要点

対象:事務作業をAIに任せるか迷っている人

  1. 申請や注文の確定の前に、人が中身を確かめる
  2. 米物流会社は精度99%超で一括承認に切り替え
  3. AIの責任の所在を明文化した大企業は16%

事務作業をAIに任せるなら、書類を読んで申請伝票や注文データの下書きを作るところまでをAIに任せ、確定・送信・支払いの前に人が確かめる形で始めるのがよいと考えています。

この記事の目次(6節)
  1. 事務作業ごとの、AIと人の役割分担
  2. 先に始めた会社と製品では、人がどこで確かめているか
  3. 大企業でも、責任の決め方と履歴の確かめ方はこれから
  4. 任せる前に決めておく3つのこと
  5. 始め方は2通り
  6. 手元の事務作業を任せられるか、30分で確かめる

最初は、経費の申請やFAX注文の入力のように、元の書類と見比べやすい作業から任せます。こうした作業を進めるAIを、AIエージェントと呼びます。人が目的を伝えると、手順を自分で決めて作業を進めるAIです。

事務作業ごとの、AIと人の役割分担

事務作業製品・事例AIがすること人がすること
経費の申請楽楽精算「伝票作成AIエージェント」2申請者が選んだ領収書を読み、カードの明細などと結び付けて申請伝票を作る申請者が中身を確かめて申請する
FAX注文の入力パンメーカーのコモの検証(kozokaAIの「コゾカAI 受注AIエージェント」)3注文書から商品名・数量・納品日を読み、商品マスターと照合する担当者が結果を確かめ、直して確定する
運送会社の請求の照合米国の物流会社 Worldwide Express4請求と出荷の記録や契約の運賃を突き合わせ、処理の案を出す精度が99%を超えるまでは、担当者が案を承認してから確定していた
ブラウザでの入力・操作Anthropic のブラウザ用AI「Claude in Chrome」5画面を読み、文字を入れたりボタンを押したりするファイルのダウンロードのような一部の操作の前に、利用者が確かめる
任せる範囲 01 02 03 04 書類を読む 下書きを作る 見比べて確かめる 確定・送信・支払い 領収書・FAX注文書 申請伝票・注文データ 元の書類と並べて直す 人が承認してから AIに任せる範囲 人が受け持つ範囲 始めは1件ずつ → 慣れたらまとめて承認
書類を読んで下書きを作るまでをAIに任せ、中身を確かめて確定するのは人が受け持つ。

楽楽精算の伝票作成AIエージェントは、2026年6月16日に提供が始まりました。2 使える端末と契約の条件は楽楽精算の伝票作成の記事にあります。AIエージェントと決められた手順で動くAIの違いは、別の記事で説明しました。

先に始めた会社と製品では、人がどこで確かめているか

FAX注文の検証では、人が最後に確かめるところまで試した

コモは、月に約1,500枚のFAX注文書を約7人で処理しています。受注業務向けのAIを提供するkozokaAIとの検証では、注文書の読み取りから、人が最後に確かめるところまでを対象にしました。3

注文書ごとの処理の時間は、約11分から約5分に短くなると、kozokaAIが見込んでいます。導入後に測った値ではありません。3 検証の詳しい中身は、FAX注文の入力時間の記事で取り上げました。

請求の照合は、精度を確かめてから一括承認に切り替えた

Worldwide Expressは、運送会社から届く請求を、出荷の記録や契約の運賃と突き合わせています。食い違って処理が止まった請求を、役割の違う3つのAIが調べています。4

処理待ちの請求の金額は、半年で1,500万ドルから400万ドルになりました。比べた起点は2025年6月です。この数字は、AIを動かすクラウドを売るAWSが、自社のブログで公表したものです。4

初めのうちは、担当者がAIの案を承認してから確定していました。精度が99%を超えてからは、AIの案をまとめて承認するやり方(一括承認)を基本にしました。担当者が却下した案は記録し、AIへの指示を直すのに使っています。4

製品にも、人の承認を求める操作がある

Claude in Chromeは、初めの設定ではAIが自分で判断して操作を進めます。ファイルのダウンロードや大事な情報の入力のような一部の操作の前だけ、利用者に確認を求めます。銀行など金融のサイトを開く前にも、許可を求めます。5

Anthropic は、社内の機密データを扱う業務用のアカウントや、ほかの人の個人情報が載ったページでは、使わないよう強く勧めています。5

AWSの業務用AIアシスタント「Amazon Quick」には、「Smart Approvals」という機能があります。AIがしようとする操作を利用者の依頼と照らし合わせ、自動で承認するか、利用者に差し戻すかを決めます。6

依頼に無い大勢の宛先への一斉送信のように、依頼の範囲を超える操作は、利用者に差し戻すように作られています。管理者が人の承認を必須にした操作は、必ず人に回ります。6

大企業でも、責任の決め方と履歴の確かめ方はこれから

従業員1,000人以上の企業・団体(情報通信業を除く)の経営者やIT・DXの担当者に、7月に聞いた調査です。サイボウズが11月4日に公表し、551社が答えています。1

答え割合
AIエージェントを導入している(試行中を含む)62%
判断や実行の責任の所在を明文化している16%
実行履歴を確かめる体制がある20%
導入後の変化は「まだ測定・評価できていない」(導入した会社の答え)32%

AIの作業の責任を誰が負うかと、作業の履歴をどう確かめるかは、大企業でもまだ決まっていないことが多いと読めます。1

任せる前に決めておく3つのこと

小さな会社でも、任せる前に次の3つを決めておくと、始めてから迷いにくいと考えています。

  1. 確かめる人: AIが作った伝票や注文データを、確定の前に見る人を1人置きます
  2. 必ず人が承認する操作: 送金・取引先へのメールの送信・データの削除は、AIに任せません
  3. 履歴を見る場所: AIの作業の履歴と、人が直した箇所を見返す場所を決めます

初めのうちは、すべて人が見ます。間違いが十分に減ったら、見る範囲を狭めます。

始め方は2通り

いまの業務ソフトの機能を試す

サイボウズの調査で、導入や検討をしている会社に形を聞くと、業務ソフトに組み込まれた機能が59%で最も多くなりました。1 経費精算や受発注のソフトをすでに使っているなら、まずそのソフトにAIエージェントの機能があるかを確かめてください。

自社に合わせて作ってもらう

使っているソフトにその機能がなければ、自社の作業に合わせて作ってもらう方法もあります。当サイトのAI秘書でも、請求書を作る仕事を引き受けています。作った請求書は、依頼した人が確かめてから送ります。

振込データも作りますが、振込は依頼した人が承認します。どこまで任せられるかは、AI秘書の請求・経理にあります。

手元の事務作業を任せられるか、30分で確かめる

どの事務作業をAIに任せ、どこを人が確かめるかは、無料AI業務診断で相談できます。オンラインで30分です。相談のページから申し込めます。

出典

  1. サイボウズ「AIエージェントの活用実態」の調査(PR TIMES・2026年11月4日)(参照 2026-11-05)
  2. ラクス「経費精算の伝票作成を自動化する『伝票作成AIエージェント』を提供開始」(2026年6月15日)(参照 2026-11-05)
  3. kozokaAI「株式会社コモ、受注業務のAI活用に向けPoCを実施」(PR TIMES・2026年8月26日)(参照 2026-11-05)
  4. AWS Machine Learning Blog「How Worldwide Express automated freight exceptions with Amazon Bedrock」(2026年10月30日)(参照 2026-11-05)
  5. Claude Help Center「Use Claude in Chrome safely」(参照 2026-11-05)
  6. AWS Machine Learning Blog「Smart Approvals in Amazon Quick: human oversight where it matters」(2026年11月4日)(参照 2026-11-05)