AIに「この県の工務店を50社、リストにして」と頼めば、それらしい一覧はすぐに出てきます。でもその一覧、そのまま営業に使って大丈夫でしょうか?

この記事の目次(4節)
  1. このサイトでは、AIが会社のサイトから候補を集める
  2. 業種の仕分けは、1語でひっくり返る
  3. メールで送るなら、公表されたアドレスとお断りの文言を見る
  4. 自社の営業リストをAIで作るときの頼み方

答えから言うと、AIに任せやすいのは、公開されている会社のサイトから候補を集めて、業種や規模の見当を付けるところまで。どの会社に連絡するかを最後に決めるのと、業種が合っているかを確かめるのは、人がやるほうが安全です。

営業リストは、営業をかける相手の会社名・業種・連絡先などを並べた一覧のことです。AIで作るやり方は、だいたい3つ。ChatGPTなどに直接頼むか、AIに検索させるか、企業データベースのサービスにAIをつなぐかです。

このサイトでは、AIが会社のサイトから候補を集める

このサイトにも、AIが営業先を探す仕組みがあります。AIが動くのは平日の朝です。採用ページや、補助金に採択された会社の一覧を手がかりに、その会社のサイトを開いて候補を集めます。

集めるのは、相手の会社が自分のサイトに載せている情報だけです。買った名簿や、推測で作ったメールアドレスは使いません。会社の規模も、会社概要や採用ページから見当を付けます。

ここまでは、人が手でやると1社ごとに時間がかかる作業です。たくさんのページを開いて読み、書かれていることを表に写す。こういう仕事こそ、AIが得意なんですね。

ただ、AIが集めた一覧は、あくまで「候補」です。このサイトでは、送ってよいかを確かめるチェックを、AIとは別にプログラムで置いています。お断りの文言がないか、フォームに画像認証がないか。プログラムが、こうした点を送る直前に見ます。

このチェック、はじめは思ったより厳しかったんです。10月27日に実在のサイトで試しに動かしたときは、全部がここで止まり、1通も送れない結果でした。

試したサイトは8つ。止まった理由は、営業時間などの基本情報が足りないものがいちばん多く、5件でした。

ほかはロボットよけ(自動の入力を防ぐ仕組み)と、当時決めていた営業先の業種に入らなかったことです。

このサイトの営業先探し 候補を集める 業種を分ける 送る前のチェック 送るのは人 各社の公式サイト 採用・補助金の一覧 買った名簿は使わない キーワードで照らす 医療・介護を先に見る 1語でずれる お断りの文言 画像認証 会社の規模 送るスイッチ 返事を読んで返す いまは下書きまで AI プログラムの決まり(AIを使わない) 人 架空の8社のうち4社が医療・介護に
このサイトの営業先探しの流れ。AIが各社の公式サイトから候補を集め、業種は決まったキーワードの一覧で分けます。送る前の確かめはプログラムがし、送るスイッチは人が入れます。

このサイトで請け負っているAI秘書(事務の仕事をAIに任せる仕組み)でも、営業・受注の仕事は、顧客台帳や名刺のデータ化をAIに任せ、提案書や見積書は人が確かめてから出します。事務作業をAIに任せるときの考え方も、同じ分け方です。

業種の仕分けは、1語でひっくり返る

営業リストで地味に大事なのが、業種の列です。業種で文面や提案する内容を変えるなら、ここが外れると話がかみ合いません。

このサイトの仕組みでは、業種をAIに判断させず、キーワードの一覧と照らし合わせて決めています。病院や介護の語が1つでもあれば、ほかの業種の語があっても「医療・介護」にします。

このサイトは、医療や介護の相手には事務の仕事の手伝いだけを提案すると決めています。患者さんとの連絡まで、誤って引き受けると持ちかけないための決まりです。

11月8日に、架空の会社のサイトを8つ用意して、サイトの文をこの判定に通してみました。会社名も文も、このために書いたものです。

すると、8社のうち4社が「医療・介護」に分けられたんです。「介護リフォーム」を手がける工務店と、「福祉施設の近くの物件」を紹介する不動産会社が、ここに入りました。

「看護師さん歓迎」と書いた美容室と、「メディカル英語コース」がある英会話スクールも同じでした。どれも、本文の1語に引っ張られています。

反対に、名前に「税理士事務所」と入ったサイトは、本文に「クリニックの顧問」とあっても士業(税理士や行政書士など)に分けられました。

10月27日に行政書士のサイトが「介護」の1語で外れたので、サイトの名前に「税理士事務所」などがあれば、そちらを優先するように直していたんです。

それでも、直すたびに、試していなかった言い回しで別の外れ方が見つかりました。業種の列は外れることがあるものと思って、人が何社か開いて確かめるのが近道だと考えています。ChatGPTなどに業種を付けさせる場合も、確かめ方は同じでよいはずです。

今回の工務店が「医療・介護」のままなら、工事の会社なのに、医療や介護の相手向けの文面になってしまいます。

メールで送るなら、公表されたアドレスとお断りの文言を見る

営業リストにメールアドレスを入れて広告宣伝メールを送るなら、特定電子メール法が関係してきます。広告宣伝メールを送ってよい相手などを決めた法律です。

特定電子メール法の第3条は、同意した人などに加えて、自分のメールアドレスを公表している団体や個人にも送れると定めています。個人の場合は、個人事業主のように事業をしている人に限られます。

ただ、施行規則の第3条には例外の一文があります。アドレスと一緒に「広告のメールはお断り」のような文言をインターネットで公開している相手は、この「公表」に当たりません。

「送らないで」と求められたら、原則として、その相手には送れません。だから、お断りの文言と、配信停止を求めた相手のリストは、営業リストと同じくらい大事です。

担当者の名前が入ったアドレスにも注意が要ります。ユーザー名とドメイン名(@の前と後ろ)から特定の個人が分かるアドレスは、それだけで個人情報に当たります。個人情報保護委員会がQ&Aでそう答えています。

すでに公表されている個人情報も、個人情報保護法では保護の対象です。会社の情報そのものは個人情報に当たりませんが、担当者の名前まで一覧にするなら、扱いに気を付けたいところです。細かい判断は、専門家に確かめてください。

このサイトの仕組みにも、公表されたアドレスにだけ送り、お断りの文言がある相手には送らないチェックがあります。いまは送るスイッチを切ったままで、下書きを作るところまでを試しています。

自社の営業リストをAIで作るときの頼み方

自分の会社で始めるなら、まずは業種と地域を決め、AIに候補を集めさせてみてください。たとえば、こんなふうに頼みます。

千葉県の工務店で、従業員が50人くらいまでの会社を、各社の公式サイトから10社探してください。会社名・業種・見つけたページのURLを並べ、サイトに書いていないことは空欄にしてください。

「各社の公式サイトから」と書くのは、まとめサイトや古い名簿の情報を混ぜないためです。見つけたページのURLを並べさせれば、人が確かめる手間がぐっと減ります。

「書いていないことは空欄に」と添えると、AIが推測で欄を埋めるのを防げます。確かめるときは、空欄の多い会社から見ていきます。最初の10社くらいは、業種と規模が合っているか、お断りの文言がないかを、人の目で見ておくのがおすすめです。

返事が来たあとの振り分けまで含めて考えるなら、問い合わせ対応の自動化の記事も役に立ちます。

自社の営業のどこまでをAIに任せるか迷ったら、無料AI業務診断(30分のオンライン)で一緒に決められます。

AIが一覧をすぐに並べてくれても、送る前にページを開いて見る数分は、まだ人の仕事みたいです。

Source:

  1. e-Gov 法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」第3条(参照 2026-11-08)
  2. e-Gov 法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則」第3条(参照 2026-11-08)
  3. 個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」Q1-4・Q1-5・Q1-7(参照 2026-11-08)
  4. HAKUYUCHI 開発日誌「AIの営業先選びで、行政書士が『介護』の一語で外れた。直したら誤判定が2つ出た」(2026年10月27日)(参照 2026-11-08)