業務改善の提案書をAIで下書きする — 現状・課題・案を分けて書く
業務改善の提案書が通らないのは、内容が悪いからではなく、現状・課題・改善案が混ざって書かれているからです。事実と提案を仕分けて書く型と、AIに下書きを任せてよい範囲を整理します。
提案書の下書きとは何か
業務改善提案書の下書きとは、現状・課題・改善案を混ぜずに書き分けた文書であり、事実と主張を仕分ける作業である。
通らない提案書の多くは、「困っている」という感情と「こうすればよい」という主張が、事実の記述と同じ段落に混ざっている。読む側(管理者)は、まず何が起きているかという事実を確認したいのに、最初から結論を押しつけられているように読めてしまう。
3つの区分
| 区分 | 書く内容 | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 現状 | 実際に起きていること(回数・時間・頻度) | 感想や評価を混ぜない |
| 課題 | 現状によって何が困っているか | 原因の断定を急がない |
| 改善案 | 課題に対する具体的な対応案 | 現状の説明の中に紛れ込ませない |
現状の欄に「大変」「非効率」のような評価語が入っていたら、それは現状ではなく課題である。書く場所を間違えている合図として使える。
手順
- 現状にあたる事実(回数・時間・頻度・件数)をまず箇条書きで渡す。数字がない場合は「体感として週に何回程度」のように書ける範囲で構わない
- 現状と課題を分けて書き直すようAIに依頼する。評価語が現状の欄に混ざっていたら課題側に移すよう指示する
- 改善案は、渡した現状・課題に対応する形でいくつか案を出させる。実現可能性の最終判断は自分と管理者が持つ
- 費用や人員が絡む案には「概算」であることを明示させ、断定的な数字にしない
- 管理者向けの稟議として通す段階に進んだら、費用対効果の見せ方は別稿(AI導入の稟議はこう通す)が扱う稟議書の型に接続する
Anthropicのプロンプトのガイドは、望む出力フォーマットと制約について具体的に指定することを基本原則として挙げている。「現状・課題・改善案の3区分で、現状には数字以外の評価語を入れない」と明示するだけで、混ざり方はかなり減る。
数字がない主張は撤回させる
改善案の効果を書くとき、根拠のない数字(「大幅に削減できる」など)が紛れ込みやすい。Anthropicのハルシネーションに関する解説は、各主張に対して裏付けとなる根拠を示させ、根拠が見つからない主張は撤回させることを挙げている。改善案の効果について、渡した現状データから導けない数字は書かせないよう指示しておくと、下書きの信頼性が上がる。
FAQ
Q. 現状の数字を正確に把握していない場合はどうすればよいですか。 概算であることを明記した上で、体感の頻度を書いてください。数字を作り出すより、不正確さを認めたほうが信頼される提案書になります。
Q. 改善案が複数出た場合、どれを選べばよいですか。 選択はAIに任せず、現場の負担と実現可能性を知っている自分が最終的に絞ってください。AIの役割は候補を漏れなく出すところまでです。
Q. 管理者を説得する材料として何が効きますか。 一般論より、自分の現場の実例と数字のほうが効きます。まず自分の書き物仕事で試し、手戻りが減った実例を持って話すほうが早いという点は、他の場面でも共通しています。
業務改善の提案から実際の仕組み化(記録の一部自動化やチェックリストの運用支援など)まで検討する段階になりましたら、設計のご相談を承っています。
出典
- Anthropic — プロンプティングのベストプラクティス(参照 2026-08-09)
- Anthropic — ハルシネーションを減らす(参照 2026-08-09)