要点

対象:開発チームにAIツールを入れる人

  1. PRの増え方はCopilot CLIの半分ほど
  2. 週に5日以上使った週はPRが50%多い
  3. その後、Claude Codeの大半の打ち切りを告知

Microsoftの社内で、Claude Codeを使った週にマージされたプルリクエスト(PR)は、使わなかった週より11.4%多くなりました。Copilot CLIを使った週は24.9%で、Claude Codeの増え方はその半分ほどです。1

この記事の目次(6節)
  1. ツールごとの増え方
  2. 使った日数ごとの増え方
  3. Copilot CLIのほうが増えた理由は分かっていない
  4. 同僚が使っていると、試す人が出やすかった
  5. PRの数は、価値の大きさではない
  6. 自社で試すなら

社内のエンジニア数万人の利用記録を、Microsoftの研究者3人が分析しました。論文は7月1日に公開され、10月16日にITmediaが日本語で紹介しています。12

導入の最初の週にどちらかのツールを使い始めた人は、使っていなかった場合の見積もりと比べて、PRが約24%多くなりました。この増え方は、分析した4か月のあいだ続きました。1

Claude CodeとCopilot CLIは、どちらもターミナルで指示を出すと、AIがコードを書き、コマンドを実行するツールです。1 Claude Codeの動き方は、Claude Codeの仕組みで図で説明しています。

ツールごとの増え方

数字は、同じ人について、ツールを使った週と使わなかった週を比べたものです。片方のツールだけを使った人で比べています。1

使ったツール使わなかった週と比べたPRの数
Claude Code11.4%多い
Copilot CLI24.9%多い

分析では、1月5日から4月29日までの記録を使っています。対象は、導入前からPRを出していたエンジニアです。1

使った日数ごとの増え方

1週間に使った日が多いほど、PRは多くなっていました。この表は、両方のツールを使った人も含めた数字です。1

1週間に使った日数使わなかった週と比べたPRの数
1日3%多い
3日15%多い
5日以上50%多い

ただし、使ったから増えたとまでは言えません。軽い作業が多い週ほどツールを使いやすく、PRも出しやすかった、という見方も残るからです。1

Copilot CLIのほうが増えた理由は分かっていない

研究者は、理由の候補を2つ挙げています。2つのツールを別の作業に使い分けていたのかもしれません。また、GitHubはMicrosoftの傘下なので、Copilot CLIを社内の開発のやり方に合わせやすかったのかもしれません。1

2026年の初めに世間で公開されたツールの比較では、AIに任せきりで作業させるならClaude Codeが上という評価が多くありました。マージされたPRの数では、その評価と逆になりました。1

同僚が使っていると、試す人が出やすかった

初めて試すかどうかは、Copilot CLIだけで調べています。Claude Codeは、ライセンスを一部の部門と個人にしか配っていなかったためです。1

周りの人が直近2週間に使っていると、初めて試す人が出やすくなっていました。結びつきが強かった順に並べると、次のとおりです。1

  1. 上司の上司が同じ同僚の、4分の1以上が使っていた(直属の上司が違っても、その上の上司が同じ人)
  2. 直属の上司が使っていた
  3. よくレビューをし合う相手の、4分の1以上が使っていた

ただし、同僚の影響で使い始めたのか、似た人どうしが近くに集まっているだけなのかは、区別できません。1

使い続けるかどうかには、別のことが関わっていました。導入前にPRを多く出していた人ほど使い続け、導入前からIDE(VS Codeなど)でCopilotを使っていた人は、続けにくい傾向がありました。1

PRの数は、価値の大きさではない

PRの数が増えても、そのぶん仕事の価値が生まれたとは限りません。研究者自身も、マージされたPRと、それが生む価値は同じではないと書いています。1 受託開発のどの工程で工数が減るかは、SIerのAI活用で取り上げています。

コードが複雑になるなど、品質が下がった分は数えられていない可能性があります。1

研究者は3人ともMicrosoftの社員です。MicrosoftがAIツールを売り、GitHubを傘下に持つことが、問いの立て方や結果の解釈に影響したかもしれないと、論文の中で認めています。1

この結果がほかの会社にも当てはまるのは、Microsoftと環境が似ている場合に限られます。1

分析した期間が終わった少しあと、Microsoftは社内に、大半のエンジニアのClaude Codeのライセンスをおよそ1か月で打ち切ると告知しました。対象のエンジニアには、Copilot CLIへ移るよう伝えています。1

打ち切りの理由は、論文には書かれていません。

自社で試すなら

GitHub Copilot CLIは、GitHub Copilotを契約していれば使えます。Copilot Business・Enterpriseプランでは、管理者が「ポリシー」の画面で有効にするまで、組織のメンバーは使えません。3

Microsoftの結果を参考に自社で試すなら、次の順がよいと考えます。

  1. 管理者が、試す数人のアカウントでツールを使えるようにします。
  2. 試す人は、同じチームの人の前で使って見せます。
  3. 導入の担当者は、試す人ごとに1週間に何日使ったかを記録し、マージされたPRの数と、レビューで変更を求められた件数も見ます。

大きな組織では、AIの利用料が年に数百万ドルになることもあります。1 利用料が予算を超える会社の話は、トークン予算の超過は3社に1社で取り上げています。

PRの数が増えたら、レビューが追いついているかも、同じ週の数字で確かめてください。

出典

  1. Murphy-Hill, Butler, Savelieva「Adoption and Impact of Command-Line AI Coding Agents: A Study of Microsoft's Early 2026 Rollout of Claude Code and GitHub Copilot CLI」(arXiv・2026年7月1日)(参照 2026-10-17)
  2. ITmedia NEWS「Microsoft、社内エンジニア数万人を対象に『Claude Code』『Copilot CLI』導入の影響を分析 生産性どう変わる」(2026年10月16日)(参照 2026-10-17)
  3. GitHub Changelog「GitHub Copilot CLI is now generally available」(2026年2月25日)(参照 2026-10-17)