要点

対象:職場でAIに相談することが増えた人

  1. 詳しい社員を紹介する検索は2023年にあった
  2. 面接でAIを使わせる会社は2025年からある
  3. 週4日以上AIを使う人の3割は、上司よりAIに多く相談

このサイトの未来予想の記事では、最後に、この未来が近づくなら先に起きるはずのことを「兆し」として挙げています。

この記事の目次(10節)
  1. 確かめ方
  2. 詳しい社員を紹介する機能は、2023年にはあった
  3. AIを使ったことを決裁権者と共有する市がある
  4. 面接でAIを使わせる会社は、2025年からある
  5. 「人への相談が増えた」という新しい調査は見つからない
  6. 5つの兆しのいま
  7. 兆しとは別に、気になった数字
  8. ここから先は想像です
  9. この未来が近づくなら、先に現れる兆し
  10. 自分で試せること

今回は、職場の相談やつながりにかかわる兆しを、3本の記事から5つ選びました。

  • 9月30日の記事: 企業向けのAIサービスに、質問の内容から詳しい社員を紹介する機能が加わる
  • 10月15日の記事: 社内のAIが、答えと一緒に、詳しい人や担当の部署を示すようになる
  • 10月7日の記事: 社内の資料やメールに、「AIで下書きし、〇〇が確かめた」と書き添える人が出てくる
  • 10月7日の記事: 面接で、AIを使うかどうかではなく、AIの答えをどう確かめているかを聞く会社が増える
  • 9月30日の記事: 同様の調査で、日本でも「AIを使うようになって人への相談が増えた」と答える人の割合が上がる

最後の兆しの「同様の調査」は、9月30日の記事で取り上げた、インディードリクルートパートナーズの日米の調査を指します。

確かめ方

先週(10月11日)の兆しの点検と同じく、兆しを挙げた日より後に起きたことだけを「現れた」と数えます。兆しを挙げる前からあったものは、数えません。

5つとも、兆しを挙げた日より後に起きたことは見つかりませんでした。ただ、4つの兆しには、似たものが前からありました。兆しごとに、似ていたものと違う点を書きます。

詳しい社員を紹介する機能は、2023年にはあった

社内のAIが人を紹介する兆しは、2本の記事で挙げました。1本は9月30日の仕事の悩みを最初に相談する相手です。もう1本は10月15日のAIに聞けば済む職場のつながりです。

Gleanは、検索結果と一緒に詳しい社員を出す

社内の文書をまとめて探せるツール「Glean」には、「Expert detection」という機能があります。調べている事柄に詳しい社員を、検索結果と一緒に出す機能です。1

Gleanがこの機能を発表したブログの最終更新日は、2023年4月3日です。その時点で、Gleanを契約しているすべての会社が使えるとしています。1

Microsoft 365 Copilotでも、スキルから社員を探せる

Microsoftは、Microsoft 365 Copilotで試験的に出していた、同僚を探す専用の機能「People agent」を3月上旬にやめました。2

ただ、特定のスキルを持つ社員は、いまもMicrosoft 365 Copilotに聞けば探せると案内しています。2

9月30日の兆しの中身は、兆しを挙げる前からあった

9月30日の兆しは、詳しい社員を紹介する機能が加わる、というものでした。GleanにもMicrosoft 365 Copilotにも、この機能は兆しを挙げる前からあります。

10月15日の兆しは、答えの中に出すところまでは見つからない

10月15日の兆しは、AIの答えの中に詳しい人や部署が出る、というものでした。例えば、AIに値引きの決め方を聞くと、答えの最後に「営業部の〇〇さんが詳しい」と出るような形です。

Gleanが詳しい社員を出すのは、検索結果の画面です。発表には、AIの答えの文の中に出すとも、部署を出すとも書かれていません。1

10月15日に始まった国内のサービスも見ました。ゴムマリ(東京)の「社内ナレッジ検索」は、社内の文書から根拠つきで答えるAI検索です。発表文には、詳しい人や部署を示すという説明はありませんでした。3

AIを使ったことを決裁権者と共有する市がある

10月7日の記事(AIを使ったと話した社員への最初の一言)では、「AIで下書きし、〇〇が確かめた」と書き添える人が出てくる、と書きました。

総務省が2025年3月にまとめた資料に、自治体の生成AIのガイドラインがいくつか載っています。

千葉県のガイドライン(2024年2月の版)は、AIが作ったものをそのまま使うときは、資料に「千葉県生成AI利用サービスにより作成」と書くよう定めています。4

同じ資料に載ったある市のガイドラインは、AIで得た結果を複数の職員で確かめるよう定めています。文書を作った職員は、AIを使ったことを、決める立場の上司(決裁権者)に伝えます。4

どちらも、AIを使ったことは伝えます。ただ、誰が確かめたかを資料やメールに書き添えるところまでは決めていません。

面接でAIを使わせる会社は、2025年からある

同じ10月7日の記事では、面接でAIの答えをどう確かめているかを聞く会社が増える、とも書きました。

デザインツールのCanvaは2025年6月11日、エンジニアの面接で、候補者にAIツールを使うよう求める方針を公開しました。AIが書いたコードの誤りを見つけて直せるかも見ます。5

カミナシのエンジニアブログは、Metaが2025年10月から、エンジニアがAIを使ってよいコーディング面接を取り入れたと紹介しています。評価の軸の1つは検証です。6

どちらも、候補者にAIを使わせて、その出来を見るやり方です。面接官が「AIの答えをどう確かめていますか」と質問するところまでは、書かれていません。

「人への相談が増えた」という新しい調査は見つからない

インディードリクルートパートナーズが9月1日に発表した調査は、生成AIを使うようになって、人への相談の回数がどう変わったかを聞いています。日本では約7割が「変わらない」、約2割が「少し減った」と答えました。7

米国では、「少し増えた」が約3割、「とても増えた」が約2割でした。7

9月30日より後に、同じ問いで日本の「増えた」の割合が上がったという調査は、見つかりませんでした。

5つの兆しのいま

5つの兆しのいま(10月18日) 兆しを挙げた記事 9月30日 AIサービスが詳しい社員を紹介する 似たもの: Gleanが2023年4月の時点で出していた まだ 兆しを挙げた記事 10月15日 社内のAIが詳しい人や部署を示す 似たもの: Gleanは検索結果と一緒に出す まだ 兆しを挙げた記事 10月7日 誰が確かめたかを書き添える 似たもの: AIを使ったことを伝える自治体の決まり まだ 兆しを挙げた記事 10月7日 面接でAIの答えの確かめ方を聞く 似たもの: 面接でAIを使わせる会社(2025年から) まだ 兆しを挙げた記事 9月30日 「人への相談が増えた」の割合が上がる 同じ問いの新しい調査は見つからない まだ
兆しを挙げた記事の日付と、10月18日の時点で現れたか、似たものは何かを並べました。

兆しを挙げてから、長くても18日しかたっていません。その間に新しく出てきたものは、5つとも見つかりませんでした。

兆しとは別に、気になった数字

確かめる途中で、兆しとは別に、気になる数字を見つけました。パーソル総合研究所が、上司とAIのどちらに相談することが多いかを聞いた調査です。8

AIを使う日数上司よりAIに相談することが多いと答えた人の割合
週4日以上30.0%
月数日以下15.8%

調査は正規雇用の3,300人に春に聞いたもので、7月22日に公開されています。9 AIをよく使う人ほど、上司よりAIに相談することが多いと答えています。

ここから先は想像です

AIに相談する人が増えると、上司には、AIで一度ふるいにかけた相談が届くようになるのかもしれません。

ふるいにかけた相談は、短く、まとまっているでしょう。その代わり、まだ言葉にならない困りごとは、上司に届く前に消えてしまうおそれがあります。

Microsoftは、同僚を探す専用の機能をやめても、Microsoft 365 Copilotに聞けば社員を探せる形は残しました。人の紹介は、別のツールとしてではなく、ふだんのAIの答えの中に入っていくのではないでしょうか。

そうなると、「この件は経理の〇〇さんが先月対応しました」と、AIが答えの最後に一言添える職場が出てきそうです。

この未来が近づくなら、先に現れる兆し

  • 社内の検索ツールが、AIの答えのすぐ下に、その件に詳しい社員と部署を出すようになる
  • AIに聞いた後に誰に確かめるかを、利用ガイドラインで決める会社が出てくる
  • 会社が、AIを入れる前と後の、上司への相談の件数や中身を比べて発表する
  • AIで作ったと示す表示に、確かめた人の部署や名前も書く自治体や会社が出てくる

自分で試せること

この1週間に、AIに相談して済ませた仕事の困りごとを3つ書き出してください。

それぞれについて、AIの答えを聞いた後に、本当は誰かに確かめたほうがよかったかを考えてください。誰かの名前が浮かんだら、次に同じことが起きたときは、AIの答えを持ってその人に聞きに行くと決めておくと迷いません。

出典

  1. Glean「Glean Search launch announcement」(最終更新2023年4月3日)(参照 2026-10-18)
  2. Microsoft 365 メッセージセンター「MC1245224 - Microsoft 365 Copilot: People agent availability update」(2026年3月5日)(参照 2026-10-18)
  3. ASCII.jp「ゴムマリの業務AIエージェント、『社内ナレッジ検索』を提供開始」(2026年10月15日)(参照 2026-10-18)
  4. 総務省「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ(第2回)事務局提出資料」(令和7年3月。千葉県「生成AIの利用ガイドライン【第2.0版】」の抜粋を含む)(参照 2026-10-18)
  5. Canva Engineering Blog「Yes, you can use AI in our interviews」(2025年6月11日)(参照 2026-10-18)
  6. カミナシ エンジニアブログ「AI時代のエンジニア選考・面接のパターン」(2026年9月7日)(参照 2026-10-18)
  7. インディードリクルートパートナーズ「AIと仕事に関する日米実態調査(就業者編)」(2026年9月1日)(参照 2026-10-18)
  8. パーソル総合研究所「相談が来ない上司たち―AI環境のマネジメントのアップデート」(2026年10月7日)(参照 2026-10-18)
  9. パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」(2026年7月22日)(参照 2026-10-18)