院内発表の構成をAIで組む — 何を捨てるかを決める作業
院内発表がまとまらないのは、伝えたいことを増やしてしまうからです。持ち時間から逆算して何を捨てるかを決める構成の組み方と、結論の中身は書かせずに順序と配分だけをAIに任せる分担を整理します。
発表構成を組むとは何か
発表構成を組むとは、持ち時間から逆算して伝えることを絞り込む作業であり、話す内容を増やす作業ではない。
院内発表がまとまらないとき、多くの場合は材料が足りないのではなく、削れていないことが原因である。伝えたいことを全部乗せようとすると、聞き手が持ち帰れることはむしろ減る。持ち時間が決まっている以上、構成を組むというのは実質的に「何を捨てるか」を決める作業になる。
持ち時間と内容量の目安
| 持ち時間 | 使えるスライド枚数の目安 | 伝えられる論点の数 |
|---|---|---|
| 5分 | 3〜5枚 | 1つ(結論1つに絞る) |
| 10分 | 6〜10枚 | 1〜2つ |
| 20分 | 12〜18枚 | 2〜3つ |
枚数を増やせば内容が増えるわけではない。論点の数を絞ることが先で、枚数はその結果決まる。
手順
- 持ち時間と「聞き手に何を持ち帰ってほしいか」を先に言葉にする。結論の中身は自分で決める(ここは委ねない)
- 材料(データ・経過・気づいたこと)を渡し、持ち時間に対してどこを削るべきかの候補をAIに出させる
- 削る候補には理由をつけさせる。「結論を支える上で必要度が低い」のように、判断の根拠を明示させる
- 削った後の構成が、序論から結論まで一直線につながっているかを人が確認する。つながっていない削り方は捨て方を間違えている
- 質疑で聞かれそうな論点を洗い出させ、本編には入れずに補足スライドとして別に用意する
Anthropicのプロンプトのガイドは、Claudeを「あなたの規範やワークフローに関するコンテキストを持たない、優秀だが新しい従業員」と考えるよう述べている。持ち時間と結論を先に伝えないまま「発表資料を作って」と依頼すると、削るべき基準がないまま構成が組まれてしまう。
事実と考察を混ぜない
発表の材料に事実(記録・データ)と考察(自分の解釈)が混ざったまま渡すと、AIが両者を区別せずに構成してしまうことがある。Anthropicのハルシネーションに関する解説は、事実の根拠付けに直接引用を使うこと、そして各主張に対して裏付けとなる根拠を示させ、根拠が見つからない主張は撤回させることを挙げている。発表構成でも同様に、事実の部分と自分の考察の部分を分けて渡し、考察には「ここは筆者の解釈」と明示しておくと、構成の中でも両者が混ざらない。
看護研究にAIをどう使うかは別稿(看護研究にAIをどう使うか — 文献整理から抄録の下書きまで)で扱っている。この記事は、材料が整った後の「発表そのものの組み立て」に焦点を当てている。
FAQ
Q. 発表内容そのものをAIに考えさせてもよいですか。 結論の中身は自分の観察や分析に基づくものです。AIに任せるのは、決まった結論を持ち時間に収める組み立て作業に限定してください。
Q. 削った内容はどうすればよいですか。 本編から削っても、質疑応答用の補足スライドとして手元に残しておくと安心です。聞かれたときだけ出す構成にできます。
Q. スライドの見た目まで整えてもらってよいですか。 構成(何をどの順で話すか)と見た目(デザイン)は別の作業です。この記事では構成に絞っています。
Q. 発表練習にもAIは使えますか。 想定質問を洗い出させる用途では有効です。ただし実際の話し方や間の取り方は、人前での練習でしか身につきません。
出典
- Anthropic — プロンプティングのベストプラクティス(参照 2026-08-09)
- Anthropic — ハルシネーションを減らす(参照 2026-08-09)