要点

対象:AIに任せる仕事を増やしている、職場の担当者

  1. AIの稼働は従業員の6倍(8月)
  2. やり取りの約8割は、AIの入力待ち
  3. 一社のデータで、事業の成長も混ざる

Anthropicは2026年10月16日、自社の働き方の変化を調べたレポートを公開しました。8月には、従業員が指示したAIエージェント(頼まれた作業を自分で進めるAI)が、その従業員たちの6倍の時間働いていました。13

この記事の目次(5節)
  1. 6倍の数え方
  2. AIの作業を止めているのは、人の返事待ち
  3. 数字の読み方に注意
  4. ジュニア技術職の採用比率が下がった
  5. 自分の職場で確かめること

ただし、やり取りの時間の約8割は、AIが人の入力を待っていた時間です。レポートは、AIの出力が増えると、確認に割ける人の注意が詰まる所になると指摘しています。1

AIに任せる仕事が増えるほど、人が確認する工程をどこに入れるかが問われる、と考えています。

6倍の数え方

6倍は、AIエージェントが働いた時間の合計を、従業員が働いた時間の合計で割った比です。1

項目数え方
AIの稼働時間従業員が直接指示したやり取りで、AIが働いた時間。サブエージェント(AIが呼び出す別のAI)はまとめて数える
人の労働時間従業員の数に週40時間をかけた値(レポートが仮に置いた値)
含めないものAIが30分を超えて待った時間
ANTHROPIC社内の2つの数字 稼働時間(2026年8月時点) 従業員 AI 従業員全員の労働時間の合計を1とした比(週40時間の仮定) やり取りの総時間の内訳 AIが人の入力を待った時間 約8割 それ以外 約2割 複数回やり取りする作業の数字。総時間からAIの作業時間を引いた残りが入力待ち
AIの稼働時間は従業員の労働時間の6倍で、やり取りの時間の約8割はAIの入力待ちでした。

AIの作業を止めているのは、人の返事待ち

AIとのやり取りが何回も続く作業で、始めから終わりまでの時間から、AIが実際に作業した時間を引くと、約8割が人の入力待ちでした。1

AIが従業員の6倍の時間働いていても、作業の合間に、人の返事や確認を待って止まる時間が長いのです。

人の仕事も変わりました。Claudeに覚えさせる手順づくり、他のAI向けの計画とレビュー、状況を見る画面づくり、作業の進め方の記録などを、レポートは「メタワーク」と呼んでいます。作業そのものではなく、AIを動かすための仕事です。1

平均的な従業員のClaudeとのやり取りのうち、メタワークの割合は、2025年秋に10%、2026年春に22%でした。1

数字の読み方に注意

成果として、レポートは次の数字を挙げています。1

数字内容注意点
5倍エンジニア1人あたりのコミット(コードの変更の記録)の数が、6か月前の約5倍の速さになったコードが増えたことと、良くなったことは別。同じ従業員の、人が書いたコードとAIが書いたコードを比べると、あとで削除や差し戻しされる割合に差はなかった
2〜4倍創業5年の時点で、従業員1人あたりの売上がMetaとGoogleの同じ時点の2〜4倍同じ時期に事業が急成長していて、AIだけの効果とは言えない

AIを先に使った人には、偏りがあるかもしれません。大きな新しい案件を控えた従業員が、先にAIを使い始めることがあるからです。レポートも、AIの導入は無作為ではないと注意しています。1

調べたのはAnthropic一社だけで、他社にそのまま当てはまるとは限りません。インタビューも17人です。1

ジュニア技術職の採用比率が下がった

ジュニア(経験の浅い層)の割合は、2つの数字で下がっています。12

数字以前以後
技術職の新規採用に占めるジュニアの割合27%9%
技術部門の全体に占めるジュニアの割合(2025年初めから)21%14%

どちらも割合の数字で、ジュニアの人数が減ったかどうかは分かりません。

面接の評価コメントで最も増えたのは、応募者の自律性(自分で進める力)と判断力についてでした。1

自分の職場で確かめること

AIに仕事を任せている職場では、次の3つを確かめたいところです。

  • AIの作業は、誰の確認で止まっているか。
  • 確認する人の時間を、仕事として数えているか。Anthropicでは、AIを動かすための仕事がやり取りの22%になりました。
  • その成果は、何と比べた数字か。コードは増えても、削除や差し戻しの割合は、人が書いたコードと差がありませんでした。

たとえばAIに問い合わせの返信案を作らせるなら、1日に何件を誰が読んで直すかを、先に決めておくとよいでしょう。

関連記事:

いま任せている作業を1つ選び、AIが人の返事を待って止まっている時間を、1週間だけ記録してみてください。

出典

  1. Anthropic「How employment is changing at Anthropic」(2026年10月16日)(参照 2026-10-19)
  2. マイナビニュース TECH+「Anthropicが自社の雇用変化を公開、ジュニア技術職の採用比率は27%から9%へ」(2026年10月19日)(参照 2026-10-19)
  3. GIGAZINE「Anthropic社内ではAIが人間の6倍も稼働していることが判明、従業員の仕事は「AIの監督」へと変化」(2026年10月19日)(参照 2026-10-19)