要点

対象:問い合わせの振り分けをAIに任せたい担当者

  1. 10万トークン以下の依頼は単価10分の1
  2. 問い合わせ1万通の振り分けで約3ドル(筆者)
  3. 振り分けと要約まで任せ、返信と転送は人に(筆者)

米Anthropicは10月7日(現地時間)、小型モデル「Claude Haiku 5.5」を公開しました。従来のHaiku 4.5より、平均で約75%安く使えるとしています。1

この記事の目次(4節)
  1. 費用の下がり方を左右する2つの条件
  2. 誤答率と、メールに仕込まれた指示への耐性
  3. Claude 5.5ファミリーの3つ目のモデル
  4. 問い合わせメールで試すなら

発表の脚注によると、1回に読ませる文章が少ない依頼なら、単価は90%安くなります。1 長い依頼の値下げは半分にとどまり、同じ文章でもトークンが多く数えられるため、単価は10分の1でも、費用は4分の1ほどになる計算です。13

Haiku 5.5は、Claudeのアプリでは無料プランを含む全プランで選べます。2 業務システムから呼び出すAPIのほか、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureでも同じ日に提供が始まりました。1

筆者は、問い合わせの振り分けや要約のように1件が短くて件数の多い仕事なら、費用を理由にAIの利用を見送る理由はかなり薄れたとみています。

費用の下がり方を左右する2つの条件

10万トークンを超える依頼は半額

Haiku 5.5の料金は、1回の依頼でAIに読ませる文章の量で2段階に分かれます。1回の依頼が10万トークン(AIが文章を数える単位)以下なら、単価はHaiku 4.5の10分の1です。10万トークンを超えると半額です。1

100万トークンあたりHaiku 5.5(10万以下)Haiku 5.5(10万超)Haiku 4.5
入力(読ませる文章)0.10ドル0.50ドル1.00ドル
出力(AIが書く文章)0.50ドル2.50ドル5.00ドル

Haiku 4.5に届いた依頼の約90%は、10万トークン以下でした。同じ使い方なら、多くの依頼が「10万以下」の列の単価で済む計算です。1

新しいトークンの数え方

Haiku 5.5は、トークンの数え方を新しくしました。同じ文章でもHaiku 4.5より約30%多く数えられ、増え方は文章の中身で変わります。3

同社は、10万トークンを超える依頼の割合と、このトークンの増え方も計算に入れて、平均約75%減としています。1

誤答率と、メールに仕込まれた指示への耐性

正答率は上がり、誤答率はほぼ同じ

公開と同時に出た安全性の報告書(システムカード)には、検索や資料を使わずに答えさせる評価の結果も載っています。正答率はHaiku 4.5より上がった一方、誤答率はほぼ同じでした。4

Anthropicは、要約や分類のような範囲を絞った作業にHaiku 5.5を勧めています。AIが自分で手順を進める複雑なプログラミングには、Sonnet 5.5やOpus 5.5が向くとしています。1

文章に隠した指示をAIに実行させる攻撃

AIに読ませる文章に指示を隠しておく攻撃を、プロンプトインジェクションといいます。報告書には、攻撃者がメールに社内のやり取りの転送を命じる指示を隠し、受信トレイを要約するAIに実行させる例が載っています。4

米Gray Swanなどが作った評価では、攻撃を最大15回試した場合の成功率が、Haiku 4.5の83.2%に対し、Haiku 5.5は7.1%でした。4

下がったとはいえ0ではなく、Sonnet 5.5やOpus 5.5よりは攻撃が通りやすい水準です。4

報告書は、外から届く文章を読み、社内の情報も扱えて、利用者の代わりに操作できるAIは、この攻撃を受けるおそれがあるとしています。4

Claude 5.5ファミリーの3つ目のモデル

9月22日にOpus 5.5、9月28日にSonnet 5.5が登場し、Haiku 5.5でClaude 5.5ファミリーの3モデルがそろいました。5

Sonnet 5.5の記事では、単価を据え置いたまま1件あたりの費用が下がった点を取り上げました。

問い合わせメールで試すなら

公表の単価からの計算

APIでメールを自動で振り分ける場合、1通あたり指示とメール本文で入力2,000トークン、答えに出力200トークンを使うとします。この前提なら、表の単価で1万通が約3ドル(1ドル150円で約450円)です。

この計算は実測ではありません。Haiku 5.5は、答える前に考えるかどうかと、どこまで深く考えるかを自分で決めます。考えた分のトークンも出力として料金がかかるので、実際の額は増えることがあります。36

AIモデルの比較サイトArtificial Analysisの測定では、考える深さを最大にしたHaiku 5.5の出力の量は、同じ価格帯の推論モデルの中央値の4倍余りでした。7 初期設定の考える深さは、それより浅い中程度です。6

振り分けだけをAIに任せる使い方は、文章を書かないAI「Jev」の記事でも取り上げました。

TeamプランのAPIクレジット

Haiku 5.5と同じ10月7日、個人向けのMaxとチーム向けのTeamのプランに、APIで使える毎月のクレジットが付くことになりました。数日かけて順に付きます。5

Teamプランなら、この程度の試用はこのクレジットで賄えそうです。クレジットは標準シート1つで月20ドル分、プレミアムシートは100ドル分で、合計の上限は月500ドルです。8

Teamでは、加入から7日以上たった組織のオーナーが受け取ります。組織設定の「請求」で、Claude Console(API用の管理画面)で作った組織とつなぎます。使わなかった分は翌月に繰り越せません。8

返信と転送は人の手に残す

メールに仕込まれた指示に従うおそれがまだ残るので、筆者は、振り分けと要約までをHaiku 5.5に任せ、返信と転送は人が行う形から試すとよいと考えます。

知識で答える評価は、メールの振り分けの精度を測ったものではありません。ただ、誤答率がHaiku 4.5とほぼ同じだった点も、人が確かめる手順を残す理由になります。

送る前に人が確かめる流れは、メールを読むだけから始めるAI秘書の手順と同じ考え方です。

Haiku 4.5から切り替えるなら

外部の会社に作ってもらった仕組みでHaiku 4.5を使っているなら、切り替える前にその会社に確かめてください。Haiku 4.5向けのプログラムは、Haiku 5.5ではそのまま動かない場合があります。3

顧客のメールを読ませる前に

問い合わせメールには氏名や連絡先が入るので、社内の規定と、利用規約でのデータの扱いを先に確かめてください。伏せ方は個人情報を自動で伏せるPresidioの記事にまとめています。

まずはClaudeのアプリでHaiku 5.5を選び、個人情報を伏せた過去の問い合わせメールを数十通振り分けさせて、人が振り分けた結果と並べてみてください。

出典

  1. Anthropic「Introducing Claude Haiku 5.5」(2026年10月7日)(参照 2026-10-08)
  2. Anthropic「Claude Haiku」(製品ページ・提供と料金)(参照 2026-10-08)
  3. Claude Platform Docs「Claude Haiku 5.5の新機能」(参照 2026-10-08)
  4. Anthropic「Claude Haiku 5.5 System Card」(PDF)(参照 2026-10-08)
  5. Anthropicヘルプセンター「リリースノート」(2026年9月22日〜10月7日の項)(参照 2026-10-08)
  6. Claude Platform Docs「思考のステアリング」(料金の項)(参照 2026-10-08)
  7. Artificial Analysis「Claude Haiku 5.5 (max) - Intelligence, Performance & Price Analysis」(参照 2026-10-08)
  8. Anthropicヘルプセンター「MaxおよびTeamプランの月次APIクレジット」(参照 2026-10-08)

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