要点

対象:生成AIの社内ルールを作る人

  1. 書き換える場所は16か所、8か所は使うサービスで変わる
  2. 個人情報の項目は、当時のChatGPTが前提
  3. 入力を禁じ続けるか、条件つきで認めるか

生成AIの社内ルールのサンプルには、日本ディープラーニング協会(JDLA)が出している「生成AIの利用ガイドライン」のひな形が使えます。ひな形を自社向けに書き換えて使えば、白紙から書かずに済みます。

この記事の目次(7節)
  1. 書き換える場所は16か所、6種類
  2. まず、利用を認めるサービスを決める
  3. 個人情報は、入力を禁止のままにするか、条件つきで認めるか
  4. 小さな会社向けの書き換え例
  5. ほかの主な項目は、ひな形の文を土台にする
  6. ルールを作るとき、見直すとき
  7. どの仕事に生成AIを使うか、無料AI業務診断で整理する

まず、社員が使ってよい生成AIのサービスを決めます。書き換える場所の半分は、使うサービスが決まらないと書けないからです。

書き換える場所は16か所、6種類

JDLAは、条項だけの版と、条項に解説が付いた版を配っています。どちらも第1.1版で、公開は2023年10月です。12

JDLAは、ひな形を「加筆修正を行って使うためのひな型として提供する」と案内し、「【】内は適宜改変してください」と書いています。1

条項だけの版は約4,000字です。書き換える場所は【】で囲まれていて、2026年10月31日に数えると16か所ありました。2

書き換える場所数入れるもの先に決めること
制定した日1社内でルールを決めた日なし
会社名3自社名や「当社」などの呼び方なし
生成AIのサービス名6利用を認めるサービスの名前利用を認めるサービス
サービスの規約に関する文2使うサービスの規約に合わせた文利用を認めるサービス
問い合わせ先2社員が相談できる部署や人相談を受ける人
禁止する用途2自社で生成AIを使わない仕事禁止する仕事

【】の中にさらに【】がある文は、内側だけを数えました。サービス名と規約に関する文を合わせた8か所は、使うサービスによって変わります。2

ひな形には、サービス名の例としてChatGPTが入っています。2

まず、利用を認めるサービスを決める

簡易解説版では、利用してよいサービスを名前で並べる「ホワイトリスト方式」を勧めています。ひな形の2つ目の項目も、対象の生成AIを特定して書く形です。1

サービスの名前を決めたら、次の3つを、利用規約や、データの扱いを説明したページで確かめます。

確かめること関係する項目確かめる先
入力したデータが、AIの学習に使われるか個人情報の項目利用規約・プライバシーポリシー
作った文章や画像を、仕事で使ってよいか生成物の商用利用の項目利用規約
サービスが禁止している使い方サービスのポリシーの項目利用規約・利用ポリシー

入力したデータが学習に使われるかは、サービスによって違うことがあります。個人情報保護委員会の注意喚起にも、一般の利用者向けに、サービス提供者の利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認して判断する、とあります。3

たとえば、会社向けの Microsoft 365 の Copilot について、Microsoft は次のように説明しています。

「Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは、Microsoft Copilot で使用されているものを含め、基礎 LLM のトレーニングには使用されません」。4

プロンプトは、AIに入力する指示文です。Microsoft Graph は、Microsoft 365 の中のメールや文書などに届く共通の窓口です。LLM は、AIの土台になる大規模言語モデルです。

個人情報は、入力を禁止のままにするか、条件つきで認めるか

ひな形の個人情報の項目は、「【ChatGPT】においては入力したデータが【OpenAI社】のモデルの学習に利用されることになっています」で始まります。続けて「個人情報を入力しないでください」と書いています。顧客の氏名や住所が、その例です。2

この書き出しは、2023年当時のChatGPTを前提にしています。利用を認めるサービスが学習に使わないなら、事実と食い違うので、サービスを決めてから書き直します。

個人情報保護委員会は、第1.1版が公開される前の2023年6月2日に、生成AIサービスを使う事業者への注意喚起を出しました。JDLAの解説も、この注意喚起を引いています。13

個人情報を含む指示文を入力するときは、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内かを、十分に確かめる必要があります。3

さらに、本人の同意なしに入力した個人データが、返答を出す以外の目的(学習など)で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性があります。個人データは、顧客名簿のように整理された個人情報のことです。

そのため、同意なしに入力するなら、サービスの提供者が機械学習に使わないことなどを確かめる必要があります。3

ひな形には、この項目に添える2文もあります。「ただし、利用する生成AIによっては、特定の条件を満たせば個人情報の入力が適法になる可能性もあります。」と「詳細は…お問い合わせください。」です。2

個人情報の書き方は2通りです。

選び方書く内容向くとき
入力を禁止のままにする「個人情報を入力しないでください」と書き、添える2文は消す利用を認めるサービスの規約を、まだ確かめていないとき
条件つきで認める認めるサービスの名前を書く。入力してよい個人情報は、利用目的に必要な範囲に限る。入力する前に、問い合わせ先へ聞く学習に使われないことなどを規約で確かめたサービスを、顧客への返信に使いたいとき

条件つきで認めてよいかは、個人情報保護法に違反しないかを見きわめる必要があります。問い合わせ先で決めきれないときは、弁護士などの専門家に聞きます。

小さな会社向けの書き換え例

たとえば、次のように書き換えます。ひな形の文と、書き換えた文の例です。「〇〇」には、利用を認めるサービスの名前を入れます。

ひな形の文書き換えた文の例
本ガイドラインが対象とする生成AIは【OpenAI社が提供するChatGPT】です。本ガイドラインが対象とする生成AIは、当社が認めた〇〇だけです。
【セキュリティ部門】にお問い合わせください。社長にお問い合わせください。
【(1) ・・・】社員の評価や採用の合否を、生成AIの出力だけで決めること。
個人情報を入力しないでください。顧客の氏名・住所は、当社が認めた〇〇にだけ、利用目的に必要な範囲で入力できます。

セキュリティ部門がない会社では、問い合わせ先は、社長や総務の担当者など、判断できる人にします。

ほかの主な項目は、ひな形の文を土台にする

次の項目には、サービスの名前を入れる場所がありません。ひな形の文を土台にします。2

  • 生成物には虚偽が含まれる可能性があるので、根拠や裏付けを自分で確認します
  • 他社と秘密保持契約(NDA)を結んで受け取った秘密情報は、入力しません
  • 自社の機密情報(ノウハウなど)は、サービスの処理内容や規約によっては、法律上の保護を受けられなくなったり特許を出願できなくなったりするおそれがあるので、入力しません
  • 生成物に著作権が発生しない可能性があるので、そのまま使わず、できるだけ加筆・修正します

ルールを作るとき、見直すとき

ルールの本文に、制定した日を書きます。利用を認めるサービスを替えたときは、サービスの名前・規約に関する文・個人情報の項目を書き直します。

GiftXは、ルールの見直しを、年1回の定期レビューに加えて、新しいツールを導入したときにも行うよう勧めています。5

見直す時期は、ルールの本文にも書いておくとよいでしょう。

ルールづくりに関わる記事は、次の3本です。

当サイトでは、AI秘書として、社員からの問い合わせにマニュアルや規程をもとに答える仕事もお引き受けしています。対応する範囲は、AI秘書の社内・総務で紹介しています。

どの仕事に生成AIを使うか、無料AI業務診断で整理する

どの仕事に使うかが決まると、サービスも選びやすくなります。

無料AI業務診断は、30分のオンライン相談です。自社のどの仕事にAIを使えるかを知りたいときは、相談のページから申し込めます。

出典

  1. JDLA「生成AIの利用ガイドライン【簡易解説付】」(第1.1版、2023年10月公開)(参照 2026-10-31)
  2. JDLA「生成AIの利用ガイドライン【条項のみ】」(第1.1版、2023年10月公開)(参照 2026-10-31)
  3. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(参照 2026-10-31)
  4. Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」(参照 2026-10-31)
  5. GiftX「生成AI社内ルールのテンプレート」(2026年7月27日)(参照 2026-10-31)