AIが書いた整骨院のお知らせを、AIっぽい日本語を直すスキル「yomiyasu」(よみやす)で書き直すと、指示していない注意書きが太字になって目立つようになりました。下書きの段階で、AIが勝手に入れていた1文です。

この記事の目次(4節)
  1. 10月5日の1.0.7で変わったこと
  2. 整骨院のお知らせと工務店の社内周知文で試した
  3. 検査スクリプトと人の分担
  4. 職場で使う前に確かめること

当サイトは10月6日、OpenAIのコーディング用AI「Codex」に、整骨院のお知らせと工務店の社内周知文の2本を書かせました。Codexはプログラムを書くためのAIですが、文章も書けます。そのうえで、yomiyasuを導入した同じCodexに2本を書き直させました。

筆者は、AIの下書きを読みやすく直す前に、指示した条件と下書きを1文ずつ照らし合わせる工程を設けるべきだと考えます。書き直す前と後を見比べても、指示していない文は両方にあるので、差としては表れません。

10月5日の1.0.7で変わったこと

yomiyasuは、AIに読み込ませる手順書(スキル)の本体と、文章を検査する2つのプログラムからなります。1つは文章を採点する検査スクリプトで、もう1つは書き直しの前後を比べるものです。13 どんな文を直すのか、検査の点数がどこまで当てになるのかは、yomiyasuの公開を伝えた記事で取り上げました。その記事では、1.0.1が出る前の、10月1日時点の版の検査スクリプトだけを試しました。

yomiyasuは9月30日に公開され、10月5日の1.0.7まで7回更新されました。1.0.7では、「資料を、全員へ。」のように読点で間を置き、助詞で言い切る広告のキャッチコピーのような文を直すようになりました。文の途中で動作をする人が変わるときは、原文や前後から分かる範囲で、誰がするのかを書くようにもなりました。2

整骨院のお知らせと工務店の社内周知文で試した

試した道具は、yomiyasuの1.0.7と、Codexをコマンドで動かす「Codex CLI」の0.160.0(モデルはGPT-6.1 Sol)です。

整骨院のお知らせは、患者さんに出す「LINEでの予約受付を始めます」という文です。開始日、24時間受け付けること、キャンセルと変更の期限、電話での予約と受付時間、初めての人は問診票を事前に送れることの5つを入れるよう指示しました。

工務店の社内周知文は、従業員8人の工務店で社長が出す文です。問い合わせへの返信の下書きにAIを使うことを伝え、決まり3つと、困ったときの相談先を入れるよう指示しました。決まりは、担当者が読んで直してから送ること、見積もりの金額・工期・値引きは担当者が自分で書くこと、お客様の名前・住所・電話番号をAIに入力しないことです。どちらも400〜600字で書かせました。

下書きに入っていた、指示していない文

Codexは下書きに、指示していない文をいくつか盛り込んでいました。お知らせには、予約の際は名前と希望の日時をLINEで送るよう求める案内や、「ご家族やお知り合いに当院をご紹介いただく際にも、ぜひお伝えください」という文がありました。

さらに、「なお、メッセージの送信だけでは予約確定にはなりません。当院からの返信をご確認ください」という2文もありました。LINEで予約がそのまま確定する仕組みなら、事実と違う案内になります。

社内周知文にも、目的の説明や、下書きを確かめるときの観点、「問い合わせメールを丸ごと貼り付けず、これらの情報を除いて、返信に必要な内容だけを入力してください」という1文が足されていました。

下書きの採点

項目整骨院のお知らせ工務店の社内周知文
点数(100点満点)80点90点
太字の頻度1,000字あたり7.75個(推奨は2.0個以下)1,000字あたり5.71個
そのほかの指摘「ます」で終わる文が3つ続くところが2か所、記号の ** がそのまま表示される太字が1か所箇条書きの行が全体の50%(推奨は15%以下)

検査スクリプトの指摘は、太字と箇条書きの多さ、太字の表示崩れ、同じ文末の連続の3種類でした。「時間を溶かす」のような比喩的な言い回しは、どちらの下書きからも検出されませんでした。指示していない文は、採点の対象に入っていません。

作者の大賀愛一郎さんは、技術記事の太字や箇条書きの割合に目安を設ける根拠として、個人のブログで公開された集計を挙げています。目安の数値そのものは、作者が独自に決めたものです。1 集計は、エンジニア向けの投稿サイトQiitaの2019〜2026年の各年8月の記事約7万本を数えたものです。2026年は2019〜2022年と比べて、1,000字あたりの太字の数が約3倍、箇条書きの割合が約1.8倍でした。4

半分の文は文言が変わらなかった

太字の記号を除いて句点で区切って数えると(当サイトの実測)、書き直した後も、お知らせは16文のうち8文、社内周知文は13文のうち7文の文言が変わりませんでした。

お知らせでは、「開始します」を「始めます」にするなど、一部の言い回しが変わりました。太字の記号と句点の順番が入れ替わり、「9時〜19時(日曜・祝日は休み)」は括弧を外して2文に分けたことで、太字が正しく表示されるようになりました。日付と時刻は変わっていません。

指示していない文は、2本ともすべて残りました。「なお、メッセージの送信だけでは…」の注意書きは「ただし、メッセージを送っただけでは予約は確定しません」と言い換えられ、太字になりました。社内周知文では、箇条書きの3項目と3か所の太字がそのままで、決まりの中身も変わっていません。

確かめる順番 01 02 03 条件と照らし合わせる 読みやすさを点検する 書き直した文を読む 人 検査スクリプト 人 指示していない文が 入っていないか 日付・期限は合うか 太字・箇条書きが 多すぎないか 同じ文末が続かないか 言い換えで意味が 変わっていないか AIが書き直す yomiyasuを使えるのは、02の点検と、02と03の間の書き直し 指示していない文は01で人が見つける(書き直しでは消えない)
筆者が勧める確かめる順番です。yomiyasuを使えるのは、2番目の点検と、そのあとの書き直しです。

yomiyasuは、原文にない情報を足さないことと、元の主張や言い切りの強さを変えないことを最優先にしています。1 READMEにも、検出結果は見直し候補で、指摘がないことだけでは意味の保持や文章の使いやすさを保証しないとあります。1 1.0.7のリリースノートでも、点数だけで意味の保持や読みやすさを判断しないことを明確にしたと説明しています。2

検査スクリプトと人の分担

検査スクリプトは、太字の多さや同じ文末が続くところを、点数と箇所で示します。お知らせや社内の通知のように同じ形の文書をよく出す職場なら、人が中身を確かめた後に検査スクリプトにかける使い方が合うと、筆者はみています。

一方で、開始日やキャンセルの期限が合っているか、指示していない案内が入っていないかは、検査スクリプトの採点では分かりません。書き直しまでAIに任せるなら、直した文を人が読み返す時間を取れる職場に限ったほうがよいでしょう。AIに下書きを作らせた返信を送る前に確かめる4つの点は、Gmailの返信をAIに下書きさせる記事にまとめました。

職場で使う前に確かめること

確かめること理由と対応
使うバージョン公開から5日間で7回更新されました。バージョンによって直し方が変わるので、使うバージョンを固定しておきましょう
許可する操作当サイトで導入したときは、コマンドの最後に、スキルはAIツールと同じ権限で動くので使う前に中身を確かめてほしい、という注意が表示されました。検査スクリプトはAIツールがパソコン上で実行するので、コマンドの実行を許可することになります
文章の送り先AIツールが書き直すので、文章はそのAIツールの提供元が処理することになります

使うバージョンと文章の送り先の2つは、開発会社に導入を頼む場合にも聞いておきたい点です。お客様の名前や電話番号を含む文章を扱うなら、送る前に伏せておきましょう。個人情報のマスキングの記事で、伏せ方を試しました。

AIに文章を書かせるときは、指示する条件をメモに1行ずつ書いておくと、あとで下書きと照らし合わせやすくなります。

出典

  1. yomiyasu(GitHubのリポジトリ。READMEとSKILL.md)(参照 2026-10-06)
  2. yomiyasu「v1.0.7」(GitHub、2026年10月5日)(参照 2026-10-06)
  3. 大賀愛一郎「AI-Slopな日本語を構造レベルで読みやすくするSkill『yomiyasu(よみやす)』を作りました」(Zenn、2026年10月1日)(参照 2026-10-06)
  4. 逆瀬川ちゃん「生成AI以前と以後でエンジニアの文章はどう変わったのか: Qiitaの7万記事を数えてみた話」(個人ブログ、2026年9月11日)(参照 2026-10-06)

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