要点

対象:商談後の整理に時間を取られる工務店

  1. 全社で使う会社は9.4%
  2. 最初の仕事は商談後のメモ
  3. 録音前に2点を確認

建築・建設業の経営者への調査(2026年3月)では、約9割が、経営者個人でChatGPTを使っていました。ところが、全社で標準的に使っている会社は9.4%です。1

この記事の目次(4節)
  1. 調査を行った団体と、答えた人数
  2. 商談後のメモ整理は、作業時間が減った例がある
  3. 先に任せる仕事と、後に回す仕事
  4. 録音を入れる前に確かめる2つ

AIを経営に活かすうえで、最も多かった壁は「何から始めるかわからない」の約51%でした。1

工務店が最初に任せる仕事には、商談のあとのメモ整理が向いていると考えています。ただし、お客様の名前や家族の事情が入る録音を扱う前に、確かめることが2つあります。

調査を行った団体と、答えた人数

調査は建築AI経営研究会(株式会社LIFEFUNDが運営)が行い、3月に答えた経営者は53人でした。「AI人材がいない」「セキュリティが怖い」を壁に挙げた経営者は、どちらも10%未満です。1

6月の再調査に答えたのは、3月とは別の経営者31人です。その多くは従業員29名以下の会社で、数字の変化は目安にとどまります。2

6月は「何から始めればよいか」と答えた割合が、3月の約51%から29.0%に下がりました。かわりに「現場や社員がついてこない」が、3月の1割未満から22.6%に増えました。2

何に手を付けるかが決まると、次は社員が使い続けるかが課題になる、という流れだと見ています。調査はこの因果までは示していません。最初の仕事は、使う人が少なくても回り、結果を自分の目で確かめられるものが向いていると考えています。

商談後のメモ整理は、作業時間が減った例がある

住宅営業向けAIアシスタント「タノモシカ」(安心計画株式会社・福岡市)は、商談の録音を文字起こしして議事録にし、会話からお客様の要望を整理します。4

導入した工務店の一部では、録音データをアップロードしてからのメモ整理と提案の準備が、1〜2時間程度から5〜10分程度になったそうです。安心計画側の説明として報じられました。3

外部の検証はありません。商談の長さや書く量で、時間は変わります。

タノモシカには、商談前の準備、初回商談のロールプレイ、土地の提案、資金計画、追客メール、クロージングの準備の機能もあります。4

2026年7月1日からは、住宅プラン提案サービス「マイホームロボ」との連携も始まりました。商談で出た要望を、プランを探す条件に変換できます。

別途、マイホームロボの契約が必要です。初期費用は不要とされています。料金は、公式サイトで確認してください。4

先に任せる仕事と、後に回す仕事

家づくり比較なびのページは、工務店向けのAI活用事例を、設計の案づくり、見積の数量拾い、工程計画、現場写真の整理、顧客対応のチャットボットなど10種類で紹介しています。5

このページには「成果報酬を受け取る場合があります」と書かれていて、効果を裏づける具体的な数字は示されていません。使い道の一覧として読むのが無難です。5

どれから試すかは、お客様や現場に届く前に、人が結果を読み直せる仕事かどうかで決めます。

仕事AIにさせること見直す人間違いに気づけるのは
商談後のメモ整理録音を文字起こしして、要望を整理する営業担当提案書や見積に使う前
ブログ・SNS投稿文の下書きを作る社長か担当者公開する前
現場写真の整理・報告書写真の仕分けと、日報の下書きを作る現場監督提出する前
顧客対応のチャットボット定型の質問に24時間答える送信後に確認する人お客様に届いたあと
見積の数量拾い図面から数量を読み取る積算の担当者金額に響いたあと
映像による危険の検知カメラ映像から危険な動きを見つける現場監督見逃したあと

上の3行は、AIの出した文章や整理を人が読んでから使えます。下の3行は、間違いがお客様や現場に直接届くので、メモ整理で慣れてからにするのが安全だと思います。

商談メモの要約と次回までの対応事項の整理は、当サイトのAI秘書の営業・受注でも任せる仕事の一つです。

録音を入れる前に確かめる2つ

商談の録音には、お客様の名前や住所、家族の事情が入ります。

録音の文字起こしはChatGPTで音声ファイルを文字起こしする記事で扱いました。個人情報保護委員会は2023年6月、生成AIを仕事で使う事業者に向けて、2つの注意点を示しました。6

1つめは、AIに入れる内容が、お客様に伝えた個人情報の使い道の範囲に収まっているかどうかです。委員会の言葉では「利用目的を達成するために必要な範囲内」です。AIでの文字起こしが使い道に入っているかを、見ておくと安全です。

2つめは、サービスを提供する会社が、入力内容を機械学習に使わないかどうかです。

本人の同意を得ずに個人データ(名簿やデータベースにまとめた個人情報)を入力すると、個人情報保護法に違反する可能性があります。ただし、入力したデータが答えを出す以外の目的で扱われる場合です。たとえば、機械学習への利用です。6

この2つについて、使う製品の利用規約がどう書いているかは、規約と問い合わせで確認します。この記事では、タノモシカの規約までは確認していません。

個人情報を入れてしまったときの対応は、社員が私用のAIに個人情報を入れたときの記事にまとめています。建設会社全体の動きは、建設業のAI活用の記事にあります。

まず、直近の商談を1件選び、そのあとのメモ整理と提案の準備に何分かかったかを、思い出してみてください。

出典

  1. 財経新聞(株式会社LIFEFUNDのプレスリリース)「建築AI経営実態調査2026」の結果(2026年3月調査)(参照 2026-10-13)
  2. PR TIMES(建築AI経営研究会)「建築AI経営実態調査 定点観測レポート(2026年3月→6月)」(参照 2026-10-13)
  3. データ・マックス「机上での支援から、いずれ現場へ 建設業はAIでどう変わる?(後)」(2026年9月3日)(参照 2026-10-13)
  4. PR TIMES(安心計画株式会社)「タノモシカ」とマイホームロボの連携機能の提供開始(2026年7月9日発表)(参照 2026-10-13)
  5. 家づくり比較なび「工務店の業務効率化を実現するAI活用事例10選」(更新日 2025年11月16日)(参照 2026-10-13)
  6. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(参照 2026-10-13)