要点
対象:書き物や下準備に時間を取られる看護師
- 役割・材料・形式・制約をそろえて頼む
- 不明な点は「要確認」と書かせる
- 数字・固有名詞・引用元・日付は照合する
生成AIへの指示文(プロンプト)のひな形を、場面別に10個まとめました。どれも、看護師が受け持つ書き物や下準備のうち、時間を取られやすく、患者情報を扱わない仕事です。
患者情報を入力してよいかは施設の規程と契約条件で決まるので、先に確かめておきましょう。
指示文の基本の形
指示文は、事情をほとんど知らない同僚が読んでも、そのとおりに作業できるかどうかで見直します。Anthropic の指針は、この見直し方のほかに、「形式と制約を具体的に書く」「理由を添える」「例を3〜5個見せる」「役割を一文で伝える」を挙げています。1
10個のひな形は、どれも次の形をもとにしています。
あなたは〔役割〕です。以下の〔材料〕をもとに〔したいこと〕をしてください。出力は〔形式〕。〔制約〕。
制約の欄には、毎回「材料に書かれていないことは補わず、不明な点は『要確認』と明記してください」と入れておきます。こうしておけば、どこを確かめればよいかが出力を見て分かります。
読む・整理する
1. 長い通知を要約させる
あなたは病棟の看護師です。以下の院内通知を、病棟スタッフへの周知用に300字以内で要約してください。「いつから変わるか」「誰の手順が変わるか」を必ず含めてください。通知に書かれていないことは補わないでください。(通知本文)
例えば、休暇申請の手順が変わるという長い院内通知が届いたとします。これを貼れば、病棟会で伝える周知文の下書きができます。見直すときは、「いつから」「誰の手順が変わるか」が通知と合っているかを確かめます。
2. 箇条書きを比較表にさせる
以下のメモを比較表に整理してください。列は「項目 / 現行 / 変更後 / 影響を受ける職種」。判断できない欄は「要確認」としてください。(メモ)
3. 用語をかみ砕いて説明させる
以下の説明文を、この分野に詳しくない新人にも分かる言葉に書き換えてください。専門用語は残したうえで、初出時に括弧書きで補足してください。内容は変えないでください。(説明文)
書く・整える
4. 依頼メールの下書きを作らせる
あなたは病棟の物品係です。他部署に〔内容〕をお願いするメールの下書きを作ってください。相手の負担が増えることに配慮した書き方にし、期限と代替案を必ず入れてください。3案出してください。
5. 自分の下書きを短くさせる
以下の文章を、意味を変えずに7割の長さにしてください。削った箇所を最後に3行でまとめてください。(自分の文章)
6. 敬語と誤字を確かめさせる
以下の文章について、誤字・脱字・敬語の誤りだけを指摘してください。文体の好みによる書き換えの提案は不要です。(文章)
7. 研修レポートの構成案だけを出させる
私が書く研修レポートの構成案を3つ出してください。テーマは〔テーマ〕、字数は800字です。本文は書かないでください。見出しと各段落で書くべきことだけを示してください。
7番では「本文は書かないでください」の一文が肝心です。考えを問われる文書を最初からAIに書かせると、提出した本人が中身を説明できなくなります。
準備する・確かめる
8. 想定質問を出させる(説明のリハーサル)
あなたは勉強会の参加者です。以下の資料を読んで、出てきそうな質問を10個挙げてください。答えは不要です。答えにくい質問ほど優先して挙げてください。(資料)
9. 手順の抜けを探させる
以下の手順書について、書かれていない前提や、順番が入れ替わると困る箇所を指摘してください。指摘は「該当箇所の引用」と「なぜ問題か」の組で出してください。改善案は不要です。(手順書)
10. 資料の中だけで答えさせる
以下の資料の内容だけを使って質問に答えてください。一般的な知識は使わないでください。資料に根拠が見つからない場合は「資料に記載がありません」と答えてください。(資料)(質問)
生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしく書くことがあります。これをハルシネーションと呼びます。10番は、その対策として Anthropic が挙げる2つの方法を、そのまま指示にしたものです。「分からない」と答えることを許可すると、誤った情報を大きく減らせます。渡した資料の情報だけを使わせる方法も挙げられています。ただし、誤りは完全にはなくなりません。2
重要な情報は、必ず自分で確かめましょう。
FAQ
Q. 〔役割〕には何を書けばよいですか。
ふだんの係や立場の名前で十分です。「病棟の教育担当」「委員会事務局」など、その文書をふだん作る立場を入れます。
Q. 毎回同じ指示を打つのが面倒です。
うまくいった指示文はメモアプリに保存しておき、貼り付けて使います。
Q. 出力が自分の文体と違い、文書の中で浮いてしまいます。
過去の自分の文書を2〜3件、例として貼ります。指示を練るより早く、書きぶりがそろいます。
Q. どこまで確かめればよいですか。
数字・固有名詞・引用元・日付の4つを、元の資料と突き合わせます。全部を疑うと時間の短縮になりません。
出典
- Anthropic — プロンプティングのベストプラクティス(参照 2026-08-09)
- Anthropic — ハルシネーションを減らす(参照 2026-08-09)
