要点

対象:社内のExcelをAIに読ませたい担当者

  1. 試した表は見出しの結合でレベル2が0点
  2. 単位つきの数字は初期設定で指摘されず
  3. AIの補助機能がオフなら表を外に送らない

Harunobu(はるのぶ)は、ExcelやCSVの表が機械(コンピューターやAI)に正しく読み取れるかを採点するツールです。デジタル庁が開発してGitHubで公開しており、10月21日にブログで紹介しました。14

この記事の目次(7節)
  1. 採点の基準は政府が3月に決めたルール
  2. 採点のモードは3つ
  3. 架空の神Excelを採点した結果
  4. ブラウザ・コマンドライン・Pythonで使える
  5. AIに整形プログラムを作らせる手順
  6. Harunobuが向く表と向かない表
  7. 社内で使う前の確認

機械にとっての読みやすさを「機械可読性」と言います。セルを結合したり、印刷向けに体裁を整えたりした、いわゆる「神Excel」は、人には見やすくても、機械が読み間違える原因になることがあります。4

社内のExcelをAIに読ませる前にHarunobuを使うと、どのセルがどのルールに違反しているかを一覧で確かめられます。2

採点の基準は政府が3月に決めたルール

基準は、政府の会議が3月31日に決めた「行政データにおける機械可読性に関するルール」です。ルールは3つのレベルに分かれています。13

レベル満たすとできることルールの例
レベル1機械が表を読み取り、転記できる1シートに表は1つ、セルを結合しない、スペースで体裁を整えない
レベル2そのまま集計や分析ができる数字の列に文字をまぜない、前の行と同じ値を空欄にしない、どの列も項目名で区別できる
レベル3ほかのデータとつないで自動で処理できる単位を書く、日付や年度を標準の書き方にする、地域コードか正式な地域名を書く

Harunobuは、レベルごとに採点します。ルールごとに減点幅が決まっていて、たとえばレベル1で空白行があると10点引かれます。1

重大なルールに1つでも違反すると、そのレベルは強制的に0点になります。12

採点のモードは3つ

採点のモードで、どのレベルまで見るかが変わります。1

モード見るレベル
軽量レベル1だけ
標準(初期設定)レベル1とレベル2
詳細レベル1からレベル3まで

結果はJSONかCSVのファイルで保存できます。違反が多いと、CSVでは一部の違反がまとめて書かれることがあります。1件ずつ全部を見るならJSONを選びます。1

架空の神Excelを採点した結果

このサイトで、10月22日にHarunobu 0.2.2を使いました。AIの補助機能はオフ、モードは「標準」の初期設定のままです。

架空の「来店予約一覧表」を2つ用意しました。1つ目は神Excelで、作りは次のとおりです。

  • 表の上に、タイトルと「作成:受付」の行がある
  • 「日付」の見出しは、2つのセルを結合して作っている
  • 名前に全角スペースが入っている
  • 途中に空白行がある
  • 人数は「2名」のように単位つきで書いている
  • 前の行と同じ日付は空欄にしている
  • 最後に合計の行がある

2つ目は、同じデータを、見出しの行の下に1件ずつ並べ直した表です。

神Excel並べ直した表
レベル175点100点
レベル20点100点

神Excelでは、次の4つの違反が、セル番地とともに指摘されました。

違反したルールHarunobuが示した箇所点への影響
データ本体と無関係な情報がないかタイトル、「作成:受付」、合計の行レベル1から5点
スペースや改行等で体裁を整えていないか「山田 太郎」レベル1から10点
データが分断されていないか7行目の空白行レベル1から10点
各列が一意に識別可能な項目名を持っているか結合した「日付」の見出しレベル2が0点

結合した見出しは、レベル1の「セルを結合しない」では点が引かれませんでした。代わりに、レベル2の「項目名で列を区別できるか」で違反になりました。このルールは重大なルールなので、レベル2が0点です。

初期設定で指摘されなかった点

単位つきの人数も、前の行と同じだからと空けた日付も、違反として指摘されませんでした。GitHubの文書によると、この2つはAIの補助機能をオンにしたときに見つける項目です。56

ブラウザ・コマンドライン・Pythonで使える

使い方は、ブラウザの画面・コマンドライン・Pythonのプログラムの3つです。判定の仕組みは、どれも同じです。2

ブラウザの画面なら、ファイルを選んでモードを決め、ボタンを押せば採点できます。ただし、Webサービスではなく、社内のパソコンにPythonなどを用意して動かします。2

情報システム部門に頼むときは、次の手順を伝えてください。

  1. GitHubから digital-go-jp/machine_readability_rule をダウンロードする
  2. Python 3.10以上と、パッケージ管理ツールの uv を用意する
  3. ブラウザの画面なら uv sync --extra ui のあと uv run streamlit run app.py を実行する
  4. コマンドラインなら uv run harunobu analyze 表.xlsx で採点する

AIに整形プログラムを作らせる手順

Harunobuは採点をするだけで、表は直しません。採点結果を使ってAIに表を整形させる手順は、次の5つです。4

  1. Harunobuで表を採点する
  2. 採点結果と表をAIに読ませる
  3. AIに、表を整形するプログラムを作らせる
  4. そのプログラムを動かして、表を整形する
  5. 整形した表を確かめ、直しきれていなければ1に戻る
5つの手順 01 02 03 04 05 Harunobuで 表を採点する 採点結果と表を AIに読ませる プログラムを 動かして整形 整形した表を 確かめる AIに 整形プログラム を作らせる 直しきれていなければ、もう一度採点する AIに表を書き換えさせない
デジタル庁のブログが示した、Harunobuの採点結果を使って表を整形する5つの手順。AIに表を書き換えさせず、整形するプログラムを作らせます

いちばん大事なのは3つ目です。AIに表を書き換えさせると、同じ表でも毎回同じ結果になるとは限りません。整形するプログラムを作らせれば、そのプログラムは何度動かしても同じように表を整形します。4

デジタル庁のブログでは、執筆時点の10月に無料で使えるChatGPTにHarunobuを実行させ、ダミーのExcelをきれいな形の表に整形しています。社外の生成AIで表を扱うときは、所属組織の利用ルールに従うよう呼びかけています。4

Harunobuが向く表と向かない表

たくさんのExcelを一度に採点したいときに、Harunobuは向いていると考えます。AIの補助機能がオフなら、同じ表は何度採点しても同じ点です。部署ごとの平均点を出し、課題の多い部署を重点的に支える使い方も、デジタル庁のブログにあります。4

表の上のタイトルや下の注記を残したい表は、レベル1が満点になりません。Harunobuは、表の外に何か書いてあれば、データに関係のある注記でも違反とみなします。5

次の2つは、採点の対象外です。5

  • アンケートの答えを番号で入れたときの、番号と答えの対応表(コード表)があるか
  • 項目の意味や、いつ何を直したかの記録が添えてあるか

社内で使う前の確認

確認すること答え
表のデータは外に送られるかAIの補助機能をオンにしたときだけ、APIキーを設定した外部のAI(Gemini・ChatGPT・Claudeなど)に送ります2
点を社内の基準にしてよいか目安にはなりますが、配点と判定の仕組みはデジタル庁がサンプルとして独自に作ったもので、政府の公式見解ではありません1
困ったときの問い合わせ先GitHubのIssueでは、使い方の相談を受け付けていません。質問はデジタル庁の「ご意見・ご要望」から送れます12
ライセンスの条件ツールはMITライセンス、ルールのデータと説明文書は公共データ利用規約第1.0版です1

整形した表をAIに集計させる例は、Claudeのデータ分析機能の記事にあります。

AIが実際に読む文字の確かめ方は、markitdownの記事を見てください。AIにExcelのマクロを作らせるなら、業務で使う前に確かめることを先に読んでください。

Harunobuで採点する前に、AIに読ませたいExcelの見出しが結合されていないかだけでも見てください。

出典

  1. digital-go-jp/machine_readability_rule(GitHub・ツールはMITライセンス)(参照 2026-10-22)
  2. 機械可読性ルール適合チェックツール「Harunobu」(デジタル庁)(参照 2026-10-22)
  3. 行政データにおける機械可読性に関するルールをコード化する取組み(デジタル庁・2026年10月21日更新)(参照 2026-10-22)
  4. Excelの機械可読性を判定するツール「Harunobu」のご紹介(デジタル庁 Techブログ・2026年10月21日)(参照 2026-10-22)
  5. 既知の制限事項(Harunobu の GitHub の文書)(参照 2026-10-22)
  6. AI補完機能の設定ガイド(Harunobu の GitHub の文書)(参照 2026-10-22)