Microsoftが9月23日(米国時間)に発表した新型の「Surface Pro 12インチ」と「Surface Laptop 13インチ」は、「Copilot+ PC」を名乗っていません。発表時の公式ブログにも、この名称は一度も出てきません。1
この記事でわかること
- ライブ キャプションでは、英語の会議に日本語の字幕を付けられません
- 会社管理のPCでは、管理者が許可しない限りリコールは使えません
- Microsoft Copilotの要件に、NPUの性能は入っていません
新製品から外れたブランド名
Copilot+ PCは、MicrosoftがQualcommと2024年に打ち出した、AI処理専用のプロセッサー(NPU)を積んだPCの呼び名です。Microsoftは、自社の新製品にこの名称を付けなくなりました。12
Surface責任者、Copilot+ PCと呼ばず
米IT情報サイトのWindows Centralは9月24日、Surface部門を率いるブレット・オストラム氏に名称を使わないことについて聞き、記事にしました。オストラム氏は同サイトの取材に、新製品をCopilot+ PCとは呼ばないものの、これまでの要件はすべて満たすと答えています。Qualcommの幹部も、この名称を使わずに同じ機能を提供していくと話しています。2
2025年までに出たSurfaceは、製品名に「Copilot+ PC」を冠していました。NVIDIAの新しい「RTX Spark」を搭載したPCも、この名称を使っていません。2
画面の記録機能「リコール」でイメージ悪化
Copilot+ PCの目玉は、画面の記録機能「リコール」でした。ところが、記録した画面の保護が不十分だとセキュリティ研究者に指摘され、Microsoftは発売時には提供を見送りました。この問題でブランドのイメージが傷つき、メーカー各社がこの名称を製品名から外し始めたと、同サイトはみています。2
NPU・メモリ・ストレージの基準
Copilot+ PCの機能を使えるかどうかは、名称ではなく、次の3つの要件を満たすかどうかで決まります。 Microsoftは仕様ページで、Copilot+ PCの要件としてこの3つを挙げています。3
| 項目 | Copilot+ PCの要件 |
|---|---|
| NPU(AI処理専用のプロセッサー) | 毎秒40兆回以上の演算(40TOPS以上) |
| メモリ | 16GB以上(DDR5/LPDDR5) |
| ストレージ | 256GB以上(SSD/UFS) |
名称が付かないと、NPUの性能は仕様表で探すしかありません。仕様表を細かく確かめないとCopilot+ PCに該当するかどうかが分からなくなった、とWindows Centralも指摘しています。2 新しいSurfaceの公式ブログにも、NPUの性能は載っていません。1
Copilot+ PCでしか使えない機能
Copilot+ PCでしか使えないのは、PC本体でAIを動かす機能の一部です。業務に関わりが深いのは、ライブ キャプションの翻訳機能とリコールです。45
訳せる言語は英語と中国語だけ
ライブ キャプションは、PCで再生している音声を字幕にする機能です。その翻訳機能は、Copilot+ PCでしか使えません。その代わり、ネットにつながなくても動きます。訳せる言語は英語と中国語(簡体字)だけで、日本語から英語へは訳せますが、英語から日本語へは訳せません。4
例えば、外国人の従業員がいる会社なら、日本語の研修動画に英語の字幕を付けて見てもらえます。一方、英語のWeb会議に日本語の字幕を付けたいなら、この機能では対応できません。医療機関の受付で使う翻訳ツールの選び方は、外国人患者対応での機械翻訳と遠隔通訳の使い分けで取り上げています。
会社管理のPCでは初期状態で使えないリコール
リコールは、画面を定期的に記録し、あとからふだんの言葉で探せる機能です。日本語での検索にも対応しています。会社が管理するPC(管理対象デバイス)では、初期状態でこの機能が取り除かれていて、管理者が許可しない限り使えません。5
会社の管理下にないPCでは、利用者が自分でオンにすれば使えます。その場合も、顔認証か指紋認証によるサインイン(Windows Hello)と、デバイス暗号化かBitLockerによる暗号化が必要です。5 顧客情報を画面に表示する業務なら、社員が各自でオンにしてよいかを先に決めておきましょう。社内ルールの作り方は、生成AIのセキュリティ対策で取り上げています。
Microsoft Copilotは機種を問わない
Word・Excel・Outlook・Teamsで使うCopilotは、Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)と呼ばれ、クラウドで動きます。Microsoftが示す要件は、Microsoft 365のライセンスと、アプリとネットワークの設定です。PCの性能やNPUは、要件に挙がっていません。6
Copilot+ PCとMicrosoft Copilotは名称が似ていますが、別の製品です。2 Copilotの料金改定については、9月28日のAIニュースにまとめました。
どのPCを選ぶかは、使いたい機能によって変わります。
- 使うのがMicrosoft Copilotだけなら、NPUの性能はPC選びの決め手になりません
- ライブ キャプションの翻訳やリコールも使うなら、仕様表で3つの要件を確かめてから選びましょう
- リコールを許可するかどうかは、PCを配る前に社内ルールで定めておきましょう
出典
- Microsoft Devices Blog「Introducing the next Surface Pro 12-inch and Surface Laptop 13-inch with Snapdragon X2 Plus」(2026年9月23日)(参照 2026-09-28)
- Windows Central「The Copilot+ PC brand is dead: Microsoft and PC makers quietly pull back on tarnished Windows 11 AI PC branding」(2026年9月24日)(参照 2026-09-28)
- Microsoft「Windows 11 の仕様とシステム要件」(Copilot+ PC の項)(参照 2026-09-28)
- Microsoft サポート「ライブ キャプションを使用して音声をリアルタイムで翻訳する」(参照 2026-09-28)
- Microsoft Learn「Windows クライアントの取り消しを管理する」(英語版の題は Manage Recall。日本語版の「取り消し」は Recall の機械翻訳)(参照 2026-09-28)
- Microsoft Learn「Microsoft Copilot 管理者のアプリとネットワークの要件」(2026年9月24日更新)(参照 2026-09-28)

