要点

対象:会社のCopilotでWeb検索を使う人

  1. 送った語は「ソース」で24時間見られる
  2. データ保護補遺の対象は質問と答えまで
  3. 管理者が許可すれば利用者もオフにできる

会社で使うCopilotは、Web検索をするとき、質問をもとに数語の検索クエリ(Bingで検索する語)を作ってBingに送ります。質問をそのまま送るのは、「地元の天気」のようなとても短い質問のときだけです。1

この記事の目次(6節)
  1. Bingに送られる語の作られ方
  2. Bingの結果をもとに答えを作る
  3. Copilotが送った検索クエリを確かめる
  4. 検索クエリは、質問と別の約束ごとで扱われる
  5. よくある誤解
  6. 仕事で使うときに気をつけること

ただし、質問に書いた社名や商品名は、検索クエリに入ることがあります。1 取引先や新商品の名前をBingに渡したくないときは、先にWeb検索をオフにしておきます。

ここでいうCopilotは、会社のアカウントで使う Copilot Chat と、有料の Microsoft Copilot です。Copilot Chatで無料で使える範囲は、別の記事にまとめました。

CopilotがWebを検索する流れ 利用者 Copilot Bing 質問の全文 数語の検索クエリ Webの検索結果 1 2 3 4 質問をもとに、数語の検索クエリを作る 検索クエリだけをBingに送る 検索結果と質問を合わせて、答えを作る 「ソース」で検索クエリを見る 全文(短い質問を除く)・ファイルの全体・ユーザー名などは入れない ファイルの話題の語は入ることがある 答えを返す前に、質問と答えをログに記録する 見られるのはCopilot Chatの画面で24時間 質問と答え:Microsoft 365 の中に残る データ保護補遺(DPA)が適用される Bingに渡る検索クエリ: DPAは適用されない
CopilotのWeb検索の流れです。Bingには、Copilotが質問をもとに作った検索クエリだけが渡ります。質問と答えは Microsoft 365 の中に残ります。

Bingに送られる語の作られ方

Copilotが検索クエリに使うのは、Webで調べると答えが良くなる語です。1 たとえば、ある会社の財務を聞くと「Fabrikam の財務」のような語になります。2

検索クエリには、次のものは入りません。12

  • 質問の全文(とても短い質問は除く)
  • メールや文書、アップロードしたファイルの全体
  • ユーザー名・ドメイン・テナントID(会社ごとの Microsoft 365 の契約を見分けるID)

ファイルの全体は送られませんが、ファイルの話題を表す語は、どちらのCopilotでも検索クエリに入ることがあります。12

有料の Microsoft Copilot では、Wordなどで文書を開いたまま質問したときにも、文書の語が入ることがあります。1 Copilot Chat でも、Edgeで見ているページの語が入ることがあります。2

Microsoftが示す質問と検索クエリの例

Fabrikamは、Microsoftが説明の例に使っている会社名です。2

質問Bingに送られる検索クエリ
Fabrikamの買収を考えている。事業戦略を含め、財務情報をまとめて「Fabrikam の戦略」「Fabrikam の財務」
(文書をアップロードして)この文書を要約して。Fabrikamも似た方針を発表している?「Fabrikam のクリーン エネルギー ポリシーに関する発表」
(Edgeで開いたニュース記事について)この記事は何と言っている?なし(ページの文章だけで答える)

2つ目の例では、文書そのものは送られず、文書の主な話題の語が検索クエリに入りました。2

Bingの結果をもとに答えを作る

Copilotは、Bingから受け取った情報を質問と合わせて言語モデル(文章を作るAI)に渡し、答えを作ります。答えを返す前に、監査に備えて質問と答えを会社の Microsoft 365 に記録します。2

答える前に調べた資料を読ませるやり方は、RAG(検索拡張生成)と呼ばれます。この名前は、2020年の論文で付けられました。5

社内の資料で同じことをする仕組みは、社内の資料をAIに読ませる記事で説明しています。AIが言葉を選ぶ仕組みは、生成AIの仕組みにまとめました。

Copilotが送った検索クエリを確かめる

Web検索を使った答えの下にある「ソース」ボタンを押すと、CopilotがBingに送った検索クエリと、使ったサイトが見られます。3

この表示は Copilot Chat の画面だけにあり、WordやPowerPointの Copilot ウィンドウには出ません。チャットの画面で見られるのは24時間です。1

管理者は、検索クエリを監査ログや電子情報開示(訴訟などに備えてデータを調べる機能)で探せます。1 Bingに検索クエリを送ったやり取りは、監査ログの「AISystemPlugin.Id」の欄に「BingWebSearch」と残ります。4

社員が入力した内容をどこまで調べられるかは、生成AIの記録を調べる記事にまとめています。

検索クエリは、質問と別の約束ごとで扱われる

質問と答えは、会社とMicrosoftの契約(データ保護補遺)の対象です。この契約で、Microsoftは会社の指示どおりにデータを扱うと約束しています。1

Bingは Microsoft 365 とは別に動くサービスで、検索クエリはこの契約の対象外です。検索クエリは、会社の指示ではなく、Microsoftの規約に沿って扱われます。1

質問と答えBingに送られる検索クエリ
扱うサービスMicrosoft 365Bing
会社との契約(データ保護補遺)対象対象外
Microsoftの扱い方会社の指示どおりMicrosoftの規約どおり
AIのもとになるモデルの学習使われない使われない

検索クエリは、Bingの改善や広告のプロファイル作り、利用者の行動の追跡には使われず、広告主とも共有されません。Microsoftが製品条項で約束しています。1

社内でAIの利用ルールを作るときは、「Web検索をオンにすると、質問の中の語が契約の外のBingに渡る」と1行入れておくとよいと考えています。

よくある誤解

「Web検索をオンにすると、質問の全文やファイルがBingに送られる」

上の「Bingに送られる語の作られ方」のとおり、送られるのは数語です。ファイルそのものではなく、ファイルの話題の語が入ることがあります。2

「Bingに送られた語は、ふつうの検索と同じように扱われる」

検索クエリは、ユーザー名やテナントIDを外した状態でBingに送られます。1 また、Bingの検索順位や検索候補には反映されません。1

「Web検索のオンとオフは、管理者しか変えられない」

管理者がWeb検索を許可していれば、利用者は自分の設定でオフにできます。管理者がオフにしていると、利用者はオンにできません。1

仕事で使うときに気をつけること

  • 取引先や新商品の名前を含む質問は、Web検索をオフにしてから送る
  • 答えを読んだら、「ソース」で検索クエリと使ったサイトを確かめる

利用者がWeb検索をオフにする手順は、次のとおりです。3

  1. Copilot Chatの右上の「設定など」を押す
  2. 歯車のアイコンから「Chat 設定」を開く
  3. 「個人用設定」を開く
  4. いちばん下の「詳細設定」を開く
  5. 「Web 検索」の切り替えをオフにする

この設定は、次に開いたときも残ります。1 Web検索がオフのときは、画面に「Web 検索はオフです」と出ることがあります。3

会社全体で止めたいときは、管理者に頼みます。管理者は「Copilot での Web 検索を許可する」という設定で、会社全体か、特定のユーザーやグループのWeb検索を止められます。1

出典

  1. Microsoft Learn「Microsoft Copilot と Microsoft Copilot Chat での Web 検索のデータ、プライバシー、セキュリティ」(参照 2026-10-28)
  2. Microsoft Learn「Microsoft Copilot Chat プライバシーと保護」(参照 2026-10-28)
  3. Microsoft サポート「Microsoft Copilot Chat とエージェントでの Web 検索のしくみ」(参照 2026-10-28)
  4. Windows ブログ「Microsoft 365 Copilot と Microsoft Copilot における Web 検索クエリの透明性が向上」(2024年10月23日)(参照 2026-10-28)
  5. Lewis ほか「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」(arXiv:2005.11401、NeurIPS 2020)(参照 2026-10-28)