要点
対象:ベテランが休むと仕事が回らない職場
- 書いてある知識なら、AIで探せる
- 書いていない決まりは、先に録音して残す
- まず、いつも聞くことを3つ書き出す
ベテランが休んだ日に、得意先の締め日や見積もりの出し方を、ほかの誰かが答えられるでしょうか。こうした「あの人に聞かないと分からない」状態を、属人化と言います。
AIで減らせるかどうかは、その答えがどこかに書いてあるかどうかで決まると考えています。
資料を読み込ませるAIは、資料の中から答えを探す
Googleの「Gemini Notebook」は、読み込ませた資料の中から答えを探すAIです。2026年7月16日に、NotebookLMから名前が変わりました。23
答えには、根拠にした資料の箇所が付きます。読み込ませられるのは、PDFやGoogleドキュメント、音声ファイルなどです。2 紙の書類も、スキャンしてPDFにすれば同じように使えるでしょう。
ヘルプには、答えられない理由の1つとして「ソースにない情報」が挙がっています。2 その仕組みは、資料を覚えさせずに探させる仕組みの記事で説明しています。
「あの人に聞かないと分からない」知識は、書いてあるか、話せば言葉になるかで、3つに分けて考えられます。
書いてあるのに、探せない知識
手順書や過去の見積書、メーカーの取扱説明書は、紙やファイルで残っていても、どこにあるか分からなくなりがちです。
いつも同じ人に「あれ、どこに書いてあった?」と聞いているなら、これに当たります。Gemini Notebook のようなツールに資料を読み込ませておけば、AIが質問に答え、どの資料に書いてあるかも示します。2
過去の見積書そのものは、ここに入ります。ただ、見積もりの出し方のこつがどこにも書いていなければ、次の「話せば言葉になる知識」です。
話せば言葉になる知識
得意先ごとの決まりや、トラブルのときの段取りは、聞かれれば答えられるのに、書いていないことの多い知識です。
まずは、ベテランにいつも聞かれることを話してもらい、スマホで録音するところからです。それを文字に起こして手順書の下書きにし、本人に中身を確かめてもらえば、AIに探させられる資料になります。文字起こしと下書きなら、AIの得意な仕事です。
録音には、得意先の名前が出る話をどのプランで録るかの注意が要ります。分け方は、LINE WORKS AiNoteの無料プランで録音してよいかの記事に書きました。
言葉にしにくい知識(勘や付き合い)
異音で設備の不具合に気づく勘や、得意先の担当者との付き合い方のこつは、話してもらっても言葉になりにくいものです。
この種のあの人頼みは、現場や得意先回りに一緒に出て、横で見て覚えるしかなく、資料を読ませるAIでは代われないとみています。
資料探しと手順書づくりを任せる3つの方法
方法は、ツールを自分で入れるか、人に頼むか、AIの仕組みを作ってもらうかの3つです。
ツールを自分で入れる
資料を読み込ませて質問できるツールは、GoogleやNotionなどが提供しています。2026年10月10日に公式のページで確かめた、使える条件は次のとおりです。2456
| Gemini Notebook | Notion AI | |
|---|---|---|
| 使える契約 | 個人のGoogleアカウントと、会社向け Google Workspace の多くのプラン | Notionのビジネスプラン以上(年払いで1人あたり月20ドル) |
| 何から答えるか | 読み込ませた資料 | 見てよいページ、つないだアプリ、ウェブ上の情報 |
会社の Google Workspace で使うときは、Workspace を管理している人が、使えるように設定します。2 Notion AI は、フリープランとプラスプランでも、回数を限って試せます。5
どちらも使える量に上限があり、プランによって変わります。45
管理する人が確かめる設定は、会社のGeminiでノートブックを使う前に確かめる設定の記事にまとめました。
人に頼む
オンライン秘書の「フジ子さん」は、マニュアルが無い仕事でも、聞き取りをもとにマニュアルを作れるとしています。7
料金は、手順書づくりに限らず、仕事を任せる時間で決まるプランです。月20時間のプランで、62,400円(税抜き)です。手順書1冊に何時間かかるかは、ページに書かれていません。8
できた手順書を、上のツールに読み込ませて探せるようにするのも一つの手です。
AIの仕組みを作ってもらう
ツールの設定や資料の整理まで含めて、質問に答える仕組みを作ってもらう方法です。当サイトのAI秘書でも、「スタッフからの質問に、マニュアルや規程を基に回答」と「マニュアル・手順書の作成」を、AIに任せる仕事として引き受けています。
どこまで任せられるかは、AI秘書の社内・総務の表にあります。
始める前に、いつも聞いていることを3つ書き出す
- いつも同じ人に聞いていることを、3つ書く(例えば「A社の請求書の締め日は?」)
- その答えが、どこかに書いてあるかを確かめる
- 書いてあれば「書いてあるのに探せない知識」、書いていなければ「話せば言葉になる知識」か「言葉にしにくい知識」に分ける
5分ほどでできるはずです。書いてあるものが多ければ、ツールなどで資料を探せるようにするところから始められます。
話せば言葉になるものが多ければ、まずベテランの話を録音して、文字に起こすところからです。聞き取りから、オンライン秘書に頼む手もあります。言葉にしにくいものが多ければ、一緒に現場に出る時間を先に作ることになります。
手間はかかりますが、取り組む会社のほうが伸びているという、国の白書の数字もあります。
2025年版の中小企業白書の概要では、業務の属人化の防止に取り組む中小企業の付加価値額の伸び率は、2018年から2023年にかけて中央値で11.4%でした。取り組んでいない企業では5.9%です。1
白書の概要の本文では、こうした取り組みが業務の改善に「寄与している可能性がある」としています。1
書き出した3つのうち、書いていなかったものも、ベテランに話してもらうところから始められます。
出典
- 中小企業庁「2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」(経済産業研究所 BBL セミナー資料、2025年5月14日)(参照 2026-10-10)
- Google「Gemini Notebook の詳細」(NotebookLM ヘルプ)(参照 2026-10-10)
- NotebookLM is now Gemini Notebook(Google Workspace Updates、2026年7月16日)(参照 2026-10-10)
- Google「仕事用または学校用の Google アカウントで Gemini Notebook を使用する」(NotebookLM ヘルプ)(参照 2026-10-10)
- Notion「Notion AIとは?よくあるご質問(FAQ)」(Notionヘルプ)(参照 2026-10-10)
- Notion「料金プラン」(参照 2026-10-10)
- フジ子さん「サービス概要」(参照 2026-10-10)
- フジ子さん「料金プラン」(参照 2026-10-10)
