MCPの仕組み、A Iがほかのツールを使うときの流れと承認の設定
悠 Yu Niibori AIエンジニア プロフィール
出典 9件
要点
対象:AIにほかのツールをつなごうとしている職場
仕様は呼び出す前の同意を定めている 書き込むツールも一覧に並ぶ 書き込むツールは「常に許可」にしない MCP( Model Context Protocol)は、C laudeやC hatGPTなどのA Iアプリを、ほかのツールやデータにつなぐ共通の規格です。公式サイトは、この規格をA IアプリにとってのU SB-Cの端子にたとえています。1
この記事の目次(6節) アプリとサーバーの役割 アプリがツールの一覧を問い合わせる ツールを呼び出すまでの流れ ローカルとリモートの2 つのつなぎ方 よくある誤解 仕事で使うときに気をつけること
Anthropicが2 024年1 1月 に公開しました。それまでは、データの置き場所ごとに、つなぎ方を1 つずつ作る必要がありました。2
この規格でつないでも、A Iはツールを直接動かしません。C laudeは1 つに見えますが、中では、文章を考える部分(AI)と、画面を持って外とやり取りする部分(アプリ)が分かれています。
使うツールを選ぶのはA Iで、サーバーを呼び出すのはアプリです。5 つなぐ前には、サーバーに与える権限と、使う前の承認の設定を確かめてください。
HOW AN APP CALLS A TOOL
AI
AIアプリ
MCPサーバー
選ぶ・文章を作る
呼び出す・許可を求める
ツールを持つ
01
02
03
04
一覧を問い合わせる
AIが選ぶ
サーバーが結果を返す
人が承認し、アプリが呼び出す
アプリがサーバーに問い合わせる。名前・説明・値の形式が返る
AIが一覧と利用者の依頼を読み、使うツールと渡す値を決める
利用者の同意を得てから、アプリがサーバーを呼び出す
サーバーがファイルや外のサービスを動かし、アプリが結果をAIに戻す
会話の履歴はアプリが持つ
サーバーに渡すのは、呼び出しの値など必要な情報
MCPでA Iがほかのツールを使うときの流れです。アプリがサーバーにツールの一覧を問い合わせ、A Iが使うツールと渡す値を選びます。利用者が承認すると、アプリがサーバーを呼び出し、結果をA Iに戻します。仕様の原則では、会話の履歴はアプリが持ち、サーバーには呼び出しの値など必要な情報だけを渡します。
アプリとサーバーの役割
アプリとサーバーは、決まった形式のメッセージをやり取りします。仕様(2026年7月2 8日 版)は、2 つの役割を次のように分けています。3 4
役割 何をするか AIアプリ 会話の履歴を持つ・AIとやり取りする・利用者に許可を求める サーバー ツールや資料を用意し、呼び出されたら動く
Claudeの画面では、サーバーは「コネクタ」として並びます。7
アプリがツールの一覧を問い合わせる
一覧には、ツールごとの名前・何をするかの説明・受け取る値の形式が並びます。5
ファイルを読み書きするサーバーで試した結果
2026年1 0月1 4日 に、このサイトで試しました。架空の見積書の控えを1 つ置いたフォルダーだけ読み書きを許可し、規格の開発元が公開しているサーバー(Filesystem MCP Server)を動かしました。8
一覧を問い合わせると、1 4個のツールが返ってきました。
ツールの種類 数 例 読み取り専用 10 ファイルを読む・フォルダーの中身を並べる・ファイルを探す 書き込む・移動する 4 ファイルを書く・書き換える・フォルダーを作る・移動する
どのツールにも、読み取り専用かどうかを示す印が付いていました。
許可していないフォルダーにあるファイルを読ませると、サーバーは英語のエラー(Access denied)を返して断りました。
ツールを呼び出すまでの流れ
AIは、ツールの一覧と利用者の依頼を読み、使うツールと渡す値を決めます。利用者が承認すると、アプリがその内容でサーバーを呼び出し、返ってきた結果をA Iに戻します。5
AIは結果を読んで、答えの文章を作ります。文章を作る仕組みは、ふだんのチャットと同じです(生成AIが文章を作る仕組み )。
呼び出しの前に利用者の承認が入る
ツールを呼び出す前に、アプリは利用者の同意をはっきり得なければならない、と仕様は定めています。3 Claudeでは、ツールの承認を求める画面が出ます。
ただし、「常に許可」にしたツールは確認なしで使われます。C laudeの「リサーチ」を使っているあいだも、承認なしでツールが呼ばれることがあります。7
サーバーに渡す情報
仕様の原則では、会話の履歴はアプリが持ち、サーバーにはツールに渡す値など、必要な情報だけを渡します。4
ツールに渡す値は、送る前に利用者に見せるよう、仕様はアプリに勧めています。5
ローカルとリモートの2 つのつなぎ方
仕様が定めるつなぎ方は2 つです。ローカルは、アプリが同じパソコンでサーバーを起動してつなぐ方式です。リモートは、離れたサーバーにH TTPでメッセージを送る方式です。6
Claudeのカスタムコネクタは、インターネット上のリモートのサーバーにつなぎます。接続は利用者の端末からではなく、A nthropicのサーバーから行われます。社内のネットワークの中だけにあるサーバーには、そのままではつながりません。7
よくある誤解
「AIが自分でサービスにサインインしている」
サインインは、ふつうは利用者本人が行います。つなぐ設定のときに、つなぐ先のサービスの画面でサインインし、アクセスを許可します。C laudeはパスワードを見ずに、その人に許された範囲で動きます。7
TeamとE nterpriseのプランでは、オーナーが全員で使う1 つのキーを登録することもできます。その場合は、誰が使っても、C laudeはそのキーで使える範囲で動きます。7
「標準の規格だから安全」
仕様には、同意の取り方などの決まりがあります。ただ、決まりを守るかどうかはアプリ次第で、規格の側に強制する仕組みはありません。3
2025年 には、m cp-remoteというソフトでの任意コード実行など、深刻な脆弱性が複数見つかりました。9
「ツールは説明どおりに動く」
「読み取り専用」などの印は、サーバーが自分で付けたものです。そのため仕様は、信頼できるサーバーから届いた印でなければ当てにしないよう、アプリに定めています。5
悪意のあるサーバーは、C laudeに意図しない操作をさせる隠れた指示を含む可能性があります。サーバーの開発者が、予期せずツールの動きを変えることもあります。7
隠れた指示を見つける方法は、日本語の隠れた指示を検査するツールを試した記事 で試しています。
仕事で使うときに気をつけること
確かめること どこで なぜ 誰が作ったサーバーか コネクタを追加する前 Anthropicが検証していないサーバーにもつなげる 求められる権限 サインインの画面 不要に見える権限を求められたら、つながない 書き込むツールの許可 承認の画面と「検索とツール」メニュー 「常に許可」は信頼できるものだけにする 「リサーチ」で使うか 会話を始める前 承認なしでツールが呼ばれることがある
この表は、C laudeのヘルプセンターの注意書きをもとにしています。7
会計ソフトなど、データを書き換えられるサービスもつなげます。その場合は、使わないツールを無効にしておくのが安全です(freeeの会計をA Iにつなぐ前の設定 )。社内のデータベースは、読み取り専用の設定だけでは足りない理由 も参考になります。
呼び出しの前に承認が入る仕組みでも、「常に許可」とリサーチの2 つの場面では外れます。だから、つないで大丈夫かは、A Iの賢さより、サーバーに与える権限と「常に許可」の設定で決まると考えています。
まずは、C laudeにつないでいるサーバーのツールの一覧を開き、書き込むツールが「常に許可」になっていないかを見てください。
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