要点

対象:店舗の請求書を紙で受け取っている小売の経理担当

  1. 坂善商事は月に300件近い請求書が対象
  2. コメリは年間約7,000時間の業務が減った
  3. インボイスの確認と税区分は人が決める

小売で請求書の読み取りを機械に任せて減ったのは、店頭の仕事より先に、本部に届く請求書の事務でした。

この記事の目次(6節)
  1. 34店舗の坂善商事は、月に300件近い請求書を1枚ずつ手で処理していた
  2. 1,200店超のコメリは、紙の請求書の回覧をやめた
  3. 2社の数字は、どの仕事が減った数字か
  4. 人が残した仕事は、インボイスの確認と税区分の選択
  5. 試す前に、自社の請求書を数える
  6. 請求書の事務をAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる

紳士服・婦人服の坂善商事は、請求書の処理工数が半分以下になりました。ホームセンターのコメリは、1件あたりの工数が約3分の1です。どちらも導入元の発表によります。13

請求書の処理には、受け取る・読み取る・仕訳する・払う、の4つの仕事があります。2社とも、読み取りと仕訳の入力を機械に任せ、確かめる仕事は人に残しています。

どちらの発表にも「AI」の語はなく、紙の請求書を読み取ってデータにする仕組みとして書かれています。この記事では、そうした読み取りの仕組みも小売のAI活用に数えています。

34店舗の坂善商事は、月に300件近い請求書を1枚ずつ手で処理していた

受け取った請求書の大半が紙だった

坂善商事は、関東を中心に、紳士服・婦人服の店舗を34展開しています(2024年3月時点)。本部に届く請求書は月に300件近くあり、ほとんどが紙でした。1

請求書をデータにし、仕訳をして、支払いのデータを作り、ファイルに綴じる作業を、1枚ずつ手でしていました。請求書は、仕入れ以外の通常のもの、社内専用の手書き伝票、仕入先からのものの3種類ありました。1

読み取りと仕訳の入力を、請求書の受け取りサービスに替えた

3つのサービスを比べて、LayerXの「バクラク請求書」を選んでいます。決め手は、請求書を読み取るOCR(紙やPDFの文字を機械で読み取る技術)の精度の高さと、価格でした。1

受け取りから仕訳までを丸ごと代行するサービスも候補にありましたが、利用料が1人分の人件費ほどになるため外しています。1

導入後は、請求書の処理工数が半分以下になりました。受け取る請求書の約半分は、各部門が受け取って、そのままアップロードしています。1

二重払いや支払い漏れも減った

以前は、まれに二重払いや支払漏れがありました。担当者によると、過去の請求書を探しやすくなり、支払いの状況もレポートで確かめられるため、ミスが減りました。1

1,200店超のコメリは、紙の請求書の回覧をやめた

開封・押印・回覧を、部門ごとにしていた

コメリは、ホームセンターなどを全国に1,200店以上運営しています。受け取る請求書は、1年に2万5,000件を超えます。以前は、受け取りから処理まで紙でした。3

各部門が請求書を振り分け、開封し、押印して回覧していました。仕訳の伝票も別に作って印刷していました。請求書は月末や月初に経理へ集中し、支払いが遅れるおそれがありました。3

2023年8月から、Sansanの「Bill One」で処理している

コメリは2023年8月に、Sansanの「Bill One」を入れました。Bill Oneの上で、請求書の確認、承認、仕訳をします。承認する人は、請求書ごとにオンラインで決められます。3

Sansanの発表では、年換算で約7,000時間の業務が減りました。請求書1件あたりの処理工数は、約3分の1です。月次決算の締め日も早まっています。3

2社の数字は、どの仕事が減った数字か

坂善商事コメリ
規模34店舗1,200店超
請求書の数月に300件近く年に2万5,000件以上
以前のやり方紙の請求書を手でデータにして仕訳紙を回覧し、仕訳の伝票も別に作成
減った数字処理工数が半分以下年間約7,000時間・1件あたり約3分の1
数字の出どころ導入元(LayerX)の事例ページ導入元(Sansan)の発表

どちらの数字も、導入元が出した事例です。測り方や、何と比べた「半分以下」「約3分の1」かは、発表に書かれていません。13

同じバクラクを使う寝具ブランドの例

坂善商事と同じバクラクを使う寝具ブランド「NELL」を運営するMorghtは、振込の作業が実質3日ほどから数分になったと話しています。月次決算の経理の処理時間は、10分の1以下になりました。導入前は、月次決算全体に約2か月かかっていました。2

NELLの事例ページには、「AI-OCRによる自動読み取り」を評価した、とあります。なお、この事例は2023年4月の公開です。2

人が残した仕事は、インボイスの確認と税区分の選択

坂善商事の事例では、担当者が次の点を確かめています。1

人がする確認確かめる理由
受け取った請求書が、インボイス(適格請求書)にあたるか仕入れの消費税を差し引く(仕入税額控除)には、原則としてインボイスの保存が要るため4
税区分(税率の区分)の選択請求書の内容に合う税区分を選ぶため
処理を間違えたとき、どの取引かを特定して直す誤りが見つかったとき、人が取引を探して直しているため

インボイスを出した相手が登録事業者かどうかは、国税庁の公表サイトで、登録番号を入れて調べられます。登録番号は「T」を除く13桁の数字で、一度に10件まで検索できます。5

坂善商事は、いまの運用を担当者1人で回しています。ほかの人でも運用できるようにするのが、今後の課題です。1

試す前に、自社の請求書を数える

2社は、請求書が多く、紙で届いていた会社です。自社が近いかどうかは、次の4つを数えると分かります。

数えること2社の場合
1か月に受け取る請求書の枚数坂善商事は月に300件近く、コメリは年に2万5,000件超
紙で届く請求書の割合坂善商事はほとんどが紙、コメリは受け取りから処理まで紙だった
請求書を受け取る人坂善商事では、受け取る請求書の約半分を各部門が受け取り、そのままアップロードした
人が確かめている点インボイスの確認、税区分、間違いの修正

請求書の読み取りの料金は、マネーフォワードのAI-OCRの記事で取り上げました。経費の精算は、経費精算の確認の記事にあります。店舗の売場でAIを使う例は、小売のAIカメラの記事にまとめました。

当サイトのAI秘書でも、受け取った請求書・領収書の読み取り、登録番号の照合、会計ソフトへの取り込みを引き受けています。範囲はAI秘書の請求・経理に載せています。

請求書の事務をAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる

自社の請求書の事務のどこからAIに任せられるかは、無料AI業務診断(30分のオンラインの相談)で相談できます。相談のページからお申し込みください。

出典

  1. バクラク導入事例「坂善商事株式会社」(2024年3月26日)(参照 2026-10-31)
  2. バクラク導入事例「株式会社Morght」(2023年4月21日)(参照 2026-10-31)
  3. Sansan「コメリがBill Oneで年間約7000時間の請求書業務を削減」(2025年11月13日)(参照 2026-10-31)
  4. 国税庁「インボイス制度について」(参照 2026-10-31)
  5. 国税庁「インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト」(参照 2026-10-31)