反響の大きかったAI開発の記事を7本選びました。対象は、10月18日から25日朝までに出た記事です。いいねやブックマークなどの数は、25日朝の時点のものです。

今週は、CIの待ち時間を測って縮めた記事や、AIがどこで失敗したかを数字で示した記事が目立ちました。多くの記事が、うまくいかなかった点も書いています。

この記事でわかること

  • e-dashは、CIの待ち時間の中央値を約15分から約4分45秒にしました
  • AIで脆弱性を探すStrixは、脆弱性を仕込んだ自作のアプリで6件を見つけました
  • ある実験では、学習データを50件から500件に増やすと正解率が下がりました
この記事の目次(7節)
  1. CIの待ち時間は、テスト以外が大半だった
  2. URLだけ渡して脆弱性を探させるStrix
  3. AIに解読されるか試したPythonの難読化
  4. Claudeにテプラのラベルを作らせるMCPサーバー
  5. チャットの横でAIと同じ画面を操作できるVS Codeのキャンバス
  6. 回答の生成が端末の中で完結する、ブラウザだけのデータ分析AI
  7. ファインチューニングは、学習データを増やしても正解率が上がり続けなかった

CIの待ち時間は、テスト以外が大半だった

CIは、コードを変えるたびに自動でテストを走らせる仕組みです。e-dashでは、PRごとの待ち時間の中央値が、7月下旬の7分から9月には約15分まで延びていました。

計測すると、CIを1回走らせたとき、テスト本体は57秒で、全体の約14%でした。

残りの大半は、テストを始める前の準備でした。原因は2つです。DOM(ブラウザの画面の部品)を使わないテストにも、DOMを模すjsdomの環境を起動していました。また、ワーカーが1つしか動かず、テストが1つずつ順に実行されていました。

次の4つを入れました。

  • 画面を使わないテスト(.tsのファイル)は、軽い環境(node)で動かす。画面を使うテスト(.tsxのファイル)だけjsdomを使う。あわせて、2並列にする
  • マイグレーション(データベースの構造の変更)を適用したデータベースを、キャッシュに保存する
  • ユニットテストを、別のジョブに分ける
  • node_modules(部品の置き場)を、毎回入れ直さずキャッシュから戻す

待ち時間の中央値は約15分から約4分45秒に縮み、約69%減りました。キャッシュの合計が上限の10GBを超えて古いものが消える事態も起きたため、保存する量も減らしています。

1

レビューの待ち時間は、当サイトの「Claude Codeチームのコードレビュー」でも扱いました。

URLだけ渡して脆弱性を探させるStrix

Strixは、複数のAIが協力して、稼働中のアプリの脆弱性を探すツールです。再現できた脆弱性だけを報告します。

yokoyan氏は、脆弱性をわざと仕込んだ自作のアプリに、URLだけを渡して診断させました。約30分で6件が見つかりました。深刻度が高い(High)のはOSコマンドインジェクションの1件、残る5件は中程度(Medium)でした。

報告には、根拠となったリクエストとレスポンス、再現手順、対策案が付いていました。一方、ログイン後の深い操作や、リンクされていないエンドポイントの脆弱性は見つけられませんでした。

この診断にかかった費用は19.77ドルで、yokoyan氏は「ちょっと高いかなぁ」と書いています。試した相手は自分で作ったアプリです。他人のサイトを診断してよいかは、記事では触れていません。2

AIに解読されるか試したPythonの難読化

難読化は、動きを変えずにコードを読みにくくする方法です。山本氏は、Python用の難読化ツールPyarmorをかけたコードを、AIに解読させる実験をしました。

初期設定のままだと、元のコードがほぼ復元されました。名前や定数を隠す設定(RFT・BCC・mix-str・--private)を重ねると、元のコードはほぼ復元されませんでした。ただし、簡単な計算の関数は、入力と出力から処理が再現されました。

また、実行を追跡する機能(sys.settrace)を使うと、暗号化された文字列も取り出せました。

山本氏は、時間をかければ解析される前提で設計するよう勧めています。絶対に知られてはいけない値は、そもそもPythonのファイルに書いて納品しません。

実験の環境は、Pyarmor 9.2.5とPython 3.13です。mix-strはBasic以上、RFTとBCCはPro以上のライセンスが必要です。3

Claudeにテプラのラベルを作らせるMCPサーバー

mpyw氏のtepra.tm2は、テプラ専用アプリ「TEPRA LINK 2」で開けるラベルファイルを生成するツールです。MCPサーバーとして使えば、Claudeに頼むだけでラベルファイルができます。

QRコードやバーコードを入れたラベルも、複数ページのラベルも、一度の指示で作れます。

非公式のツールです。メーカーのキングジムは、このファイル形式の仕様を公開していません。アプリが更新されて形式が変わると、使えなくなるかもしれません。

印刷は、TEPRA LINK 2から行います。MCPの仕組みは、当サイトの「MCPの仕組み、AIがほかのツールを使うときの流れと承認の設定」で説明しています。4

チャットの横でAIと同じ画面を操作できるVS Codeのキャンバス

VS Code 1.142で入ったキャンバス(Canvases)は、チャットの横に開く画面です。使う人とAIが、同じものを見て、どちらも書き換えられます。公式リリースノートの例は、カンバンボードです。

ロホマン シャヒン氏は、記事の執筆状況を管理するボードを、日本語で指示して作りました。人が足したカードも、説明しなくてもAIが読み取れたといいます。

まだプレビュー機能で、仕様が変わるかもしれません。

使える条件は次の3つで、すべて満たす必要があります。

  • デスクトップ版のVS Codeを使う
  • Copilotのエージェント実行環境(ハーネス)を使う
  • ローカルのAgent Hostセッションで動かす

ClaudeやCodexのハーネスでも、ブラウザ版でも使えません。5

回答の生成が端末の中で完結する、ブラウザだけのデータ分析AI

使う人がCSVを読み込んで日本語で質問すると、AIがSQLを書いて集計し、表と文章で答えます。サーバーも外部のLLM APIも使いません。

AIにはChromeに内蔵されたGemini Nanoを、集計にはブラウザで動くDuckDBを使っています。通信が発生するのは、ライブラリの読み込みと、初回のモデルのダウンロードだけです。

1回の質問に15〜20秒かかり、デスクトップ版のChromeが必要です。前の回答を前提にした質問は苦手です。

Gemini Nanoは誤りが多いため、要約の数値や名前を結果と照らし合わせています。6

ファインチューニングは、学習データを増やしても正解率が上がり続けなかった

記事の題名は「TinkerでファインチューニングしたQwen3-8B:正解率50%から76%へ、予算を使い果たしながら」という意味です。

ファインチューニングは、AIに追加のデータを学習させて、特定のタスクに合わせる方法です。

Balcarek氏は、質問の難しさを、モデルに0から1の数字で採点させました。簡単な質問を安いモデルに回す使い方を想定しています。学習サービスのTinkerで、ファインチューニングを試しました。

同じ評価用の50問で、正解率は次のように変わりました。

学習データ正解率
なし(そのままのQwen3-8B)50%
50件86%
500件74%
2,500件(最終版)76%

評価が50問だけなので、差が誤差の範囲かもしれません。学習データもAIが作ったもので、正解の付け方にばらつきがあるかもしれません。Balcarek氏自身も、この点を注記しています。

データづくりを任せたAIエージェントが、裏で学習を始め、18セッションが動きました。止めたときのTinkerの残高は2.11ドルだったそうです。7

前週の動きは「10月12日〜18日の技術トレンド」にまとめています。

出典

  1. iakito「Claude Code で CI 待ち時間を 18 分から 4 分台に短縮する【GitHub Actions】」(Zenn、e-dash Tech Blog、2026年10月20日)(参照 2026-10-25)
  2. yokoyan「AIペネトレーションテストツール「Strix」を試してみた」(Zenn、2026年10月20日)(参照 2026-10-25)
  3. 山本隼輔「AI時代、配布するPythonコードをどう守るか: 難読化の実験と判断軸」(Zenn、PKSHA Technology、2026年10月19日)(参照 2026-10-25)
  4. mpyw「OK Claude, テプラのラベル作っといて」(Zenn、ゆめみ、2026年10月18日)(参照 2026-10-25)
  5. ロホマン シャヒン「【速報】VS Code 1.142 に Canvas が来た!チャットの横でエージェントと同じ画面を触れる「Interactive Canvases」を整理して」(Qiita、2026年10月23日)(参照 2026-10-25)
  6. Coji Mizoguchi「ブラウザだけで動くデータ分析AIエージェントを作ってみた」(Zenn、2026年10月20日)(参照 2026-10-25)
  7. Daniel Balcarek「Fine-Tuning Qwen3-8B with Tinker: From 50% to 76% Accuracy, and Burning Through My Budget」(DEV Community、2026年10月18日)(参照 2026-10-25)