要点

対象:自由記述やメールの仕分けに手間がかかる職場

  1. 約2,600件の分類が2週間から2日に
  2. 分けた結果は職員が点検している
  3. 日々の業務全体の効果は数字にしづらい

大分県別府市は、アンケートの自由記述を分ける作業に生成AIとRPAを使い、2週間ほどかかる作業が2日ほどで済むようになったと実感しています。

この記事の目次(7節)
  1. 約2,600件の自由記述は、職員1人で分けると2週間ほどかかる作業だった
  2. 使えるのは全職員、利用料は月77,000円
  3. 日々の業務全体の効果は、数字にするのが難しいと市は書いている
  4. 同じ事例集に載る横須賀市と当別町は、別の仕事で別の数字を出している
  5. 職員が受け持つのは、結果の点検と、入力してよい情報の確認
  6. 試すなら、先に自由記述とメールの件数を数える
  7. この仕事をAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる

対象は、市民アンケートの自由記述約2,600件分です。自由記述とは、選択肢ではなく、回答者が文章で書く欄のことです。2

なお、2週間と2日を比べた数字があるのは、この作業だけです。ほかの業務で作業時間を比べた数字は、資料にありません。1

約2,600件の自由記述は、職員1人で分けると2週間ほどかかる作業だった

1件ずつ読んで、内容ごとに分ける仕事

自由記述は、職員が1件ずつ読んで、内容ごとに分ける作業でした。1

約2,600件を職員1人で分けると、2週間ほどかかります。2

生成AIとRPAで分け、職員が確かめた

別府市は、この作業に生成AIとRPAを使いました。RPAとは、パソコンの決まった操作を、ソフトが人の代わりに繰り返す仕組みです。2

生成AIが分類し、その結果を職員がチェックする流れです。1

市は、2週間ほどかかる作業が2日ほどで済むようになったと実感しています。2

市民から届いた意見のメールも、同じ仕組みで分けて要約しています。12

使えるのは全職員、利用料は月77,000円

机のパソコンから、行政専用のネットワークで使う

別府市が使うのは、シフトプラス株式会社の「自治体AI zevo」です。市の資料によると、中のAIはOpenAI社のChatGPT4-8Kです。試験運用の第1弾はChatGPT3.5でした。13

職員が日ごろ使うパソコンから、LGWANで使います。LGWANとは、自治体どうしをつなぐ行政専用のネットワークです。入力した内容は、生成AIの学習に使われない形になっています。23

使えるのは誰か、いくらか、何に注意するか

項目内容
使える人全職員。説明会に出るか動画を見た人で、業務に必要な人
申請申請して、上長の決裁で業務に使う確認を取る
利用料月77,000円(税込み)。市全体の料金か、人数ごとの料金かは資料に記載がありません
注意点3つだけ周知した

市が職員に伝えた注意点は3つです。3

  1. 質問に、機密情報や個人情報を入れない
  2. 回答はすべて信じず、事実を確かめる。そのまま使わず、参考にする
  3. 仕事では、無料のWeb版ChatGPTを使ってはいけない

本格運用の前に、試験運用を2回した

試験運用の第1弾は、2023年の8月から9月にかけて平日26日間行いました。41の課が使い、やり取りは1,778回でした。3

試験運用中のアンケートには、90人が答えました。効率が「大幅に上がると思う」「上がると思う」と答えた人は87%です。23

今後も使いたい人は92%でした。第2弾では、ChatGPT3.5とChatGPT4を比べました。1

日々の業務全体の効果は、数字にするのが難しいと市は書いている

数字になっているのは、自由記述の分類の1件

日々の業務での利用は、全体の効果を数字にするのが難しいと、市は説明しています。1

作業時間の数字が出ているのは、自由記述の分類の1件だけです。そのほかの効果は、「仕事の効率化が上がる」「新しいアイデアを得られる」という言葉で書かれています。1

市民向けのチャットボットは、仕事の効果をまだ測っていない

別府市は、子育ての質問に答えるチャットボットも試験運用しました。2024年3月は139回使われ、答えられたのは75件です。その75件のうち70件が正しく、93.3%でした。1

効果は、2024年6月の時点でまだ測っていません。2025年以降の運用の数字は、確認した資料にはありません。1

3つの数字は、誰が何について言った数字かが違う

数字何の数字か出どころ
2週間から2日ほど約2,600件の自由記述の分類市が「実感している」と書いた(事例集)
87%試験運用のアンケートで、効率が上がると答えた割合職員の回答
70件/75件チャットボットが答えた75件のうち、正しかった数市の試験運用(2024年3月)

同じ事例集に載る横須賀市と当別町は、別の仕事で別の数字を出している

総務省の事例集には、別府市のほかにも自治体が載っています。仕事も、数字の出し方も違います。2

自治体仕事数字数字の種類
別府市アンケートの自由記述の分け作業2週間ほどから2日ほどに業務で使った結果への実感
横須賀市文章作成や企画立案など年間22,700時間の改善効果利用人数と1件あたりの削減効果から出した見込み
当別町議事録の作成2〜3時間が30分ほど導入後に実感していること

横須賀市の数字は、計算で出した見込みです。別府市と当別町の数字は、実際に使った結果を市と町が実感として書いたものです。2

当別町の事例は、LoGoAIアシスタントで議事録を作る当別町の記事で詳しく扱いました。

職員が受け持つのは、結果の点検と、入力してよい情報の確認

職員が受け持つ仕事は、2つあります。

  • 生成AIが分けた結果を、職員が点検する1
  • 事実と違う答えが出ることがあるため、回答の内容は必ず確認するよう利用者に求める2

職員が結果を確かめる時間が、この2日に入っているかは、資料に記載がありません。入力してはいけない情報の線引きは、3つの注意点で決めています。3

試すなら、先に自由記述とメールの件数を数える

別府市の例は、件数が多い仕事でした。自社の仕事が近いかは、次の4つを確かめると見当がつきます。

数えること別府市の場合
アンケート1回分の自由記述の数約2,600件
今は誰が何日かけて分けているか職員1人で2週間ほど
分けたあと、誰が点検するか職員がチェックする
入力してはいけない情報は何か機密情報と個人情報は入力しない

件数が多く、分ける区分を先に決められる仕事なら、生成AIに任せる候補になると考えています。区分があいまいだと、見直す手間が増えると考えるからです。

当サイトのAI秘書でも、メールやフォームに届いた問い合わせの受付と振り分けを引き受けています(AI秘書の顧客対応)。

社内で使う生成AIの決めごとは、社内チャットボットの失敗を防ぐ記事にまとめています。報告書づくりの例は税理士の生成AI活用の記事に載せました。 請求書の事務の例は小売の請求書の記事にあります。

この仕事をAIに任せられるか、無料AI業務診断で確かめる

アンケートの自由記述や問い合わせメールの仕分けを、どこからAIに任せられるかは、無料AI業務診断(30分のオンラインの相談)で相談できます。相談のページからお申し込みください。

出典

  1. 愛媛県に掲載された別府市の取組事例「自治体業務の効率化の切り札"AI"を使うしかないでしょう!」(2024年6月時点の資料)(参照 2026-11-01)
  2. 総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック 別冊付録 先行団体における生成AI導入事例集」(2024年7月)(参照 2026-11-01)
  3. 別府市「生成AIの実証運用(第1弾)のまとめ」(2023年10月25日)(参照 2026-11-01)