要点

対象:売上や来店数の予測にAIを使いたい担当者

  1. 前月の売上が2,000万ドルを超える会社は使えない
  2. GPUは要らず、CPUで動く
  3. 精度の数字はMistralが自社で出したもの

Timestral(タイムストラル)は、日ごとの売上や来店数の記録から、先の値を予測するAIモデル(時系列予測モデル)です。Mistral AIが、2026年10月15日に公開しました。1

この記事の目次(6節)
  1. 売上の上限
  2. 何を入れて、何が返るか
  3. サイズは4種類、速さと誤差
  4. 動かすのに要るもの
  5. 使えそうな場面と、気をつけたい点
  6. 試す前に確かめること

GPUは要りませんが、前月の売上が2,000万ドルを超える会社は使えません。勤め先の売上も数えます。3

売上の上限

ライセンスは「Modified MIT License」で、売上に上限があります。3

項目ライセンスに書かれていること
使えない場合自社(または勤め先)の、世界全体の連結の月間売上が、前月に2,000万ドルを超えている
改変版にも適用されるか適用される。このモデルを改変したものや、組み込んだものにも同じ上限が適用される
上限を超える場合Mistralに商用ライセンスを申請する(与えるかどうかはMistralが決める)か、Mistralが運営するサービスを使う
表示写しや大部分を配るときは、著作権と許諾の表示を残す

コードはApache 2.0というライセンスですが、重み(学習で決まった数字の集まり。モデルの中身)は別のライセンスです。上の表は重みに当たります。4

売上が上限に近い場合は、法務担当者か弁護士に確認してください。

何を入れて、何が返るか

入力するものと返ってくるもの 入力するもの 返ってくるもの 過去の数字(日ごとなど) 将来の値が分かっている情報 過去の値しか分からない情報 Timestral 中央値(真ん中の予測値) 両端に近い値(幅を出す) 合わせて21通りの予測値 返ってくるのは数字と幅
Timestralの入力と出力。過去の数字を入力すると、先の数字の中央値と、見込みの幅を出せる21通りの予測値が返ってきます

予測は1つの値ではなく、21段階の値で返ります。真ん中が中央値です。サンプルのコードは、低い側の値と高い側の値を1つずつ選び、見込みの下限と上限に使っています。2

項目内容
入れられるデータ1つの系列か、複数の系列。祝日のように先まで分かっている情報と、過去の値しか分からない情報も加えられる
欠けた日欠損を表す「NaN」にします
入れられる長さ最大32,768時点(長いときは、新しい側を使う)
1回で予測できる範囲最大1,024時点先(日ごとの数字なら、3年近く先)。それより先は、予測した中央値を入力に足して、順に予測する

サイズは4種類、速さと誤差

モデルのサイズは4つです。数字はパラメータ(学習で決まる内部の値)の数で、Mは100万個を表します。大きいほど誤差は小さくなりますが、123Mと209Mの差はわずかです。2

5M28M123M209M
重みのファイルの大きさ21MB111MB490MB837MB
予測誤差(MASE。小さいほど良い)0.7050.6780.6590.658
予測にかかる時間10ミリ秒209Mより短い209Mより短い140ミリ秒

MASEは、予測の外れ具合を表す指標です。表の誤差は、いろいろな分野のデータで予測力を比べる共通の試験データ(GIFT-Eval)での値です。2

時間は、Mistralの発表の値です。サーバー用のCPUで翌日を予測したときの値で、使った履歴は3週間分の15分ごとの数字です。そのほかの2サイズは、発表では209Mとの比だけが書かれています。1

ファイルの大きさはREADMEによります。4

誤差と時間は、Mistralが公表した数字です。技術報告は、公開予定とモデルカードにあります。12

動かすのに要るもの

項目内容
必要な環境Python 3.10以上、PyTorch 2.4以上
依存するライブラリNumPy、safetensors、huggingface_hub
インストールpip install git+https://github.com/mistralai/timestral.git
GPU不要
重み初回の実行時に、Hugging Faceから取り込む。HF_HUB_OFFLINE=1 を設定すると、ダウンロード済みの重みだけを使う

READMEは、重みの取得以外の通信に触れていません。4

使えそうな場面と、気をつけたい点

Mistralが挙げる用途は、設備や能力の計画、エネルギー、サプライチェーン(物の流れ)、リスク、保守などです。例には、工場のセンサーの予測と、金融の資金や取引量の予測があります。1

売上の予測は、公式の発表の例にありません。日ごとの売上や来店数にも使える可能性があると考えます。

実際の会社のデータは、ベンチマークのデータと性質が違うことがあります。Mistralは、データの性質は時間がたつと変わることもあると書いています。1

自社のデータに合わせてモデルを調整する方法として、Mistralは Mistral Forge(Mistralの学習サービス)を挙げています。料金は発表にありません。1

試す前に確かめること

委託先や社内の情報システム部門に、次の点を確かめておくと安心です。

確認項目理由
前月の連結売上が、2,000万ドル以下か超えていると、このライセンスでは使えない
過去の数字が、どれだけ残っているか抜けは「NaN」にできる。履歴が短いと当たりにくいはずだが、必要な長さは公表されていない
直近の分を除いて予測し、実績と照らし合わせられるか公表の誤差は公開ベンチマークでの結果。自社のデータで当たるかは、試さないと分からない
予測が外れたとき、誰が判断するか幅を見て判断する人を、先に決めておく
今後も保守されるかREADMEは修正案(プルリクエスト)を受け付けず、質問や不具合には可能な範囲で答える方針。重大な不具合と脆弱性は直すとしている4

ローカルで動かすAIの速さは、機材ごとに比べた記事が参考になります。日本語の社内文書を扱う別のAIは、EmbeddingGemma 2の記事で紹介しています。

売上を見るツールは、スマレジのAIレポートの記事で紹介しています。弥生会計 NextのAIの記事もあります。

過去1年分の売上のうち、最後の1か月を除いて予測させ、実績と並べると、当たり具合が分かります。

出典

  1. Mistral「Timestral」の発表(2026年10月15日)(参照 2026-10-20)
  2. Timestral-209M のモデルカード(Hugging Face)(参照 2026-10-20)
  3. Timestral-5M の LICENSE(Modified MIT License・Hugging Face)(参照 2026-10-20)
  4. mistralai/timestral の README(GitHub・コードは Apache 2.0)(参照 2026-10-20)