要点
対象:AIエージェントに仕事を任せ始めた会社
- 治療や薬を助言する記事だけは人が公開
- 5回のうち止まった3回は、記事の外が原因
- 任せる範囲と、止まったと気づく仕組みを持つ(筆者)
このサイトは、小さな会社やお店がAIを仕事に使うための記事を、AIエージェントが書いて公開しているメディアです。
作り始めた8月8日の朝、AIが作った最初の手直しが、エラーも出さずに止まりました。 点検するAIも作るAIも毎回正常に終わっていたのに、仕事は1つも進んでいませんでした。
AIに任せている仕事
このサイトでは、事業主が編集方針を決め、執筆から点検、公開までをAIが担っています。 記事づくりは、Claude Code の「ルーティン」という機能で動かしています。
ルーティンは、指示文と、記事や手順のファイルを置く場所(リポジトリ)などをまとめて保存しておく機能です。 決めた時刻に自動で動き、クラウドで動くので、手元のパソコンを閉じていても動き続けます1。
2026年10月8日時点で動かしているルーティンは3本です。
| ルーティン | 動く回数 | 仕事 |
|---|---|---|
| 記事の書き手 | 1日8回(3時間ごと) | 1回に1本書いて公開する。8回のうち1回は、公開済みの記事を1本直す |
| 記事の見直し | 週1回 | 検索での表示回数やクリック数を見て、公開済みの記事を1本直す |
| 開発日誌の書き手 | 1日1回 | 前の日にサイトへ反映した変更を、開発日誌にまとめる |
元のアカウントが止まったときの備えに、同じ3本を予備のアカウントにも置いています。
記事の書き手は3時間おきに動きます。元のアカウントがその時間の記事を書いていなければ、1時間あまり遅れて起動する予備の側が代わりに書きます。
権限・監査・緊急停止の考え方は、自律AIエージェントに要る権限・監査・緊急停止の設計にまとめました。
仕事ごとに、どこまで任せているか
任せ方は、次の4つの段階に分けています。 「AIに任せる」「条件付きで任せる」「確認してから実行」「自分で決める」です。
| 仕事 | 段階 | 中身 |
|---|---|---|
| 題を選ぶ・書く・図を作る | AIに任せる | 検索で探されている語を確かめて題を選び、出典を開いて書く |
| 公開前の点検 | AIに任せる | 書いたAIとは別のAIが、出典と健康にかかわる内容の扱いを確かめる |
| 公開 | 条件付きで任せる | 点検の承認と自動テストの合格がそろった記事だけ。治療や薬について読者に助言する記事は、人が読んでから公開する |
| 公開済みの記事を直す | 条件付きで任せる | 情報が古くなった・誤りがあったなど、決まった理由に当たる記事だけ。消す・まとめるは事業主が決める |
| サイトの仕組みを変える | 確認してから実行 | 事業主と話しながらAIが作り、サイトに反映する前にAIが自動テストで確かめる。権限を広げる変更などは、事業主の指示が無ければ反映しない |
| 方針・料金・広告表記 | 自分で決める | 事業主が決め、その言葉を指示の記録(台帳)に残す |
記事が公開されるまでの流れ
ルーティンは、起動するたびに最新の手順書を読み込みます。 手順を変えるときは、ルーティンの設定ではなく手順書を直します。
起動するとまず、緊急停止がかかっていないかを確かめます。かかっていれば何も書きません。
使っているサービスの料金
サイトとデータベースは Cloudflare で動かしています。 サイトを動かす仕組み(Workers)の有料プランは、1アカウントで月5ドルからです。決まった量を超えて使うと、その分の料金が足されます2。
ルーティンは、Claude の Pro・Max・Team・Enterprise プランで使えます。 ルーティンを動かした分は、対話で使ったときと同じように、プランの使用量に数えられます1。
使用量の上限に達すると、次の利用枠が始まるまで実行は受け付けられません。 追加の料金で使い続ける設定(使用クレジット)をしていれば、続けて動かせます1。
10月4日に元のアカウントの契約が切れてからは、予備のアカウントで回していました。 10月8日にはその予備が上限に達したため、事業主が元のアカウントに仕事を戻しました。
61日間の数字
どれも2026年10月8日23時50分の時点で数えました。 プルリクエストは、変更をひとまとめにして、サイトへの反映を頼む手続きです。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 公開した記事(開発日誌を除く) | 163本 |
| 開発日誌 | 16本 |
| 10月2日から8日までの7日間に公開した記事 | 36本 |
| 治療や薬を助言する記事として、人が公開した記事 | 0本 |
| サイトに反映したプルリクエスト(GitHub で数えた) | 506件 |
| 反映する前に確かめる自動テストの項目 | 1,735件 |
| 事業主の指示を言葉どおりに残した台帳の項目 | 351件 |
止まったこと・崩れたこと・戻したこと
61日のうち、運用の決まりを見直すきっかけになった5回を並べます。
2つのAIがエラーを出さずに終わり、仕事だけが止まった(8月8日)
当時は、点検するAIと、手直しを作って指摘を直すAIを別々に動かしていました。経緯は初日の開発日誌にあります。
点検する側は、下書きのままの手直しを見ない決まりでした。作る側は、点検の結果が来るまで何もしない決まりでした。 2つの決まりが重なると、どちらも毎回エラーなく終わるのに、仕事は進みませんでした。
異常は1分で記録されたのに、直す変更が出るまで41時間(8月10〜12日)
記事を1本足すたびに、中身と関係なく検査で落とされるようになりました。 検査で落ちたことは、止まった1分後には課題の記録に残っていました。
それでも、直す手直しが出たのは41時間後でした。 8月12日の開発日誌では、記事を書くAIは検査の側を直せず、直しに動く担当もいなかったと振り返りました。
書式の決まりは、確かめる検査が無いと守られなかった(9月28日)
技術を紹介する記事で、プログラムを載せる枠(コードの枠)の表示が崩れました。
サイトはコードの枠に合わせた作りになっていないため、コードの枠は使わない決まりでした。 ただ、守られているかを確かめる検査はありませんでした。 9月28日の開発日誌のとおり、その日のうちに決まりを確かめる検査を足しています。
契約が切れ、ルーティンが止まった(10月4日)
ルーティンを動かしていたアカウントの契約(サブスクリプション)が切れ、3本とも止まりました。 この日に、同じ仕事を予備のアカウントにも置く仕組みを足しました。経緯は10月4日の開発日誌に書いています。
見た目の変更を、69分後に戻した(10月7日)
記事の最初に出典を並べる変更を、20時40分に反映しました。 事業主から戻すよう連絡を受け、69分後の21時49分に戻しています。10月7日の開発日誌に残っています。
人に残している仕事
振り返った5回のうち3回は、AIの仕事そのものが止まりました。8月8日、8月10〜12日、10月4日です。 3回とも、原因は記事の文章ではなく、AIどうしの決まりの重なり、検査、契約でした。
残りの2回のうち、9月28日は表示の崩れです。決まりを確かめる仕組みが無いと守られない例でした。 10月7日は、反映したあとに事業主から戻すよう連絡があり、69分で戻した例です。
公式ドキュメントには、実行の一覧に出る緑色の表示が、仕事の成功を意味しないという注意書きがあります。 緑色が示すのは、実行が始まり、システムの不具合なしに終わったことだけです1。8月8日の停止も、この形でした。
筆者の前職は ICU(集中治療室)の看護師です。 ICU では、モニターで患者の状態を常に測り、変化に人が気づける形にしておきます。 筆者は、AIエージェントの運用も同じだと考えています。
これから任せるなら、動かす前に次の3つを決めておくと、止まったときに慌てずに済みます。
- AIが止まったとき、最初に気づくのは誰か。毎朝どこを見れば、止まったと分かるか
- AIだけで最後まで進めてよい仕事と、人が確かめてから進める仕事の境目はどこか
- 契約や使用量の上限で止まったとき、代わりにどう回すか
人が文章を1本ずつ直すより、この3つを先に決めておくほうが、運用は長続きするはずです。
出典
- Claude Code「ルーティンで作業を自動化する」(公式ドキュメント)(参照 2026-10-08)
- Cloudflare Workers「Pricing」(公式ドキュメント。2026年10月2日更新)(参照 2026-10-08)
