要点

対象:FAX注文書を手で入力する食品の受注担当者

  1. パンメーカーの実証は11分を約5分と試算
  2. 英国の精肉卸は1件約2分から8秒に
  3. AIを売る会社の発表で、第三者の検証なし

パンメーカーのコモは、FAXで届く注文書の処理にAIを試しました。処理時間を約11分から約5分にできると、AIの提供元のkozokaAIが試算しています。3

この記事の目次(7節)
  1. AIエージェントで処理時間を示した2つの例
  2. FAX注文書の処理に時間がかかるところ
  3. AIと受注担当者の役割分担
  4. 数字の出どころ
  5. 文字を読むAI-OCRの例
  6. 受注入力を減らす方法
  7. 試す前に確かめること

受発注AIエージェントは、届いた注文を読み取り、商品マスター(自社の商品の一覧)と照らし合わせて、受注の登録まで手伝うAIです。FAXの文字を読むだけのAI-OCR(AIで画像の文字を読む機能)より、受け持つ範囲が広くなります。

AIエージェントで処理時間を示した2つの例

事例使ったAI届く注文処理時間
コモ(愛知県小牧市のパンメーカー)kozokaAIの「コゾカAI 受注AIエージェント」月約1,500枚のFAX注文書1件約11分から約5分(実証での試算)3
Swaledale Butchers(英国の精肉卸)Chocoの「OrderAgent」導入前は約7割がWhatsApp、約3割が発注サイト1件約2分から8秒1

WhatsAppは、海外で広く使われているメッセージアプリです。8秒は、使い始めてしばらくたち、AIが注文の書き方を学んだあとの数字です。1

Swaledale Butchersでは、システムの接続から本稼働まで6週間足らずでした。営業と業務を担当するマネージャーは、シェフと話す時間ができたと言います。1

FAX注文書の処理に時間がかかるところ

コモのFAX注文書は、書式が取引先ごとに違い、同じ取引先でも支店で違うことがあります。コモの受注業務は、7人ほどで回しています。3

コモの担当者は、商品名の略称や独自表記を確かめながら、PDFにした注文書の中身を手で入力しています。そのデータを、RPA(決まった操作を自動で繰り返すソフト)で基幹システム(販売や在庫を管理する社内のシステム)に渡しています。3

1件の処理には、注文書を開く・対象を選ぶ・転記する・確かめる・システムに反映する、という作業が含まれます。3

AIと受注担当者の役割分担

注文が反映されるまで 注文が届く FAX・PDF・メール 読み取って照合 商品マスターで特定 確かめて承認 工程ごとに 販売管理に反映 承認した注文だけ AIが受け持つ 受注担当者が受け持つ
Intentiaの受発注AIエージェントでは、AIが注文を読み取って照合し、受注担当者が確かめて承認した注文が販売管理システムに反映されます。
製品・事例AIがすること受注担当者がすること
Intentiaの「受発注AIエージェント」読み取り、照合、受注の登録、在庫の確認、必要に応じた仕入先への発注、納期回答までを支援する各工程を確かめて承認してから、既存のシステムに反映する5
コモの実証読み取り、商品名・数量・納品日などのデータ化、商品マスターとの照合結果を確かめ、直して確定する3
Swaledale ButchersWhatsAppなどで届いた注文を読み取って処理するAIが入力した内容を確認する1

Intentiaは2026年9月30日に、受発注AIエージェントの提供開始を発表しました。いまの販売管理システムやExcelを入れ替えずに、つないで使います。5

数字の出どころ

どちらの数字も、AIを売る会社が出したものです。第三者が確かめたという記述は、どちらにもありません。13

事例出どころ
Swaledale ButchersChocoが自社のサイトに載せた導入事例。日付はない1
コモkozokaAIの2026年8月の発表。月約134時間の削減も試算で、導入後の実績ではない3

コモの実証は、1週間分の注文書338枚で行いました。kozokaAIは85種類の書式を確かめ、そのうち52種類で精度を検証しました。この52種類で、毎月届く注文書の6割超になります。3

52種類の書式で調べた結果割合
初期設定のままで処理できた24%
それとは別に、書式ごとに設定を調整して処理できた65%
合わせた分(kozokaAIは「自動化可能」と評価)約90%
さらに確認や調整が要る残り11%3

文字を読むAI-OCRの例

AI-OCRだけでも、入力時間は減っています。

事例使ったもの数字
森永商事(業務用の食品素材の製造・販売)「発注書AI-OCR(invox)」など注文書1枚の処理時間が約3分から1分弱2
Mizkan Logitec(ミツカングループの物流・受注)「発注書AI-OCR(invox)」と、2026年4月に加わった「読み取りAIエージェント」時間の数字はなし。書式の登録が速く進み、当初の目標の約600件を大きく上回る1,400件以上を登録して使えるようになった4

森永商事は受注の大半をFAXで受け、受注業務に月100時間ほどかけていました。これらの数字は、ツールを売るインフォマートが2023年11月に発表し、IT Leadersが報じたものです。2

Mizkan Logitecは、注文の85%をEDI(取引先と注文をデータでやり取りする仕組み)で受けていました。残るFAX注文書は、月に約12,000枚です。Mizkan Logitecの数字は、ツールを売るインフォマートの発表です。4

受注入力を減らす方法

方法向いているとき
注文書を読み取るAI-OCRを入れる枚数が多く、取引先ごとの書式を登録して長く使える
受注の登録まで手伝うAIを、いまの販売管理システムにつなぐ照合や納期回答の手間まで、まとめて減らしたい
スマートフォンで撮った注文書を、ChatGPTに表にさせる1日に数枚で、まず試してみたい
取引先にEDIやWeb発注に切り替えてもらうFAXの受注そのものをなくしたい。Mizkan Logitecも最終的にはこれを目指す4

ChatGPTの画面で書類を撮る方法は、ChatGPTのカメラで書類をPDFにする記事にあります。

表にさせるときは、読めない品名を推測で埋めないよう指示してください。その1文でAIの作り話がどれだけ減るかは、「推測するな」と指示した実験の記事にあります。

当サイトのAI秘書も、メールやFAXで届いた注文書を受注台帳に転記する仕事を引き受けます。任せられる範囲はAI秘書の営業・受注で確かめられます。

商品の特定がベテランの経験に頼っているなら、先に業務を分けて整理しておくと、試す範囲を決めやすくなります(属人化の解消にAIを使う記事)。

試す前に確かめること

Mizkan Logitecも、取引先ごとの書式を登録して使っています。書式が多いほど、登録や設定の手間は増えると考えます。

確かめることなぜか
注文書の書式が何種類あるかコモも、1週間分の注文書を使って書式を数え、書式ごとに設定を調整した
商品マスターに略称や旧品番が載っているか商品マスターで見つからなかった品目は、受注担当者が探し直すことになる
読み取った結果を、基幹システムにどう取り込むかコモの実証では、基幹システムへの取り込みまでは確かめていない
処理時間をどう測るか注文書を開いてから登録し終えるまでの1件あたりの時間を、いまのやり方と比べる

まずは届いたFAX注文書を1週間分取っておき、書式ごとに分けてみてください。

出典

  1. Choco「Swaledale Butchers」導入事例(日付の記載なし)(参照 2026-10-21)
  2. IT Leaders「森永商事、発注書の取り込みにAI-OCRを導入して受注業務を省力化」(2023年11月29日)(参照 2026-10-21)
  3. 株式会社kozokaAI「ロングライフパンの製造・販売を手がける株式会社コモ、受注業務のAI活用に向けPoCを実施」(2026年8月26日)(参照 2026-10-21)
  4. 株式会社インフォマート「ミツカングループの物流を支えるMizkan Logitec、持続可能な物流体制構築に向け「発注書AI-OCR(invox)」導入」(2026年7月28日・PR TIMES)(参照 2026-10-21)
  5. Intentia株式会社「営業支援と受発注の2つのAIエージェントを提供開始」(2026年9月30日・PR TIMES)(参照 2026-10-21)