要点

対象:長いチャットで前の話が通じない人

  1. 読める量は無料で32,000トークン
  2. 上限の中でも真ん中の情報は拾われにくい
  3. 大事な条件は質問の直前に書き直す

Geminiと長くやりとりしていると、最初に伝えた「敬語で」「500字以内で」がいつの間にか守られなくなること、ありませんか。

この記事の目次(4節)
  1. 長いチャットで、前のやりとりはどう渡るか
  2. 上限の中でも、真ん中は読み落とされやすい
  3. よくある誤解
  4. 仕事で使うときに気をつけること

これは、Geminiが一度に読める量に上限があるからです。この量を、コンテキストウィンドウといいます。

Googleのヘルプでは、Google AIのプランに入っていない人の上限は32,000トークンです。トークンは、AIが文章を数える小さな単位です。1

上限を超えると、渡した内容の一部が考慮されなかったり、細かい点が抜けた答えが返ったりすることがあります。1 しかも上限の中に収まっていても、長い文章の真ん中は拾われにくいという研究があります。5 忘れたというより、読み落としに近いんです。

CONTEXT WINDOW 返事のたびに、会話をまとめて読み直す 最初の条件 「敬語で」 やりとり 貼った資料 いまの質問 +大事な条件 読める量(コンテキストウィンドウ) 枠の外は 反映されにくい 枠の中でも、真ん中は拾われにくい AIプランなし 32,000トークン AI Plus 128,000トークン AI Pro・Ultra 100万 大事な条件は、最初の1回で済ませず、質問の直前にもう一度書く
Geminiは、返事のたびに会話を読み直します。読める量(コンテキストウィンドウ)を超えた部分と、長い会話の真ん中は、答えに反映されにくくなります。

長いチャットで、前のやりとりはどう渡るか

アプリの裏側は公開されていないので、手がかりは開発者向けの説明書です。Geminiをプログラムから使うときのAPIの説明書には、会話を続ける方法が2つ書かれています。3

1つは、会話の中身をGoogleのサーバーに預けておき、次の質問では「前のやりとりの続き」と分かる印(ID)だけを送る方法です。3

もう1つは、使う側が会話を手元で持っておき、質問するたびに、これまでのやりとりを全部いっしょに送る方法です。3

2つ目の方法では、質問のたびに、それまでのやりとりが材料として渡ります。前の話を「覚えている」ように見えるのは、こうして毎回材料を渡しているからだと考えられます。

Geminiアプリの中がどう作られているかは、公式には書かれていません。ただ、アプリでもチャットが長くなるほど読み直す量がふくらむのは同じだと見ています。

読める量は、プランで30倍以上ちがう

GoogleはAPIの説明書で、コンテキストウィンドウを人の短期記憶にたとえています。人と同じで、一度に覚えておける量には限りがあるんですね。2

Geminiアプリでの大きさは、プランで決まります。プランなしは32,000トークンです。AI Plusでは128,000トークンに広がります。AI ProとAI Ultraは100万トークンです。1

Googleの説明書では、1トークンはおよそ4文字分とされています。4 ただ、日本語では1トークンに入る文字がもっと少なくなります。

ページ数で言うと、100万トークンで最大1,500ページのテキストを読めるそうです。1 32,000は100万の3.2%なので、同じ割合なら約48ページです。

48ページは多く見えますが、Geminiの長い返事も、貼った資料も同じ枠に入ります。表や議事録をいくつか貼れば、思ったより早く埋まりそうです。しかもチャットが続くかぎり、前の返事も貼った資料も、枠の中に積み上がっていきます。

それに、日本語が何トークンになるかはAIの区切り方で変わります。このサイトでは8つのAIの区切り方を比べました。同じ83文字の日本語でも、32〜66トークンと差が出ています(トークン数の記事)。

上限の中でも、真ん中は読み落とされやすい

100万トークンのプランなら安心、というわけでもないんです。

スタンフォード大学などの研究チームが2023年に出した「Lost in the Middle」という論文があります。AIに長い文章を渡し、答えが書かれた部分の位置を変えて試しています。5

多くの場合、答えが文章の最初か最後にあると正しく答えやすく、真ん中にあると正しく答えられる割合が大きく下がりました。長い文章を読めるとうたうモデルでも同じでした。5

3時間続いた会議のちょうど真ん中あたりで決まったことを後から聞かれても、ぱっと出てこない。人間でもよくありますよね。

長いチャットで言えば、最初に伝えた条件も、途中で貼った数字も、答える前にAIが会話の中から見つけ出す情報です。探す情報が1つなら精度は高いものの、いくつもあると同じ精度は出ません。2

上限を超えたときも、いちばん影響を受けるのは、大きな資料を何本も貼り、そのあちこちにある細かい点を全部拾わせる質問です。1

よくある誤解

1つ目は、「Geminiは会話の中身を覚えていて、忘れるのは調子が悪いから」という誤解です。APIの説明書を見るかぎり、前の話が通じるのは、それまでのやりとりが答えの材料になっているからです。3

その量が上限を超えると、前の話が考慮されないことがある。これはGoogleのヘルプにも書かれた動き方です。1

2つ目は、「有料プランにすれば、長い会話でも抜けなくなる」という思い込みです。読める量は増えても、論文では、長い文章を読めるとうたうモデルでも、真ん中は読み落とされやすいままでした。5

試したのは2023年のモデルで、いまのGeminiを試したものではありません。 上限が大きいことと、全部を同じように読めることは別の話です。

仕事で使うときに気をつけること

長い資料を渡すときは、質問を資料の後ろに置くほうが、多くの場合よい結果になります。2 チャットでも、大事な条件は最初の1回で済ませず、質問の直前にもう一度書いておくと安心です。

話が長くなったら、決まったことと条件をGeminiに短くまとめてもらい、それを貼って新しいチャットを始める手もあります。新しいチャットなら、Geminiが読み直すのは、貼ったまとめとその後のやりとりだけだと考えられます。

資料をいくつも貼るときも、全部を一度に聞かず、1つの質問では1つのことだけ探してもらうのがよさそうです。探す情報が1つのほうが精度が高いからです。2

プランなしのGeminiでどのモデルが使われるかは、Flash-Liteの記事で紹介しています。

AIが文章を作る流れそのものは、生成AIの仕組みで書いています。AIが前のチャットを覚えていない例はClaude Codeの仕組みにあります。声で話すときの流れはGemini Liveの仕組みです。

Geminiに長い話をするなら、大事なことは最後にもう一度。会議の終わりに、決まったことを読み上げるのと同じですね。

出典

  1. Gemini アプリ ヘルプ「Google AI のサブスクリプション プランに応じた Gemini アプリの使用量上限とアップグレード」(参照 2026-11-06)
  2. Gemini API ドキュメント「Long context」(参照 2026-11-06)
  3. Gemini API ドキュメント「Text generation」(Multi-turn conversations・Stateless conversations)(参照 2026-11-06)
  4. Gemini API ドキュメント「Understand and count tokens」(参照 2026-11-06)
  5. Nelson F. Liu ほか「Lost in the Middle — How Language Models Use Long Contexts」(TACL 掲載)(参照 2026-11-06)