要点

対象:繰り返しの振り分けをAIに任せたい担当者

  1. 本番リリースを止める時間が20%減
  2. 人と同じ振り分けは44%から68%に
  3. 報告書はエンジニアが確かめる

RescaleのAIエージェント(頼まれた作業を自分で進めるAI)は、毎晩の自動テストで出た失敗を、エンジニアより先に調べて振り分けています。使い始めてから、失敗の原因を調べるために本番リリースを止めておく時間が、20%減りました。1

この記事の目次(5節)
  1. AIが失敗の原因を4つに分けて、報告書まで書く
  2. AIの振り分けが人と合う割合は44%から68%に
  3. 5日間のワークショップで、本番の手前まで
  4. ブログが触れていないこと
  5. 自社で試すなら

Rescaleは、製品開発のためのシミュレーションと計算の基盤をクラウドで提供している米国の会社です。2026年10月22日のAWSのブログに、AWSとRescaleの担当者が一緒に書いた記事が載りました。13

AIが失敗の原因を4つに分けて、報告書まで書く

Rescaleでは、数百件のテストを毎晩流しています。このテストに通らないと、週1回の本番リリースができません。1

これまでは、当番のエンジニアが失敗ごとにログを開いて原因を見分け、担当のチームに回していました。テストの失敗が解決しないままだと、リリースの前に複数のチームが何時間も調整に追われることもありました。1

いまは失敗が出ると、テストから本番リリースまでを自動で進める仕組み(CI/CD)が、AIエージェントを動かします。原因の判定には、「Amazon Bedrock」経由でAnthropicの「Claude Opus 4.8」を使っています。1

誰がすること
AIエージェント失敗の原因を、インフラの問題・コードの不具合・不安定なテスト(同じコードでも通ったり落ちたりするテスト)・環境の問題の4つに分ける
AIエージェント過去の似た失敗を参考にし、ログから判定の裏付けを集める
AIエージェント関係するファイルと関数の名前、直し方の案を報告書にまとめる
エンジニア手を動かす前に、報告書を確かめる
Rescale:毎晩のテストの流れ(出典:AWSのブログ) 毎晩のテスト 数百件を毎晩実行 AIエージェント 原因を4つに分ける 直し方の報告書を書く エンジニア 報告書を確かめる AIの振り分けが人と同じだった割合 使い始め 44% いま 68% 本番リリースを止めておく時間 20%減
毎晩のテストで失敗が出ると、パイプラインがAIエージェントを動かし、AIが原因を分けて報告書を書きます。

一連の作業は数秒で終わり、結果はチームがふだん見ている報告の場所にそのまま届きます。1

AIの振り分けが人と合う割合は44%から68%に

数字は次の2つです。1

何の数字か数字
AIの振り分けが人と同じだった割合使い始めの44%から、いまは68%
失敗の原因を調べるために、本番リリースを止めておく時間20%減った

テストは週1回の本番リリースの関門です。止めておく時間が減れば、そのぶん変更が早く本番に出ます。当番のエンジニアが、同じような振り分けに取られる時間も減りました。1

5日間のワークショップで、本番の手前まで

開発にあたっては、AWSとRescaleのエンジニアが、対面で5日間のワークショップを開きました。開発の手法には、AWSが提唱する「AI-DLC」を使っています。AIが計画やコードを出し、大事なことは人が決める手法です。12

最初の2日で、AIから出た20以上の質問にチームで答え、作る範囲を決めました。変更の提案(プルリクエスト)をAIに自動で作らせる機能は、人の判断で後回しにしました。1

4日目にはステージング環境(本番の前に試す環境)で一通り動き、その後数週間のうちに本番でも使い始めました。1

ブログが触れていないこと

  • 20%減は、いつからいつまでを比べた数字か
  • 68%を、何件の正解の例と比べて出したか
  • AIと人の振り分けが食い違った失敗を、あとでどう扱ったか
  • AIエージェントを動かす費用

自社で試すなら

AIに任せたのは最初の振り分けだけで、報告書はエンジニアが必ず確かめます。AIと人の振り分けが合う割合が68%のうちから成果が出たのは、この役割の分担が効いたからだと考えています。

ただし、AIに任せる仕事を増やすと、今度は人の確認が追いつかなくなります。Anthropicのレポートも、AIの出力が増えると人の確認が詰まると指摘しています(Anthropic社内の記事)。

権限や記録の仕組みをどう作るかは、自律AIエージェントの設計の記事にまとめています。AIの下書きを人がどこまで確かめるかは、確認の範囲の記事にあります。

まず、人がすでに振り分けた過去の50件をAIにも振り分けさせ、人と同じになった割合を出してみてください。

出典

  1. AWS Machine Learning Blog「How Rescale built an AI triage agent with Strands Agents and AI-DLC」(2026年10月22日)(参照 2026-10-23)
  2. AWS DevOps Blog「AI-Driven Development Life Cycle: Reimagining Software Engineering」(2025年7月31日)(参照 2026-10-23)
  3. Rescale(日本語のトップページ)(参照 2026-10-23)