健康診断・人間ドックの予約に使う製品には、予約だけを受けるWeb予約システムと、健診結果報告書の作成まで受け持つ健診システムがあります。健診では、受診者ごとに基本コースとオプション検査の組み合わせが違います。事業所や健康保険組合(健保組合)から一括で申し込みを受ける団体健診もあります。どちらが合うかは、受託している健診と、結果をどの形式で提出するかで決まります。
この記事でわかること
- 協会けんぽの人間ドック健診は申込手続きが不要で、予約は受診者から健診機関に直接入ります
- 特定健診や協会けんぽの健診を受託しているなら、結果データを所定の形式で出力できるかどうかで、選ぶ製品が分かれます
- 無料プランや月額1万円前後のプランでは、データの保管や協会けんぽ提出用データの作成が別料金になる製品があります
毎年秋に、契約先の事業所から従業員50人分の健診をまとめて申し込まれる内科クリニックを考えます。外来の予約枠に1人ずつ入れていくと、誰がどのオプション検査を選んだかを別の紙で管理することになります。受付での確認に手間がかかり、結果を送付する際の取り違えも起きるおそれがあります。外来予約の自動化ツールの多くは、団体健診の受付を想定していません。
協会けんぽの人間ドック健診(2026年度から)
協会けんぽは2026年度(令和8年度)から健診体系を見直し、人間ドック健診への補助を始めました。支部と人間ドック健診の契約を結んだ健診機関には、受診者から直接、予約が入るようになりました。
対象は35〜74歳の被保険者、補助は最高25,000円
人間ドック健診は、一般健診の項目に検査項目を追加し、当日に医師が結果を説明する健診です。対象は35〜74歳の被保険者で、協会けんぽが最高25,000円を補助します。協会けんぽへの申込手続きは不要で、受診者は希望する健診機関に直接予約します。1
この見直しでは、ほかに生活習慣病予防健診の対象に20歳・25歳・30歳の被保険者が加わりました。40歳以上の偶数年齢の女性被保険者を対象に、骨粗しょう症検診も始まりました。2027年度からは、被扶養者もこれらの健診をすべて受けられます。1
健診機関になるには、支部の募集に応募する
人間ドック健診を実施できるのは、協会けんぽの支部と契約した健診機関です。神奈川支部は、協会けんぽと生活習慣病予防健診・特定保健指導の契約を結んでいることを応募の条件にしています。加えて、日本人間ドック・予防医療学会と日本病院会など、募集要項が挙げる団体のいずれかの認定を求めています。健診当日に特定保健指導の初回面談を行い、継続的支援と実績評価までできる体制も条件です。2
条件は支部ごとに公表されるので、自院の所在地を管轄する支部の募集要項を確認してください。
6製品の料金と機能
6製品のうち5製品は、健診結果報告書の作成まで受け持つ健診システムで、予約機能の有無は製品ごとに違います。SelectTypeはWeb予約システムで、健診結果の管理は別のシステムや紙で行う必要があります。
| 製品 | 提供企業 | 主な機能 | 料金(公式ページの表示) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| iD-Heart | テクノア | 予約管理・健診結果報告書・請求・二次検査のフォロー・特定健診XML出力・CSV出力 | 公式ページに記載なし | 導入実績 全国900施設超 |
| タック総合健診システム | タック | 健診業務全般。小規模施設から巡回健診を行う機関まで対応 | 個別見積もり(受診者数・連携機能による) | 導入実績 全国約1,000施設 |
| Smart TOHMAS | アイテック阪急阪神 | 予約管理・Web予約・Web問診・自動判定・健診結果報告書 | 初期費用0円・月額20,000円(税別) | 端末数の制限なし |
| CARNASクリニック | 日本事務器 | 健診結果報告書・自動判定支援・特定健診XML出力 | 初期費用0円・ライトプラン月額9,900円、スタンダードプラン月額22,000円(税込) | ほかに職員健診プラン。協会けんぽ提出用データの作成は月額5,500円(税込)のオプション |
| DAYS-Daidai- | システム・ビット | 予約・受付登録から健診結果報告書まで。特定健診・協会けんぽ提出用データの出力はオプション | 初期費用0円・月額0円の無料プランあり。有料の安心サポートプランは初期費用110,000円〜・月額9,900円(税込) | 無料プランは2年目以降のデータ保管に有料プランが必要 |
| SelectType | セレクトタイプ | Web予約。健診と人間ドックの予約を一つのシステムで受け付け、予約時にオプション検査を選択可 | 初期費用0円・無料プランあり | 健診結果の管理機能なし |
並び順は優劣を表しません。料金と機能は、記事を更新した2026年10月1日に各社の公式ページで確認しました。税別・税込の別は各社の表示に合わせています。456789
無料体験で確かめること
DAYS-Daidai-の無料プランでは、2年目以降もデータを保管するには安心サポートプランへの加入が必要です。CARNASクリニックで協会けんぽ提出用データを作るには、月額5,500円(税込)のオプション契約が要ります。78
無料体験では予約の受付だけでなく、健診結果報告書の作成と提出用データの出力まで通して確かめてください。
予約画面で確かめること
検査メニューが複雑な人間ドックほど、予約画面の設計しだいで受付の手間は大きく変わります。SelectTypeは、男女別にオプション検査を選べる予約フォームの例を公開しています。Smart TOHMASは、Web予約とWeb問診を標準で備え、受診者がスマートフォンから予約できます。69
健診のWeb問診(問診票の入力)とは別に、症状を聞き取るAI問診もあります。こちらは外来診療の前に使うシステムで、目的が違います。
結果データの出力形式を確かめる
個人の健診予約だけなら、Web予約システムで足りる場合もあります。製品の差が出るのは、健診が終わったあとの結果管理です。
特定健診はXML、協会けんぽは指定の様式
特定健診の結果は、健診機関が医療保険者に電子的な標準様式(XML)で提出します。現行の様式は、第4期の特定健診・特定保健指導(2024〜2029年度)に対応したものです。3
協会けんぽの生活習慣病予防健診などの結果は、健診機関が協会けんぽの指定する様式・ツールで提出します。2026年度分からは、提出する健診結果データのレイアウトが変わり、製品の提供元が対応を案内しています。78
報告書を契約先の様式に合わせられるか
事業所の定期健康診断では、契約先の事業所から報告書の様式を指定されることもあります。iD-Heartは、独自の帳票作成ツールで健診結果報告書の様式を自院で作り変えられるとしています。結果を手で書き写す作業が多いクリニックほど、健診システムの導入効果は大きくなります。4
問い合わせ前に整理する5項目
提供元に問い合わせる前に、次の5項目を整理しておくと見積もりが早く出ます。昨年度の受診者名簿があれば、1と4はすぐ埋まります。
健診の予約システムを選ぶ前のメモ
1. 昨年度の受診者数(個人__人・団体__人)と、最も多かった月(__月)
2. 受託している健診(特定健診・協会けんぽ・事業所の定期健康診断・人間ドック・自治体の健診)
3. 結果の提出先と形式(特定健診XML・協会けんぽ提出用データ・事業所ごとの様式・紙)
4. 契約先の事業所・健保組合の数(__か所)と、オプション検査の契約内容が異なる契約先の数(__か所)
5. いまの電子カルテ・レセコン(レセプトコンピューター)の製品名
年間の費用は、初期費用・月額・オプションを合わせた総額で比べ、稟議書の費用試算に使ってください。
健診結果の取り扱い
個人情報保護委員会のガイドラインは、労働安全衛生法の健康診断や特定健康診査の結果を、要配慮個人情報の例に挙げています。保険者や事業主が任意で実施・助成する人間ドックの結果も該当し、受診したという事実だけなら該当しないとしています。10
予約システムで検査結果まで管理するなら、データの保存場所と閲覧できる職員の範囲を契約の前に確かめてください。職員が健診結果を生成AIに入力してしまった場合は、私用の生成AIに個人情報を入力したときの対応を参照してください。
メモの内容ごとの進め方
- 1と4の数が小さく、3が紙だけなら、無料プランのあるWeb予約システムで予約画面を作るところから始められます
- 3に特定健診XMLや協会けんぽ提出用データが入るなら、それを出力できる健診システムの無料体験を申し込んでください
- 協会けんぽの人間ドック健診の実施を目指すなら、システムを選ぶ前に、管轄の支部の応募条件を満たせるかを確認してください
出典
- 新しい健診のお知らせ(全国健康保険協会)(参照 2026-10-01)
- 人間ドック健診実施機関の募集について(協会けんぽ神奈川支部)(参照 2026-10-01)
- 特定健診・特定保健指導について(厚生労働省)(参照 2026-10-01)
- 総合健診支援システム iD-Heart(株式会社テクノア)(参照 2026-10-01)
- タック総合健診システム(タック株式会社)(参照 2026-10-01)
- クラウド型健診システム Smart TOHMAS(アイテック阪急阪神株式会社)(参照 2026-10-01)
- CARNASクリニック(日本事務器株式会社)(参照 2026-10-01)
- スマート健診クラウド DAYS-Daidai-(株式会社システム・ビット)(参照 2026-10-01)
- 健康診断・人間ドック向け予約システム(SelectType)(参照 2026-10-01)
- 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)(参照 2026-10-01)

