目標管理シートで生成AIに任せるのは、「頑張る」のような決意を、達成できたかどうかを誰が見ても判断できる行動目標に書き直す作業です。
「〇〇に努める」「意識して取り組む」と書いた欄は、半年もたつと、書いた本人でさえ何を指していたのか思い出せないことがあります。面談で聞かれてはじめて、達成できたかどうかを確かめようがないと気づきます。
この記事でわかること
- 元の一文は手を加えずに入力し、候補を3〜5個出させ、その中から自分で選びます
- 候補には、期末に自分で確かめられる達成基準を添えさせます
- 期末の達成度評価には、この手順を使いません
この記事の目次(4節)
本人・上司・AIの役割分担
| 作業 | 担当 |
|---|---|
| 個人目標の中身を決める | 本人 |
| 抽象的な決意を行動の候補に言い換える | AI(下書き) |
| 達成基準を具体的にする | AI(下書き) |
| どの候補を採用するかを決める | 本人 |
| 達成度を自己評価する | 本人 |
| 評価を合意し、面談ですり合わせる | 本人と上司 |
AIが受け持つのは、表の2行の下書きだけです。指導者が書くフィードバック文については、新人指導のフィードバック文をAIで整えるで取り上げています。業務改善の提案書の書き方は、業務改善の提案書をAIで下書きするにまとめました。
言い換えは3つの手順で
手順は「元の一文をそのまま入力する」「行動の候補と達成基準を出させる」「候補から選ぶ」の3つです。
例えば、来週のラダー面談を前に、「〜に努める」と書いた欄の直し方に困っているとします。その一文を、次の3つの手順で書き直します。
1. 元の一文をそのまま入力する
言い換えたい文は、先に自分で削ったり整えたりせず、そのまま入力します。元の曖昧な言い回しが残っていれば、AIはどこを具体化すればよいかをつかめます。
次の目標管理シートの一文を、達成できたかどうかを誰が見ても判断できる行動の形に言い換えてください。元の文が複数の意味に取れる場合は、それぞれの候補を出してください。「患者さんとのコミュニケーションを大切にし、信頼関係の構築に努める」
ここでの制約は「誰が見ても判断できる行動の形」です。出力の形式や制約を具体的に書くほど、結果は良くなります。1
2. 行動の候補と達成基準を出させる
1つの言い換えに絞らせず、候補を3〜5個出させます。
3〜5個の候補を出してください。それぞれの違いが分かるように、対象範囲の広さや難易度を変えてください。
言い換えただけでは、まだ達成したかどうかを判断できないことがあります。そこで、達成基準も出させます。
上で出した候補それぞれについて、期末に「できた/できなかった」を判断する達成基準を1行で添えてください。上司の評価を待たずに、私が自分で確かめられる基準にしてください。
「上司から評価された」のように、他人の評価で決まるものは達成基準に向きません。
3. 候補から選ぶ
どの候補にするかは自分で決めます。見比べるうちに、何を達成したいのかを確かめ直せます。まずは手元のシートの一文を、手順1の指示文に当てはめてみましょう。
期末の達成度評価には使わない
達成度の判定は、言い換えではなく事実の確認なので、この手順は使いません。「できた」と書くか「一部できた」と書くかは、本人の記憶と記録に照らして決めます。AIは、実際に何が起きたかを知りません。評価文の下書きを任せると、達成していないことまで「概ね達成」とぼかされるおそれがあります。
FAQ
Q. 上司が用意した目標例をそのまま使ってはいけませんか。
使ってかまいません。その場合も、達成基準まで具体的に書かれているかは見ておきましょう。例文も抽象的なままのことがあります。
Q. 行動に言い換えると目標が小さくなりませんか。
候補を複数出させて選ぶ段階で、範囲の広さを自分で調整できます。小さくなりすぎた候補は、採用しなければよいだけです。
Q. クリニカルラダーのレベル判定基準の解釈もAIに聞いてよいですか。
基準文書の言葉の意味を尋ねる程度なら、問題になることは少ないでしょう。どのレベルに当たるかは、本人と上司(評価者)が話し合って決めることです。
Q. 部下の目標管理シートの添削にも同じ手順が使えますか。
言い換えの手順自体は使えます。ただし、部下の目標の中身についての話し合いはAIに任せず、面談で行いましょう(AIに代わらせない仕事)。
出典
- Anthropic — プロンプティングのベストプラクティス(参照 2026-08-14)

