。ほかの人でも運用できるようにするのが、今後の課題です。1
試す前に、自社の請求書を数える
2社は、請求書が多く、紙で届いていた会社です。自社が近いかどうかは、次の4つを数えると分かります。
| 数えること | 2社の場合 |
|---|
| 1か月に受け取る請求書の枚数 | 坂善商事は月に300件近く、コメリは年に2万5,000件超 |
| 紙で届く請求書の割合 | 坂善商事はほとんどが紙、コメリは受け取りから処理まで紙だった |
| 請求書を受け取る人 | 坂善商事では、受け取る請求書の約半分を各部門が受け取り、そのままアップロードした |
| 人が確かめている点 | インボイスの確認、税区分、間違いの修正 |
請求書の読み取りの料金は、マネーフォワードのAI-OCRの記事で取り上げました。経費の精算は、経費精算の確認の記事にあります。店舗の売場でAIを使う例は、小売のAIカメラの記事にまとめました。
当サイトのAI秘書でも、受け取った請求書・領収書の読み取り、登録番号の照合、会計ソフトへの取り込みを引き受けています。範囲はAI秘書の請求・経理に載せています。
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