米Anthropicは9月28日(現地時間)、生成AI「Claude」の中位モデル「Claude Sonnet 5.5」を公開しました。料金は据え置き、同じ作業にかかる費用は最大3割下がるといいます。9月22日に提供を始めた上位モデル「Opus 5.5」に続き、5.5世代では2つ目のモデルです。12
この記事でわかること
- 問い合わせへの返信を1件下書きさせると、費用は約3円の計算です
- 読み込ませたファイルの内容で、Sonnet 5に切り替わったり、回答が止まったりすることがあります
- Sonnet 5向けのプログラムには、そのままでは動かなくなる変更が5点あります
Opus 5.5より安い、日々の業務向けのモデル
Sonnet 5.5が向くのは、指示や手順がはっきりした日々の業務です。Anthropicは得意な作業として、プログラムの不具合の修正と、文書・スライド・Excelなどの表の作成を挙げています。高度な判断を重ねる複雑な業務には、Opus 5.5の方が向くとしています。1
単価はOpus 5.5の半分
トークンは、AIが文章を扱うときの単位です。Sonnet 5.5の料金は、入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルで、Sonnet 5と同じです。Opus 5.5は入力4ドル・出力20ドルです。回答を書き出す速さも、Sonnet 5より3割以上速くなったといいます。1
アプリとClaude Code、主要クラウドで利用可能
ウェブ版・アプリのほか、Claude Code、Claude for Microsoft 365などで使えます。3 業務システムから使うAPIは、Amazon Web Services・Google Cloud・Microsoft Foundryでも利用できます。2 下位のHaiku 5.5は、数週間以内に提供する予定です。1
どの料金プランで使えるかは、発表資料では明らかにしていません。
「最大3割安い」の条件
値下げではありません。Sonnet 5.5は同じ作業に使うトークンがSonnet 5より大幅に少ないため、単価が同じでも1件の作業にかかる費用が減ります。3割はAnthropicの社内テストでの最大値で、どの作業でも3割減るわけではありません。1
返信の下書きで試算
社内資料を読ませて問い合わせへの返信を下書きさせる場合を例に試算します。1件で読ませる量を5,000トークン、書かせる量を1,000トークンとし、1ドル=150円で換算します。Sonnet 5.5なら1件約3円、Opus 5.5なら約6円です。どちらも公表された単価をもとにした試算で、実際に測った値ではありません。
ベンチマークは同社の測定値
AIが自分でコマンドを実行してプログラム開発を進める力を測るベンチマーク「Terminal-Bench 4.0」では、課題を解けた割合が70.6%でした。Sonnet 5の10.3%を大きく上回ります。ただ同社も、ベンチマークの結果は能力の一面にすぎないとしています。1
考える深さの設定は、アプリでは中程度
考える深さを決める設定(努力レベル)は、アプリとClaude Codeでは中程度(Medium)が初期設定です。APIでは高め(High)が初期設定です。設定を上げるほどじっくり考えてから答えますが、そのぶん時間も費用もかかります。1
資料を作る人と、業務システムに組み込む企業への影響
資料や表を作る人
先行利用した企業からは、スライドのテンプレートに沿って、手直しの少ない資料を作れたという声が出ています。Anthropicの社内テストでは、上場企業の決算資料から作った10枚のスライドを、専門家2人が「そのまま送れる」と評価しました。1 ただし、自社のテンプレートや社内の数字で同じ出来になるかは、試してみないとわかりません。
危ない依頼は自動でSonnet 5に切り替わる
Sonnet 5.5は、依頼の中身を自動で点検する安全チェック(分類器)を備えています。点検の対象には、いま入力した文章だけでなく、過去の会話の記憶(メモリ)、外部サービスから取り込んだ内容、ウェブ検索の結果、アップロードしたファイルも含まれます。3
サイバー攻撃につながる依頼などでは、Claudeは同じ会話のまま、Sonnet 5に切り替えて回答します。切り替わると通知が出て、回答にはモデル名が表示されます。生物学的な危害につながる依頼などには、切り替えずに回答を止めます。3
アプリでは、この自動の切り替えを[設定]→[機能]でオフにできます。オフにすると、その依頼のところで会話が止まります。APIでは、自動の切り替えは初期状態では働きません。3
大半の依頼は、この安全チェックに引っかかりません。ただ、自分で入力していない内容がきっかけで切り替わることもあります。3 攻撃の手口を詳しく書いた報告書を読ませた場合などです。
業務システムに組み込んでいる企業
Sonnet 5.5には互換性のない変更が5点あり、Sonnet 5向けのプログラムがそのままでは動かないことがあります。APIの設定項目の一部が、そのままでは使えなくなります。2
切り替える前に確かめること
アプリで使う人は、いつもの依頼を1つ選び、Sonnet 5とSonnet 5.5に同じ文面で頼んで出来を比べましょう。数字や固有名詞が資料どおりかは、引き続き人の目で確認してください。資料にない数値をAIがもっともらしく作ってしまうハルシネーションは、「推測するな」の一文で作り話が減った実験の記事で扱いました。
業務システムに組み込んでいる企業は、次の3点を開発会社に確認しておくと安心です。
- 5点の変更が、今のシステムに影響するか
- 1件の作業にかかる費用がどれだけ変わるか。モデルごとの費用を後から確かめる方法はLLMアプリのコストの記事にまとめています
- 回答の前に止められた依頼の一部も、9月24日から課金されるようになったことを把握しているか23
会社として生成AIの使い方を点検するなら、IPAが挙げる5つのセキュリティ対策の記事が手がかりになります。
- 資料や表を作るだけなら、同じ依頼で比べて、出来に差がなければ切り替えて構いません
- 高度な判断を重ねる業務なら、Opus 5.5のままにしておくのが無難です
- 業務システムに組み込んでいるなら、上の3点を確認してから切り替えましょう
出典
- Anthropic「Introducing Claude Sonnet 5.5」(2026年9月28日)(参照 2026-09-29)
- Claude Platform Docs「Claude Platform release notes」(2026年9月28日の項)(参照 2026-09-29)
- Anthropicヘルプセンター「Claude がSonnet 5.5 との会話でモデルを切り替えた理由」(参照 2026-09-29)

