要点

対象:ローカルLLMを試すか迷っている人

  1. 料金だけならAPIのほうが安く済みやすい
  2. RTX 5060 Ti(16GB版)は約14万円から
  3. 外に送らずに済むが、会話の履歴は残る

ローカルLLMは、文章を読み書きするAI(LLM)を、自分のパソコンで動かす方法です。料金だけで比べると、クラウドのAIのAPI(アプリからAIを使う窓口で、使った量で料金が決まる)より得になることはあまりありません。

この記事の目次(8節)
  1. メリットとデメリット
  2. 外のサーバーに送らずに済む
  3. 料金で比べる
  4. オフラインでも動く
  5. 性能は最先端のモデルに及ばない
  6. 向いている場面・向いていない場面
  7. つまずきやすいところ
  8. 次に読む回

毎日ある程度使っても、APIの料金は月に数百円です。グラフィックボードを動かす電気代のほうが高くなることもあります。ローカルLLMを選ぶいちばんの理由は、安さより、入力した文章を外のサーバーに送らずに済むことだと考えています。

LOCAL LLM メリット デメリット 01 02 03 入力を外に送らない 使った量の料金が無い オフラインでも動く 本体とグラフィックボードの代金 電気代 ダウンロードと更新の手間 最先端のモデルに及ばない性能 気をつける所: モデルのダウンロード元・会話の履歴・インターネットにつなぐ機能 出典: LM Studio・Ollama・Epoch AI
メリットの3つと、デメリットの4つ。どちらを重く見るかで、自分のパソコンで動かすか、クラウドのAIを使うかが決まります。

メリットとデメリット

比べる点ローカルLLMクラウドのAI(ChatGPT・API など)
入力した文章の送り先自分のパソコンの中サービスの提供元のサーバー
料金のかかり方使った量に応じた料金は無い。パソコン本体やグラフィックボードの代金と、動かした時間の分の電気代がかかる月額か、使った量に応じた料金
オフラインのときダウンロード済みのモデルは動く使えない
準備と更新自分でダウンロードし、自分で更新する提供元が更新する
性能最先端のモデルに及ばない有料のプランなら最先端のモデルを使える

外のサーバーに送らずに済む

LM StudioとOllamaは、ローカルLLMを動かすためのアプリです。LM Studioでは、モデルとの会話で入力したものは、パソコンの外に出ません。1

Ollamaは、パソコンの中で動かしたときの入力やデータを、提供元は見ないと説明しています。2 ただし、パソコンの中で動かしても、モデルのダウンロード元・会話の履歴・インターネットにつなぐ機能には気をつけます。

モデルのダウンロード元

モデルのファイルは、Hugging Face(AIのモデルを公開する場所)などからダウンロードします。Hugging Faceは、信頼できる人や組織のモデルを読み込むよう勧めています。4

Pythonで読み込むと仕組まれたプログラムが動くことがあるpickle形式の危うさは、LM StudioやOllamaで使うだけなら当たりません。2つのアプリが読み込むのは、GGUFなどの別の形式です。41718

会話の履歴

会話の履歴は、パソコンの中に残ります。LM Studioは、会話をJSON形式のファイルにして、.lmstudio の中の conversations フォルダに保存します。5

パソコンのユーザーアカウントを家族などと共用していれば、その人も履歴を開けると考えておくと安全です。社外に出せない文章や、人に見せたくない日記を読ませるなら、その前に、履歴をどこに置き、いつ消すかを決めておきます。

インターネットにつなぐ機能

Ollamaには、モデルをOllamaのサーバーで動かす「クラウドモデル」もあり、名前の最後に -cloud が付きます。選ぶと、入力はOllamaのサーバーで処理されます。3 パソコンの中だけで使う設定は、Ollamaの使い方の回でまとめます。

クラウドのAIに送ったとき

クラウドのAIでは、送った文章は提供元のサーバーで処理されます。OpenAIのAPIでは、自分から共有を選ばない限り学習に使われず、不正利用の監視のためのログが最長30日保存されます(法律で求められる場合などは例外)。6

ChatGPTの画面で使うときの扱いは、ChatGPTの設定で決まります。

社外に出せない文書のために自社のサーバーで動かす例は、ELYZAが公開した日本語LLMの記事で扱っています。

料金で比べる

グラフィックボードとパソコンの値段の目安

GPU(画像の処理に使う部品で、AIの計算にも使う)を載せた部品を、グラフィックボードと呼びます。値段は、GPUのメモリ(VRAM)の量で大きく変わり、動かせるモデルの大きさも、おもにこの量で決まります。

下の表は、2026年11月1日に価格.comの安い順の一覧とAppleの直販で調べた最安値です。891011

製品メモリ(VRAM・ユニファイドメモリ)最安値
GeForce RTX 3060(12GB版)VRAM 12GB約6万円から(価格.com)
GeForce RTX 5060 Ti(16GB版)VRAM 16GB約14万円から(価格.com)
GeForce RTX 5090VRAM 32GB約123万円から(価格.com)
Mac mini(M6チップ)ユニファイドメモリ 16GB149,800円から(Appleの直販)

グラフィックボードの値段に、パソコン本体の代金は入っていません。Mac miniのユニファイドメモリは、CPUとGPUが一緒に使うメモリです。OSやほかのアプリとも共用なので、モデルに使えるのはその一部です。

自分の使い方で何GBのVRAMが要るかは、講座の4回目で計算します。

1か月あたりで比べる

比べる相手は、APIの料金にしました。電気代と同じく、使った量で額が変わるからです。

計算の前提は、下の表のとおりです。トークンは、AIが文章を数える単位です。7121314

前提値
APIのモデルgpt-5-mini(OpenAIの安いモデルの1つ)
APIの料金(100万トークンあたり・2026年11月1日)入力0.25ドル・出力2ドル
1日の使い方入力10万トークン・出力2万トークン
1日に動かす時間2時間
為替1ドル150円と仮定
電気代のもとGPUの最大の消費電力(NVIDIAの仕様)
電力料金の単価1kWhあたり31円(税込・全国家庭電気製品公正取引協議会の目安)
1か月(30日)あたりの目安金額
APIの料金(gpt-5-mini)約290円
電気代(RTX 5060 Ti・最大180W)約335円
電気代(RTX 5090・最大575W)約1,070円
RTX 5060 Ti(約14万円)を3年でならした額約3,970円

電気代だけでAPIの料金を上回るので、この使い方ではグラフィックボードの代金の元は取れません。APIに、ならした額(約3,970円)と電気代の合計より多く毎月払う人でなければ、料金の面ではAPIのほうが安く済みます。

ChatGPTの有料プランと比べるなら、公式の料金のページで月額を確かめ、この合計と比べてください。最大の消費電力はNVIDIA自身が作る製品の値で、ほかのメーカーの製品では違うことがあります。

APIの使いすぎが心配なら、Gemini APIの料金の上限のように、上限を決めて止める方法もあります。

オフラインでも動く

ダウンロード済みのモデルは、インターネットにつながっていなくても動きます。LM Studioでは、モデルとの会話と、資料を読ませる会話がオフラインで使えます。1

次の作業には、インターネットが要ります。1

  • モデルを探す・ダウンロードする
  • モデルを動かす部品(llama.cpp など)をダウンロードする
  • アプリの更新を確かめる

性能は最先端のモデルに及ばない

Epoch AI(AIの進み方を調べる研究機関)は2025年8月に、公開モデル(オープンモデル)を調べました。対象は、RTX 5090のようなゲーム向けの最上位機種1枚で動くモデルです。15

ベンチマーク(AIの性能を測る問題集)の成績では、平均すると最先端のモデルの6〜12か月前の水準でした。15

小さな公開モデルは特定のベンチマークで点を取れるように調整されやすく、実際の差はやや大きいかもしれない、ともEpoch AIは書いています。15

OpenAIが公開したgpt-oss-20bは、モデルを小さくする処理(量子化)をした状態で、16GBのメモリに収まります。16

同じモデルでも、パソコンによって答えが出るまでの時間は大きく違います。速さの目安は、llmspeedでローカルLLMの速度を見る記事にまとめています。

向いている場面・向いていない場面

場面ローカルLLMとの相性理由
社外に出せない文章を読ませたい向いている外のサーバーに送らずに済む
何百回も試したい・長い時間動かしたい向いている使った量に応じた料金が無い
回線の無い場所で使いたい向いているダウンロード済みのモデルは動く
月に数回、要約や下書きに使う向いていないAPIのほうが安く済みやすい
最先端のAIが要る向いていない最先端のモデルに及ばない
パソコンの設定に時間を使いたくない向いていないダウンロードも更新も自分でする

つまずきやすいところ

使い始める前に、会話の履歴の置き場所と、インターネットにつなぐ機能の設定を確かめます。

高いグラフィックボードを先に買うのは避けたいところです。まず手持ちのパソコンで小さなモデルを動かし、何に使うかが決まってから選びます。動くかの調べ方と動かす手順は、講座の7回目と8回目で書きます。

次に読む回

前の回は「ローカルAIとは?クラウドのAIとの違いと、できること・できないこと」です。次の回は「ローカルLLMの『8B』『Q4_K』『VRAM』は何を表しているのか」です。

出典

  1. LM Studio「Offline Operation」(参照 2026-11-01)
  2. Ollama「FAQ」(参照 2026-11-01)
  3. Ollama Blog「Cloud models」(2025年9月19日)(参照 2026-11-01)
  4. Hugging Face Hub のドキュメント「Pickle Scanning」(参照 2026-11-01)
  5. LM Studio「Manage chats」(参照 2026-11-01)
  6. OpenAI API のドキュメント「Your data」(参照 2026-11-01)
  7. OpenAI API のドキュメント「Pricing」(参照 2026-11-01)
  8. 価格.com「GeForce RTX 3060 のグラフィックボード 価格の安い順」(参照 2026-11-01)
  9. 価格.com「GeForce RTX 5060 Ti のグラフィックボード 価格の安い順」(参照 2026-11-01)
  10. 価格.com「GeForce RTX 5090 のグラフィックボード 価格の安い順」(参照 2026-11-01)
  11. Apple(日本)「Mac miniを購入」(参照 2026-11-01)
  12. NVIDIA「GeForce RTX 5060 ファミリー」(参照 2026-11-01)
  13. NVIDIA「GeForce RTX 5090」(参照 2026-11-01)
  14. 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」(参照 2026-11-01)
  15. Epoch AI「Frontier AI capabilities can be run at home within a year or less」(2025年8月15日)(参照 2026-11-01)
  16. Hugging Face「openai/gpt-oss-20b」のモデルカード(参照 2026-11-01)
  17. LM Studio「Import Models」(参照 2026-11-01)
  18. Ollama のドキュメント「Importing a Model」(参照 2026-11-01)