自動精算機や自動釣銭機で減らせるのは、会計でのスタッフの作業です。現金の受け渡しと釣銭の計算を、機械に任せます。ただ、導入しても会計待ちが減るかどうかは、クリニックの条件で変わります。 導入前に3つの数字を測っておくと、見積もりを比べるときの物差しになります。

この記事でわかること

  • 機械で減るのはスタッフの手作業で、患者の操作時間は短くなるとは限りません
  • 本体は自動釣銭機で90万円ほどから、自動精算機では500万円を超える機種もあります
  • レセコンと連携できない機種では、金額の手入力が残ります
この記事の目次(6節)
  1. フルセルフ型とセミセルフ型の違い
  2. 価格と月々の費用
  3. 導入前に測っておく数字
  4. 効果が出にくい条件
  5. よくある質問
  6. 見積もりを取る前に

フルセルフ型とセミセルフ型の違い

2つの型の違いは、会計金額の確定・入力をスタッフが行うかどうかです。 フルセルフ型の自動精算機では、レセコン(レセプトコンピューター)で確定した会計金額を患者が確認し、支払いまで済ませます。セミセルフ型の自動釣銭機では、スタッフが会計金額を確定・入力し、患者は支払いだけを機械で行います。34

会計のどこを機械が担うか 会計金額の確定・確認 支払い(現金・カード) 対面のやり取り フルセルフ型 セミセルフ型 (自動精算機) (自動釣銭機) 患者が機械で 患者が機械で ほぼなくなる スキャンして金額を確認 現金投入・カード操作 例外対応だけが残る スタッフが確定・入力 患者が機械で 金額確定の場面で残る 手作業として残る 現金投入・カード操作 対面での説明ができる 患者が機械で操作する工程 スタッフの手作業が残る工程 ほぼなくなるもの
フルセルフ型(自動精算機)は会計金額の確認から支払いまでを患者が機械で行い、セミセルフ型(自動釣銭機)は会計金額の確定・入力がスタッフに残る。
型患者の操作スタッフの操作対面のやり取り
フルセルフ型(自動精算機)診察券・バーコードのスキャン、会計金額の確認、支払い基本的に不要(例外対応だけ)ほぼなくなる
セミセルフ型(自動釣銭機)支払い(現金投入・カード操作)だけ会計金額の確定・入力金額確定の場面で残る

フルセルフ型ほどスタッフの手が空き、セミセルフ型ほど対面で説明できる場面が残ります。4

どちらが合うかは、対面のやり取りをどこまで残したいかと、患者が機械の操作にどれだけ慣れているかで決まります。一律の正解はありません。

価格と月々の費用

本体の価格は型と機能で変わり、保守費用も別に毎月かかります。

項目目安
自動精算機の本体100〜300万円、または200〜500万円程度(資料で幅がある)。多機能な機種は500万円を超えることも
自動釣銭機の本体90〜150万円程度
保守・メンテナンス月数千円〜5万円程度(資料で幅がある)
キャッシュレス決済の手数料3.5%程度

自動精算機の本体は、100〜300万円が目安とする資料3と、200〜500万円程度が相場とする資料2があります。どちらも、キャッシュレス決済やレセコン連携などの機能が多い機種は500万円を超えることがあるとしています。自動釣銭機は90〜150万円程度で、連携するシステムや追加の機能で大きく変わります。4

保守費用は、月額数千円〜数万円程度が一般的とする資料4と、月5万円程度とする資料23があります。月5万円なら、年に60万円です。見積もりは、必要な機能と保守の内容をそろえてから比べます。

補助金の制度の全体像は、医療機関のAI導入に使える補助金2026で整理しています。

導入前に測っておく数字

会計待ちが減るかどうかを確かめるには、導入前に次の3つを測っておきます。

導入前に測る3つ 01 02 03 会計1件あたりの所要時間 金額確定から支払い完了まで。混雑時間帯とそれ以外に分けて数回測る 減るのはスタッフの手作業。患者の操作時間は短くなるとは限らない 分/件 釣銭の過不足対応の件数 1日あたり何件、現金の過不足があり、その確認や訂正に何分かかるか 件数が多いほど効果が大きく、少ないほど小さい 件/日 レセコン連携の可否 自院のレセコン名を挙げて、候補機種と連携できるかを見積もり段階で個別に確認する 連携できないと金額の手入力が残り、導入のメリットは半減する 可/否
導入前に測るのは、会計1件の所要時間・釣銭の過不足対応の件数・レセコン連携の可否の3つである。

会計1件あたりの所要時間

会計金額の確定から、患者が支払いを終えるまでの時間です。混雑する時間帯とそれ以外に分けて、数回ずつ測ります。機械で減るのはスタッフの手作業で、患者が画面を操作する時間は短くなるとは限りません。操作に慣れない患者が多い時間帯は、窓口会計より長くかかることもあります。

例えば、午前の診療が終わるころに会計の列ができるクリニックなら、その時間帯と午後の空いた時間帯で測り比べます。混む時間帯に1件の時間が延びているなら、会計の処理そのものに原因がありそうです。延びていないのに列ができるなら、会計に人が集中する時間帯の問題だと考えられます。

釣銭の過不足対応の件数

現金の過不足が1日に何件あり、その確認や訂正に何分かかっているかを数えます。自動精算機・自動釣銭機のメリットとして、各社は釣銭ミスや現金授受のミスが減ることと、レジ締めが楽になることを挙げています。134 どちらも、この件数が多いほど効果が大きく、少ないほど小さくなります。

レセコン連携の可否

最も見落とされやすいのが、この点です。レセコンと連携できない組み合わせでは、会計金額を手で入力する手間が残ります。そうなると、導入のメリットは半減します。3

NOMOCaは国内で使われているレセコンの96.6%以上と連携できるとし、Clinic KIOSKは95%以上のレセコン・電子カルテとの連携実績を挙げています。13 裏を返せば、連携できない組み合わせも一定数残ります。見積もりの段階で、自院のレセコン名を挙げ、機種ごとに確かめてください。

導入の進め方の全体は、クリニックがAIを導入するまでの7ステップにまとめています。

効果が出にくい条件

次のような条件では、投資に見合う効果が出にくくなります。

  • 患者数が少ないクリニック。 本体の費用に加えて、保守費用も毎月かかります。会計の件数が少なければ減らせる作業も少なく、投資の回収に時間がかかります
  • レセコンと連携できない機種を選んだ場合。 金額の手入力が残ります。価格だけで機種を選び、連携の確認を省くと、この条件に当てはまりやすくなります
  • 高齢の患者が中心の小規模なクリニックで、フルセルフ型を選んだ場合。 操作の案内や介助がスタッフの新しい業務になり、窓口会計より時間がかかる場面が出ることがあります
  • 会計以外の受付業務が混んでいるクリニック。 機械で減らせるのは会計の工程だけです。予約の確認・保険証の確認・問診票の受け取りで待ちが出ているなら、会計を自動化しても列の長さは大きく変わりません

よくある質問

Q. 自動精算機とセルフレジは同じものですか。
クリニック向けでは、自動精算機をセルフレジと呼ぶことが多いです。セミセルフレジと呼ばれるのは自動釣銭機で、患者の操作の範囲が違います。

Q. 機械を導入すれば、会計のスタッフは要らなくなりますか。
いいえ。フルセルフ型でも、例外対応のスタッフは必要です。セミセルフ型では、会計金額の確定・入力もスタッフが行います。

見積もりを取る前に

  • 列の原因が会計にあると分かったら、候補の各社に連携の可否を問い合わせてください
  • 列の原因が会計より前の受付にあるなら、機械より先に、その工程を見直してください
  • 高齢の患者が多いなら、自動釣銭機や、有人窓口を一部残す運用も比べてください

出典

  1. クリニックに自動精算機を導入するメリットとは?待ち時間・ミス・負担を解消し、運営を楽に!(参照 2026-08-13)
  2. クリニックの自動精算機の価格帯とメリット|開業や経営への影響も解説(参照 2026-08-13)
  3. 【2026年版】クリニック自動精算機おすすめ7選!メリットやポイント解説付き(参照 2026-08-13)
  4. クリニック向けの自動精算機とは?メリット・選び方から費用面まで解説(参照 2026-08-13)

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