要点

対象:介護の記録に時間を取られている事業所

  1. 記録1回の平均は4.0分から3.3分に
  2. 実証は2拠点・職員27人で、期間は不明
  3. 対象は日本のWorkspace利用者

介護施設を運営するシーユーシー(CUC)は、Geminiの「ケア記録アシスト」をホスピス型住宅で試し、介護記録を書く平均時間が4.0分から3.3分になったと発表しました。日付は2026年3月27日です。実証の期間は書かれていません。1

この記事の目次(5節)
  1. 実証の結果と、数字の条件
  2. 夜勤の残業はほぼなくなったが、AIが言っていないケアを書き足した
  3. 使い方と、データの扱い
  4. ほかの方法で記録を下書きにした例
  5. 試す前に確かめる4点

ケア記録アシストは、音声のメモ・文字・手書きメモの写真から、介護記録の下書きを作る機能です。Geminiアプリの「Gem(ジェム)」という、あらかじめ指示を登録して呼び出せる機能の1つとして公開されています。2

対象は、日本国内のGoogle Workspace(仕事用のGoogleアカウント)のユーザーです。2

ケア記録アシストで記録を作る流れ 職員が伝える 音声・文字・手書き写真 下書きを作る GeminiのGem 確かめて直す 職員が承認 介護ソフトに保存 いつもの記録として AIが受け持つ 人が受け持つ
ケア記録アシストで記録を作る流れ。職員が伝え、Gemが下書きを作り、職員が確かめて直したものを介護ソフトに保存します。

実証の結果と、数字の条件

実証は、CUCのグループ企業のCUCホスピスが運営するホスピス型住宅(がん末期や神経難病の方のための住宅)「ReHOPE」の2拠点で、職員27人で行われました。1

CUCは専用システムを作らず、いまの介護ソフトを使い続けました。1

発表された結果

項目発表されたこと書かれている条件
記録1回の平均時間4.0分から3.3分へ、約20%短縮1職員1人・入居者1人あたりの平均。期間と記録の件数は記載なし
職員1人の月の短縮約3.5時間1計算の根拠は記載なし
全59拠点の年間3万時間を超える見込み1全拠点に広げた場合の見込み
記録の質有識者の比較評価で、約6割のケースが、従来の手入力よりAIを使った入力のほうが質が高いとの回答1評価した件数と人数は記載なし
夜勤の残業夜勤で30〜40分出ていた記録の残業がほぼゼロ3CUCホスピスの代表の発言

短縮を割合にすると約17.5%で、発表の「約20%」は大まかな数字です。

職員の1人は、「手直しを含めても工数が2割ほど削減」と話しています。1 ただし、平均の4.0分と3.3分に手直しの時間が含まれるかは、発表に記載がありません。

CUCは、入力内容によっては従来のやり方が向く場面も一部あったと書いています。1

夜勤の残業はほぼなくなったが、AIが言っていないケアを書き足した

CUCホスピスの代表は、日経ビジネス電子版の特集(Google提供)で、夜勤の記録による残業がほぼゼロになったと話しています。職員の半数程度は、音声で入力しているそうです。3

同じ特集で、シーユーシーの担当者は、実証で起きた問題を話しています。AIが文脈から推察して、「言っていないケア内容まで自動で補足して作文してしまう」ことがあり、Googleは翌日に修正してくれたそうです。3

いまも同じことが起きないかは、確かめた資料に記載がありません。

Googleのブログは、AIの下書きを職員が確認し、承認してから正式な記録にする設計だと書いています。2 書き足しが起きうるので、確認は欠かせないと考えています。

使い方と、データの扱い

職員は、音声メモ・文字・手書きメモの写真のどれかを入れます。2 SOAPやF-DARといった記録の形式でも、下書きを作れます。2

事業所の書式に合わせる方法

Gemの画面右上の三点リーダーから「コピーを作成する」を選ぶと、指示文を直す画面になり、事業所の書式や用語の決まりを足せます。2

データの扱いと試験の成績

Googleは、入力したデータは、組織の外に共有されることも、GoogleのAIの学習に使われることもないと書いています。2

ブログには、東京都のケアマネジャーの実務研修受講試験と、介護福祉士国家試験の精度(99.7%と100%)も載っています。2 精度は5回の評価の平均で、試験問題の結果です。記録の下書きの正しさを測った数字ではありません。

ほかの方法で記録を下書きにした例

記録の下書きをAIで作る方法は、CUCのGemのほかにもあります。

方法例発表された数字条件
Gemを使う(開発なし)CUCホスピスのReHOPE記録1回の平均が4.0分から3.3分12拠点・27人。期間は記載なし
クラウドで自社の仕組みを組む在宅介護のやさしい手記録の整理に1件20分以上かかっていたのが、AIの作成は数秒、チェックを含めて平均14分(約30%の削減)。利用者が多い事業所では月25時間の削減4AWSの導入事例。測った期間は記載なし
開発会社が専用システムを作る利用者150人・スタッフ50人のデイサービス月100時間の業務削減5開発会社の記事に載った例で、算出方法は記載なし

やさしい手は、2023年にAWSでデータを集める基盤を作り、介護記録の整理にAIを使っています。4 介護スタッフは、利用者1人あたり月6万字の記録を、手作業でまとめていました。4

どの数字も、使った事業者か、仕組みを売る側が出したものです。外部の機関が検証したとは書かれていません。

日報・作業記録の清書は、当サイトのAI秘書でも引き受けています。任せられる範囲は、AI秘書の社内・総務で確かめられます。

試す前に確かめる4点

確かめること資料に書かれていること
使えるアカウント日本国内のWorkspaceのユーザー向け。使えるプランは記載がないので、管理者に確かめる2
Gemの移行時期GoogleはGemを「スキル」に移します。ビジネス・エンタープライズ・非営利のWorkspaceでは2027年3月です。ケア記録アシストが移行後も使えるかは、確かめた資料に記載がありません7(GemがスキルになるGoogleの発表の記事)
入力してよい情報個人情報を入力するときは、利用目的の範囲内かを確かめます。本人の同意なしに個人データを入れるなら、サービスの会社が機械学習に使わないかも確かめます6
何と比べるかCUCは記録1回の平均時間。自分の事業所で、手直しまで含めた時間を、いつもの書き方の時間と比べる

訪問の予定を組むAIを国が試した実証では、時間が減っても残業が増えました。その話は介護のAI活用の記事にあります。議事録の作成に使った北海道当別町の例は、当別町の議事録の記事にあります。

まず1人の職員が、個人情報を含まない練習用の記録でGemを1回試し、手直しまで含めた時間を、いつもの書き方の時間と比べてください。

出典

  1. 株式会社シーユーシー「【Geminiで介護DX】記録作業を「寄り添うケアの時間」に。CUCがGeminiを活用し介護記録業務の20%削減を実現」(2026年3月27日)(参照 2026-10-20)
  2. Google Japan Blog「日本の介護現場に、人が人と繋がる時間を。Gemini アプリの Gem 機能に「ケア記録アシスト」を公開」(2026年3月27日)(参照 2026-10-20)
  3. 日経ビジネス電子版Special(Google提供)「生成AIで挑む介護の労働力不足 業務効率化と質の高いケア両立へ」THE NEXT X 変革の扉(参照 2026-10-20)
  4. AWS 導入事例「株式会社やさしい手」(参照 2026-10-20)
  5. AI活用顧問「介護記録の音声入力AI 5選比較|記録時間を半分にする無料・有料ツールと導入手順【2026年版】」(2026年3月25日)(参照 2026-10-20)
  6. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(参照 2026-10-20)
  7. Gemini Apps Help「About the transition from Gems to skills」(参照 2026-10-20)