AIエージェントの操作に毎回承認を求めると、いつもの操作でも確認の画面が何度も出ます。AWSの業務用AIアシスタント「Amazon Quick」のSmart Approvalsは、操作を自動で承認するか、使う人の確認に回すかを決める機能です。12

この記事の目次(8節)
  1. 自動で承認される操作と、使う人の確認に回る操作
  2. Smart Approvalsが判断する操作と初期設定
  3. デスクトップ版で試した人の報告
  4. 管理者が設定すること
  5. CloudTrailに残る承認の記録
  6. 試す順番と、向いている仕事
  7. 入れる前に、情報システム部門や開発を頼む相手と確かめること
  8. どの操作をAIに任せるか、30分で整理する

この機能が自動で通すのは、依頼どおりでリスクが低い操作だけです。社外への送信や支払いのような影響の大きい操作は、使う人の確認に回します。2 初期設定で全員が使えます。1

必ず人の承認が要る操作は、Smart Approvalsに頼らず、操作ごとの設定で確認を必須にしておくよう勧められています。24

自動で承認される操作と、使う人の確認に回る操作

Smart Approvalsは、AIがしようとする操作を、使う人の依頼と照らし合わせます。管理者が決めた範囲を広げることも、禁止した操作を通すこともありません。2

操作どうなるか
リスクが低く、使う人の依頼どおりの操作自動で承認し、そのことを会話の中に表示する
例えば、社外への送信・権限の変更・内容の削除や上書き・支払いの開始のような、影響の大きい操作使う人の確認に回す
判断が時間切れなどで失敗した操作使う人の確認に回す
管理者が禁止した操作実行しない
管理者が人の承認を必須にした操作いつも使う人の確認に回す

自動の承認は1回かぎりです。判断したその操作と中身にしか使えません。1

何を見て判断するか

Amazon Quickでは、作業をするAIとは別のAIが判断します。このAIは、その操作が何をするか、データをどこへ送るか、誰に影響するかを見ます。1

例えば、四半期の報告書を作り、名前を挙げた同僚2人に送るよう頼んだとします。ところが、チームの取引先メモには、営業の全員に届く配信リスト(約2,000人)にも送ると書かれていました。1

宛先が頼んだ範囲を超えるので、この送信は使う人の確認に回るように作られています。1

ただし、この判断が間違えることもあります。1

THREE STEPS 01 管理者の設定と照らし合わせる 権限・ガードレール・コネクタの設定・使う人の設定 禁止 → 実行しない 承認が必須 → 利用者へ 02 残った操作を、依頼と照らし合わせる コネクタが「ユーザーの選択に任せる」で、 使う人が「毎回確認する」の操作だけ 別のモデルが判断する 03 結果 危険が小さく、依頼どおり → 自動で承認(1回きり) 社外への送信・権限の変更・削除・支払い 判断に失敗した操作 → 利用者に戻す
AIエージェントが提案した操作が、自動で承認されるまでの順番。管理者の設定で決まっている操作は、Smart Approvalsの判断を通りません

Smart Approvalsが判断する操作と初期設定

Smart Approvalsが見るのは、本来なら毎回確認の画面が出る操作です。次の2つの設定がそろった操作だけを、確認の画面を出す前に判断します。23

誰の設定か設定
コネクタ(Gmailなどのサービスとつなぐための設定)を作った人「ユーザーの選択に任せる」
使う人「毎回確認する」

コネクタを作った人が「毎回確認する」にした操作は、使う人の設定に関係なく、毎回確認の画面が出ます。「常に許可する」にした操作は、確認の画面もSmart Approvalsの判断もなく実行されます。24

メールの送信や記録の更新のような書き込みの操作は、初めから上の表の2つの設定になっています。3 管理者も使う人も設定を変えなければ、書き込みの操作はどれも、Smart Approvalsが自動で承認するかを決めることになります。

「信頼」を押すと、次から確認が出ない

確認の画面には「許可」「信頼」「拒否」のボタンがあります。34

  • 「許可」: その1回だけ実行し、次も確認の画面を出す
  • 「信頼」: 実行し、次からその操作では確認の画面を出さない
  • 「拒否」: 実行しない

「信頼」を押した操作は、次から確認の画面が出なくなります。3 使う人の設定を「毎回確認する」のまま保つなら「許可」を選ぶよう、試した人は勧めています。4

そのため、「信頼」を押した操作は、Smart Approvalsが見ることもなく、毎回そのまま実行されると考えます。

デスクトップ版で試した人の報告

Amazon Quickのデスクトップアプリ(macOS版 1.1.4053)とGmailで試した結果が、クラスメソッドの石川覚さんの10月30日の記事にあります。4

頼んだこと確認の画面結果
宛先のない下書きを作る出なかった作られた
ラベルを作り、色を変える出なかった作られ、変わった
自分宛てにメールを送る出なかった送られた
送ったメールをごみ箱に移す出なかった移された
自分宛てに、別の件名でメールを送る出た拒否したので送られなかった

同じ自分宛ての送信で、確認の画面が出た回と出なかった回がありました。理由は特定できなかったそうです。4

ほかに、次の結果もありました。4

  • 自動で承認したという表示が、会話の中に見当たらなかった
  • Smart Approvalsをオフにしても、ラベルは確認なしで作られた
  • Web版で同じようにラベルを作ると、確認の画面が出た
  • ドキュメントにある切り替えと承認の記録が、CloudTrail(AWSの操作の記録を残すサービス)では3つのリージョンで探しても1件も無かった

確認の画面が出なかったとき、Smart Approvalsが承認したのか、確認そのものが行われなかったのかは、この結果では区別できなかったそうです。4

管理者が設定すること

Smart Approvalsは、デスクトップとスマホのアプリで使えます。Web版では、いまは使えません。2

使える人を絞る

管理者は、カスタム権限プロファイル(使える機能を人ごとに決める設定)で、Smart Approvalsを使える人を選びます。2

このプロファイルで、機能を初めは全部止める設定にしている場合は、Smart Approvalsを個別に許可します。1

  1. Quickのコンソールで「Manage Quick」を開く
  2. 左の「Permissions」から「Custom permissions」を選ぶ
  3. プロファイルを作るか、既存のプロファイルの「Edit」を押す
  4. 「Capabilities & features」の「AI capabilities」を開く
  5. 「Smart Approvals」を制限すれば使えなくなり、制限しなければ使える
  6. 保存して、ユーザー・ロール・アカウントに割り当てる

必ず人が承認する操作を固定する

必ず人の承認が要る操作は、コネクタを作った人が、操作ごとの設定で「毎回確認する」にします。社内でコネクタを作る人が管理者と別なら、その人に頼みます。24

使う人が自分でオンとオフを切り替える

管理者が使えるようにしていれば、使う人はチャットの「+」のメニューで切り替えられます。この設定は、その人のすべての会話と、スケジュールを組んで自動で動かす作業の両方に当てはまります。2

オフにすると、スケジュールで動かす作業でも、対象の操作は使う人の確認を待って止まります。2

CloudTrailに残る承認の記録

Smart Approvalsが承認した操作と、使う人がオンとオフを切り替えたことは、CloudTrailに記録されます。記録には、使う人・どのAIエージェントか・コネクタと操作・時刻が入ります。2

承認の記録は承認したことを示すだけで、操作が実行されたことまでは示しません。実行されたかは、送信済みのメールのように、つないだサービスの側で確かめます。12

CloudTrailの「Event history」は90日で消えます。それより長く調べるなら、証跡(記録を長く残す設定)を作っておきます。1

チャットの記録とエージェントの変更の記録をCloudWatch Logs(記録を集めて保管するサービス)に送る設定も勧められています。1

試す順番と、向いている仕事

まず1つのチームで、決まった仕事だけ試します。試す前に、うまくいったと言える目安を決めておきます。目安は、いつもの操作で確認の画面が減り、大事な操作はそれでも使う人の確認に回ることです。1

試すあいだは、自動で承認された操作をいくつか抜き出して見ます。社外への送信や、資料に書かれていた宛先が足される場合も試し、使う人の確認に回るかを確かめます。1

社内の決まった相手への連絡のように、依頼の文で中身が決まる仕事から試すのがよいと考えます。宛先や金額が資料によって変わる仕事は、「毎回確認する」にしておきます。

事務作業をAIに任せ、最後の確定だけを人が見る形は、事務作業をAIに任せる記事にまとめました。Copilot Coworkで承認と使う人の範囲を決める話は、Copilot Coworkの使い方の記事にあります。

AIに止める仕組みと記録を持たせる考え方は、自律AIの設計の記事にあります。手元のパソコンでAIが触れる範囲を囲う例は、Copilotで範囲を囲う記事を見てください。

当サイトのAI秘書でも、個別の問い合わせへの返信は、人が確かめてから送る形でお引き受けしています(AI秘書の顧客対応)。

入れる前に、情報システム部門や開発を頼む相手と確かめること

  • 使う人が、デスクトップかスマホのアプリを入れているか
  • 社外への送信・支払い・権限の変更・削除の操作を、「毎回確認する」に固定したか
  • 使う人が「信頼」を押してよい操作を、決めてあるか
  • 自社の環境で、確認の画面が出るか、CloudTrailに承認の記録が残るかを確かめたか
  • CloudTrailの証跡と、チャットの記録を残す設定を作ったか

どの操作をAIに任せるか、30分で整理する

自社のどの仕事をAIに任せ、どの操作で人が承認するかは、無料AI業務診断(オンラインで30分)で一緒に整理できます。申し込みは相談のページからです。

出典

  1. AWS Machine Learning Blog「Smart Approvals in Amazon Quick: Human oversight where it matters」(2026年11月4日)(参照 2026-11-05)
  2. Amazon Quick User Guide「Smart Approvals」(参照 2026-11-05)
  3. Amazon Quick User Guide「Tool permissions」(参照 2026-11-05)
  4. クラスメソッド「[アップデート] Amazon Quick でエージェントのアクションを自動承認する Smart Approvals が利用可能になったので試してみた」(2026年10月30日)(参照 2026-11-05)