10月5日から11日朝までに反響の大きかった、AIを使った開発の記事を9本選びました。反響の件数は、10月11日朝の時点のものです。
選んだ記事の中では、mizchi氏の記事がZennのいいねとはてなブックマークを最も多く集めました。
今週は、AIにコードを書かせる前提で、人の役割や仕事の進め方を見直す記事が目立ちました。今週の記事を並べて読むと、AIに作らせる量を増やすことより、人が何を決め、どこで確かめるかを組み直す段階に入ったとみています。
この記事でわかること
- mizchi氏は、評価指標を決めることと、AIに作業を繰り返させる仕組みを作ることを人の役割に置いています
- terurou氏は、レビューが追いつかないほどAIに作らせていないかと問いかけています
- e-dashの開発チームでは、レビューの作法を文書にしてAIレビューに組み込んだあと、指摘なしで承認されたPRの割合が上がりました
この記事の目次(8節)
mizchi氏のAIプログラミングの手法
- 取り上げる記事:俺のAIプログラミング手法(2026/10/05)(mizchi氏、Zenn、10月5日。いいね1,042件、はてなブックマーク505件)
AIにコードを書かせるときに人が何を担うかを、mizchi氏が棚卸しした記事です。人の役割として、AIに作業を繰り返させる仕組み(ループ)を作ることと、評価指標を作ることを挙げています。1
同氏はまず、AIに任せられる仕事かを判断します。次に完了の定義と評価指標を決め、一度やらせてみます。できなければ、足りないのがコンテキストか、権限か、モデルの性能かを切り分けます。1
仕様を数式のように書いて検査する形式手法では、TLA+やZ3を使うようAIに指示する場面を挙げています。同氏は「プロンプトは高速に陳腐化する」とし、この手法もまたすぐ変わると思う、と書いています。1
BPMNで業務フローをAIが読める形に
- 取り上げる記事:bpmn.io で始める AI-Ready な業務フロー管理(フューチャー技術ブログ、武田大輝氏、10月9日。はてなブックマーク209件)
業務フローを国際的な記法のBPMNで書き、オープンソースのツール群「bpmn.io」で作図・管理する方法の紹介です。2
一般的な作図ツールのファイルに入っているのは、主に図形の座標と書式です。BPMNでは人の作業かシステムの処理かが要素の型として書かれるので、AIがファイルから業務フローの構造を読み取れます。2
武田氏は、記述ルールをClaude Codeに読み込ませてフロー図をレビューさせ、メッセージイベントの送信と受信が逆になっている箇所などを見つけました。2
静的解析ツールのbpmnlintが見るのは構造だけで、業務として正しいかは判定できないと同氏は説明しています。送信と受信の取り違えも、bpmnlintでは見つかりませんでした。2
トヨタ生産方式でAI駆動開発を見直す
- 取り上げる記事:AI駆動開発の時代になったのでトヨタ生産方式から見直す(デンキヤギのterurou氏、AI駆動開発勉強会 名古屋支部#2、10月9日。はてなブックマーク154件)
AIでコードを書く速さが上がったいま、大野耐一氏の『トヨタ生産方式』に立ち返って開発を見直す発表資料です。同氏は、生産性は利益を労働量で割ったものだと定義し直しています。3
「将来のために」と先回りして書くコードは在庫のムダになっていないか、と同氏は問います。レビューが追いつかないほど生産が過剰になっていないかも問うています。3
対策として、AIで浮いた分は生産量を増やすのに使わず、少ない人数で回す「少人化」か、レビュー工程の改善に回すよう勧めています。3
AIが既存の機能を壊しても自動テストやCIで検知できるようにすることは、異常が起きたら止めるトヨタの「自働化」に当たると説明しています。3
人の確認が追いつかない問題は、当サイトの「t-wada氏が示す「レビュー解体」」でも扱いました。
Claude Mods、入れてみた例と作ってみた例
- 取り上げる記事(1):Claude Codeの「Claude Mods」とは? 入れてみた3つのmodと、安全に入れる手順(yoshihiko氏、Zenn、10月5日。いいね71件)
- 取り上げる記事(2):Mods で Claude Code のセッションごとに管理できるメモ帳を作った(イエソドのyu氏、Zenn、10月6日。いいね32件)
Claude Modsは、Claude Codeの画面や動きを変えられる公式の拡張の仕組みです。modは、サンドボックスの外で利用者の権限で動きます。4
yoshihiko氏は、modを入れる前に claude plugin validate で、modが呼ぶAPIを確かめる手順を勧めています。ただし、この出力で安全が保証されるわけではないとも書いています。4
yu氏は、セッションごとにTODOとメモを残せるmodを作りました。Claude Codeに「modでメモ帳を作って」とざっくり伝えたところ、最初の段階でほぼ形になったそうです。5
導入前に確かめたいことは、当サイトの「Claude Codeのmodsとは」にまとめています。
若手エンジニアに要る「AIを使う力」
- 取り上げる記事:若手エンジニアに必要だと感じた「AIを使う力」(三菱UFJインフォメーションテクノロジーのGoto氏、Zenn、10月8日。はてなブックマーク92件)
金融系の開発でAIを使ってきたGoto氏が、若手が迷いやすい点を書いた記事です。AIは聞けば答えを返し続けるので、人に確認する判断が遅れやすいと指摘します。6
同氏は、ゴールを明確にする力、分からないことを言葉にする力、誰に確認すべきかを判断する力などを挙げます。6
前提が足りないときは推測せずに先に質問するよう、AIへの指示に1文足したところ、前提不足による手戻りが減ったそうです。6
データ基盤を作り直しながらAIを試す
- 取り上げる記事:事業活動を AI Ready にする攻めと守りのデータエンジニアリング(CARTA ZEROの近森淳平氏、Data Engineering Summit 2026、10月9日。はてなブックマーク83件)
CARTA ZEROで、業務システムとデータ基盤の作り直しと並行してAIを使い始めた経緯をまとめた発表です。いまの業務にAIを足しても、他社に対する優位性は生まれないと近森氏は述べています。7
作り直しでは、業務システムを標準機能に合わせる方針(Fit to Standard)をとっています。理由として、AIはカスタム項目の意味を知らないので、全部説明しなければならない点を挙げています。7
AIの使い道として最初に始めたのは、アナリストやベテランに集まっていた質問に、AIが先に答える仕組みです。7
Haiku 5.5に替えられるサブエージェントを試す
- 取り上げる記事:Haiku 5.5 を機に Sonnet 以下で動かしていたサブエージェントを見直した(GENDAのokkun0524氏、Zenn、10月8日。いいね48件)
Claude Codeが仕事の一部を任せる役割ごとの別のAI(サブエージェント)を、Haiku 5.5に替えられるか確かめた記事です。1回の依頼が10万トークン以下なら、Haiku 5.5の単価はSonnet 5.5の20分の1です。8
テスト実行役は、定義が短く作業も1つなので、Haiku 5.5に替えました。実装役は試さずにSonnet 5.5のまま残しています。8
調査役は、手元で少ない回数比べたところ答えの質に差はなかったものの、速くならなかったため、評価の時点ではSonnet 5.5を残しました。8
その後、報告に根拠の箇所を添えさせ、呼び出す側が抜き打ちで確かめる形に定義を書き直しました。記事の時点では、Haiku 5.5を試しに使っています。8
同氏は、モデルを替えるだけで済む役割と、呼び出し元との役割分担を変えて初めて安いモデルが生きる役割がある、とまとめています。8
Haiku 5.5の発表の内容は、当サイトの「Claude Haiku 5.5公開」で読めます。
レビューの「口伝」をAIのルールにする
- 取り上げる記事:レビューの口伝を40ルールに棚卸ししてAIレビューに載せた(e-dashのdk氏、Zenn、10月7日。いいね31件)
レビューで口伝えに受け継がれてきたバックエンドの作法を、dk氏は「口伝」と呼んでいます。半年分のPRから、Goのファイルに付いたコメント1,105件を集め、Claudeに分類させました。9
週次で集まり、1件ずつ採否を決めて、ルール案40件のうち36件を採用しています。導入の前と後を比べると、PRは大きくなり、変更ファイル数の中央値は5から7に増えました。9
それでもPR 1件あたりの指摘の数は1.32件で変わらず、指摘なしで承認されたPRの割合は64.5%から71.2%に上がっています。同氏は「一定の品質向上があった」とみています。9
ベテランのやり方を書き残す考え方は、当サイトの「製造業のAI導入は、ベテランのやり方を書き残すことから」でも扱いました。
先週の動きは「9月28日〜10月4日の技術トレンド」で読めます。
出典
- mizchi「俺のAIプログラミング手法(2026/10/05)」(Zenn、2026年10月5日)(参照 2026-10-11)
- 武田大輝「bpmn.io で始める AI-Ready な業務フロー管理」(フューチャー技術ブログ、2026年10月9日)(参照 2026-10-11)
- terurou「AI駆動開発の時代になったのでトヨタ生産方式から見直す」(Speaker Deck、2026年10月9日)(参照 2026-10-11)
- yoshihiko「Claude Codeの「Claude Mods」とは? 入れてみた3つのmodと、安全に入れる手順」(Zenn、2026年10月5日)(参照 2026-10-11)
- yu「Mods で Claude Code のセッションごとに管理できるメモ帳を作った」(Zenn、2026年10月6日)(参照 2026-10-11)
- Goto「若手エンジニアに必要だと感じた「AIを使う力」」(Zenn、2026年10月8日)(参照 2026-10-11)
- 近森淳平「事業活動を AI Ready にする攻めと守りのデータエンジニアリング」(Data Engineering Summit 2026 の発表資料、2026年10月9日)(参照 2026-10-11)
- okkun0524「Haiku 5.5 を機に Sonnet 以下で動かしていたサブエージェントを見直した」(Zenn、2026年10月8日)(参照 2026-10-11)
- dk「レビューの口伝を40ルールに棚卸ししてAIレビューに載せた」(Zenn、2026年10月7日)(参照 2026-10-11)

