米OpenAIは9月29日(現地時間)、ChatGPTで使えるAIエージェント「dots」を発表しました。dotsは最上位モデル「GPT-6 Astra」で動き、利用者ごとにクラウド上の専用の仮想PCとブラウザーが用意されます。利用者がPCの電源を切っていても、任された調べものや資料作成を続けます。16
この記事でわかること
- 日本で使えるのはPro 100・Pro 200・Pro 500とBusiness Premiumで、Enterpriseは管理者が有効にしてからです
- 手元のPCを使う作業は、ChatGPTのアプリを開いている間しか進みません
- アプリの接続を外しても、dotsがメモリに保存した内容は消えません
話しかけなくても仕事を進める
dotsは、質問に答えるだけでなく、任された仕事を自分で続けます。進み具合を見ながら次の作業を決め、利用者の判断が要るところで確認を求めます。1
専用の仮想PCで作業する
dotsは、利用者ごとに用意される仮想PCで作業します。調べもの、データの分析、資料作成、ソフトウェアの開発ができます。バックグラウンドでサブエージェントを動かし、複数の仕事を同時に進めることもできます。15
GmailやGoogleドライブ、GitHubなど、ChatGPTにプラグインとして接続できるアプリも使えます。1 ITmedia AI+は、4000以上のアプリに接続できると報じています。6
ChatGPTでもSlackでも、やり取りを引き継ぐ
dotsに話しかけられるのは、ChatGPTのアプリ(PC・スマートフォン)、Slack、音声通話です。どこから話しかけても、それまでのやり取りを引き継ぎます。Microsoft Teamsは、招待制で試験提供中です。13
使えるプランと、手元のPCを使うときの条件
発表の時点では、日本も対象に入っています。ただし一斉ではなく、利用者ごとに順番に広げていくとしています。1
| プラン | 提供地域 | 提供時期・条件 |
|---|---|---|
| Pro 100・Pro 200・Pro 500 | 欧州経済領域・英国・スイスを除く地域 | 順次。18歳以上の利用者 |
| Business Premium | 地域の制限なし | 順次 |
| Enterprise | 地域の制限なし | 初期設定では無効。ワークスペースの管理者が有効にする |
Enterpriseだけは、社員が使い始める前に管理者の操作が要ります。1
dotsとのやり取りは、ChatGPTの利用上限にはカウントされません。一方、dotsが「ChatGPT Work」や「Codex」に振り分けた作業は、それぞれの利用枠を消費します。OpenAIは、提供開始から1か月は利用上限を引き上げるとしています。一方、ITmedia AI+は「利用上限を設けない」と報じており、OpenAIの説明とは食い違っています。16
9月30日のAIニュースのまとめで「BusinessとEnterpriseは地域を問わず使える」としたのは、「Business PremiumとEnterprise」の誤りでした。無印のBusinessは、OpenAIの説明ページの対象に入っていません。9月30日のAIニュースのまとめの記載を、この記事で訂正します。1
手元のPCを使う作業は、ChatGPTのアプリを開いている間だけ
24時間動き続けるのは、仮想PCでの作業です。16 手元のPCを接続すると、そのPCのファイルやアプリも使えるようになります。ただし、PCが起動し、ChatGPTのアプリが開いている間しか作業は進みません。接続できるPCは1台までです。14
dotsに向く仕事
dotsに向くのは、決まった資料を定期的に見て、変わったら直す仕事です。 一度で終わる質問なら、これまでのChatGPTで十分です。
OpenAIの説明ページには、顧客の求めるライセンス数や条件が変わるたびに、提案書の数字を直す例が載っています。1 例えば、営業部門で展示会の出展準備を担当しているなら、運営事務局とのメールと予算表をdotsにつないで任せられます。提出書類の締め切りが近づけば知らせ、見積もりが変われば予算表を更新し、返信の下書きを用意します。
「下書き」と頼めば、許されるのは下書きまで
「返信の下書きを作って」と頼んだ場合、dotsに許されるのは下書きまでです。「顧客へのメールは送る前に確認する」「共有ファイルの削除は人が行う」といったカスタムルールも追加できます。2
操作の前には自動チェックが働きます。利用者の指示、アプリの権限、カスタムルール、OpenAIが定めた安全上のルールに照らして、そのまま進めるか、利用者の承認を得るか、利用者自身に操作してもらうかを判断します。パスワードの変更は、必ず利用者自身が行います。OpenAIは、dotsが間違えることもあると注意を呼びかけています。12
止めても、終わった操作は取り消されない
止め方は、止めたいものごとに違います。一時停止で止まるのは、dotsがいま進めているメインのタスクだけです。サブエージェントに振り分けた作業と定期実行のタスクは、それぞれ止める必要があります。止めても、終わった操作は取り消されません。2
dotsを削除しても、接続したアプリでの変更は元に戻らず、すでに相手に届いたメッセージも取り消せません。2
会社で使う前に、管理者が決めること
Enterpriseでは、有効にする前に、使える人と機能を決めておきます。 管理者は、ワークスペース全体の既定の設定か、部署ごとのロールで権限を与えます。3
| 権限 | 決めること |
|---|---|
| dotsの利用 | 誰が使えるか |
| Slackへの追加 | Slackのチャンネルにdotsを追加してよいか |
| 手元のPCの操作 | 社員のPCの操作を認めるか。管理者が別に有効にする |
| カスタムルール | 社員が自分でルールを追加・編集できるか |
| 仮想PCの操作 | ブラウザー、ネットワーク接続、画面操作を認めるか。パスワード管理の利用も別に決める |
ワークスペースで使えるモデルを制限していても、その制限はdotsにはかかりません。また、表の権限を与えても、アプリやPCが自動で接続されるわけではありません。接続するのは社員本人で、アプリごとに許す操作は別の設定で絞ります。3
メモリとログの扱いも確認しておく
dotsは、接続したアプリから得た内容もメモリに保存できます。アプリの接続を外しても、得た内容は消えません。退職者が出たときや、機密の資料を扱ったあとは、メモリの内容を見直す必要があります。3
dotsが何をしたかを調べるには、Compliance APIのログを使います。OpenAIは、監査に使う前にログに残る範囲を確認するよう求めています。3
Enterpriseのデータは、初期設定ではモデルの学習に使われません。3 個人向けプランで学習に使わせない設定は、ChatGPTで画像が流出した件の記事で触れました。エージェントに任せる範囲と止め方は、権限や監査、緊急停止をどう設計するかを書いた記事で詳しく書きました。
プラン別に、まずすること
- Enterpriseの管理者なら、初期設定の「無効」は変えずに、試す部署のロールにだけ許可しましょう。手元のPCの操作は後回しにできます
- Pro 100・Pro 200・Pro 500やBusiness Premiumで試すなら、外部に漏れても支障のない業務から始めましょう。「送信と削除は人が行う」というカスタムルールを先に入れておくと安心です
- 社員がAIに入力した内容をどこまで記録できるかを先に知りたいなら、生成AIの監査ログの記事が参考になります
出典
- OpenAI「Meet dots」(dotsの説明ページ)(参照 2026-09-30)
- OpenAI「Control your dot」(dotsの作業の確認と停止)(参照 2026-09-30)
- OpenAI「Manage dots permissions and capabilities」(Enterprise の管理者向けの設定)(参照 2026-09-30)
- OpenAI「Connect computers and apps to your dot」(仮想PC・手元のPC・アプリの接続)(参照 2026-09-30)
- OpenAI「Tasks and memory」(任せた作業とメモリ)(参照 2026-09-30)
- ITmedia AI+「OpenAI、『24時間働く』エージェント『dots』発表 Astra搭載、クラウド上で常時稼働」(2026年9月30日)(参照 2026-09-30)

