新人看護師が生成AIを勉強に使うなら、答えを聞く相手ではなく、覚えたことを思い出す練習の相手にしましょう。
この記事でわかること
- 使い方は、自分の説明を点検させる・資料から問題を作らせる・質問を整えさせるの3つです
- 患者への対応をAIに聞いたり、アセスメントをAIの答えだけで決めたりしないようにしましょう
この記事の目次(4節)
答えを先に聞くと身につきにくい理由
学んだあとに何も見ずに思い出すと、忘れにくくなります。学習科学で「想起練習」と呼ばれる方法で、新しい場面にも応用しやすくなるとされています。1 読み返すだけの復習では、この思い出す練習になりません。
2006年のRoedigerらの実験では、学生に文章を学ばせたあと、読み直すグループと、何も見ずに思い出して書き出すグループに分けました。練習の5分後・2日後・1週間後に確認テストをすると、5分後は読み直したグループの成績がよく、2日後と1週間後は、思い出して書き出したグループの成績が大きく上回りました。2 試験の直前に詰め込むだけなら読み直しでも間に合いますが、数日後まで覚えておきたいなら、思い出す練習のほうが向いています。ただし、この実験は学生が文章を学んだ場合の結果で、看護の学習でも同じ差が出るかは確かめられていません。
生成AIに「〇〇について教えて」とそのまま聞くと、自分で思い出す前に答えを読むことになります。問題を出させるなど、思い出すきっかけをAIに作らせましょう。
勉強に効く3つの使い方
1. 自分の説明を点検させる
覚えた内容を自分の言葉でAIに説明し、抜けやあいまいな点を指摘させます。説明できなかった部分が、まだ理解できていない部分です。
2. 資料から問題を作らせる
研修の配布資料などの文章を貼り付け、「この資料の内容だけで問題を作って」と頼みます。一般的な知識で解ける問題ではなく、自分が読んだ資料をどこまで理解したかを測る問題が出てきます。答えの根拠が資料のどこにあるかも示させれば、答え合わせも早く済むでしょう。
例えば、研修で配られた資料を読んだ日に、その文章を貼り付けて5問だけ作らせます。翌日、資料を見ずに解き、間違えたところだけ資料を読み直します。
3. 質問を整えさせる
実地指導者(プリセプターなど、新人の指導を担当する先輩)に聞く前に、分からないところを具体的な質問にまとめさせます。質問がはっきりしていれば、指導担当の先輩に聞く時間も短く済みます。
| 使い方 | AIにさせること | 自分がすること |
|---|---|---|
| 説明の点検 | 抜け・あいまいな点の指摘 | 自分の言葉で説明する |
| 問題づくり | 資料の内容だけで出題 | 資料を読み、問題を解く |
| 質問を整える | 質問文の組み立て | 指導担当の先輩に聞く |
どの使い方でも、考えて答えるのは自分です。AIに手伝わせるのは、その前後だけにしましょう。
AIに任せないこと
勉強の場面でも、医学的に正しいかどうかの最終判断はAIに任せないでください。次のような使い方は避けましょう。
- 「この患者にはどう対応すべきか」と、個別の判断を聞く
- アセスメントが妥当かどうかを、AIの答えだけで判断する
- 資料なしで答えさせ、確かめないまま覚える
生成AIは、事実と違う内容をもっともらしく書くことがあります。資料なしで聞いた答えは、教科書で確かめるか、指導担当の先輩に聞いてから覚えましょう。
何を入力してよいかは、別の記事院内で生成AIを使うときの「入力してよいもの」の線引きにまとめています。
よくある質問
Q. 教科書を読むのと、AIを使うのは、どちらが先ですか。
教科書が先です。何も読まずにAIに質問すると、資料に基づかない一般的な知識が返ってきます。
Q. 患者情報を含めて質問してよいですか。
含めないでください。院内で使ってよいサービスでも、入力できる範囲は施設の規程と契約条件で決まっています。
Q. AIが作った問題の答えが合っているか不安です。
貼り付けた資料の該当箇所を示させ、そこと突き合わせてください。資料にない一般的な知識で答えている部分は、信用しないでください。
Q. 忙しくて資料を読む時間がない日はどうすればよいですか。
思い出す練習は短い時間でもできます。5分でも「今日学んだことを自分の言葉で説明する」だけで、読み流すだけの日にはなりません。

